企業におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進は、企業の競争力向上やビジネス拡大のためにも、ますます重要になっています。そのため、多くの企業がDX化への対応を迫られています。しかし、DXの進め方は正しい手順を行わないと、失敗するリスクが高まります。このため、DXの進め方に不安を感じている企業経営者や情報システム部門の担当者は少なくありません。
本記事では、DXの進め方がわからない方に向けて、DXの現状や重要性、必要な要素、DXの進め方、DXツールの紹介や注意点などを解説します。DXの進め方に困っている方は、本記事を参考にして、自社のDX推進に役立ててください。
目次
1.DXの進め方
DXを効果的に進めるためには、6つの段階を適切に実施することが重要です。不適切な進め方では、社内のDX化が停滞するリスクがあります。初めに、DX推進の目的を設定します。続いて、現状の業務やプロセスを分析し、課題を明らかにします。
その上で、DXを推進するための社内体制を整備します。次に、施策を優先順位に従って実行し、その後はPDCAサイクルを回して、DXが目標を達成するまで継続します。次章以降では、これらのDXの進め方について解説します。
参考:『組織のデジタル化は具体的にどう進めるとうまくいくのか?』
DXの大指針となる「DXの羅針盤-よくある19の質問に回答」をダウンロードする
2.DX推進の目的を決める
DXの進め方の第一段階は、DX推進の目的を決定することです。DXは目的を達成する手段であり、DX自体が目的ではありません。目的は経営理念と戦略に根ざしたものであり、企業の目指す姿とDXのゴールが一致していることが重要になります。目的設定をする際には、経営課題を把握して、デジタル技術をどのように活用すべきかを考慮しましょう。
また、経営陣から現場に至るまで、全員がDXの目的を正確に理解し、共有することが大切です。経営陣の明確な意思表示により、目的に沿った施策が具体化し、現場の協力も得やすくなります。それにより、DXの取り組みが実効性を持ち、形骸化を防げます。
3.現状調査と課題の抽出
DXの進め方の第二段階は、現状調査と課題の抽出です。社内業務の調査を行い、既存システムと各業務の関係性を整理し、各業務プロセスの課題を洗い出します。この段階で、レガシーシステムの改修や更新の必要性を見極めます。さらに、現場の従業員からのフィードバックを通じて、現行の業務プロセスにおける具体的な課題を抽出します。
課題の抽出では、ミスが生じやすい作業や負荷が集中している作業の確認を行います。そして、これらの業務の廃止や統合、またはプロセス改善およびシステム化を検討します。
この段階の進め方がわからない場合は、他社のDX成功事例、または失敗の事例を調査すると、イメージしやすくなります。併せて、顧客のニーズや消費行動も調査しておくと、DX推進に役立ちます。
参考:『レガシーシステムとは?放置するリスクと脱却時の5つのポイント』
4.DX推進の社内体制を作る
課題の抽出が完了したら、社内にDX推進の体制を作る段階に移行します。DX推進の社内体制は主に「情報システム部門が主導する方式」「各部門単位でDX推進を実行する方式」「DX推進プロジェクトチームを設置する方式」の3種類が挙げられます。以下では、これらの3種類の社内体制について解説します。
情報システム部門が主導する方式
社内の情報システム部門がDX推進を主導する方式では、情報システム部門の人材のITスキルが重要になります。ITスキルが不足している場合、DX化が進まない場合があります。特にデータ分析やデータ活用、AI、IoTなどの専門性が高い分野は、日本全体でも人材不足な状況です。
人材育成の時間などコスト面を考慮すると、外部の専門企業への委託が有効です。専門企業に依頼することで、人材採用や育成にかかる時間とコストを削減できます。なお、DX推進プロジェクトの責任者は、自社の社員から選ぶようにしましょう。
各部門単位でDX推進を実行する方式
社内の各部門がDXの企画・推進を担い、情報システム部門が技術的な支援を行う方式です。現場の声を反映したDX推進が可能ですが、ITスキルを持つ人材の不足により、デジタル技術を十分に活用できないリスクがあります。
DX推進プロジェクトチームを設置する方式
多くの企業で主流となっているのは、DX専門のプロジェクトチームを設置する方法です。成功例が多いのが特徴ですが、プロジェクトチームと経営陣のみで強引に進めてしまうと、他部署との調整不足から失敗するリスクもあります。
業務プロセスの変更や新システムの導入では、変化に対応できない人が出ることも考慮しなくてはいけません。効果的なDX推進のためには、意見や要望を積極的に反映しながら進めるようにしましょう。また、プロジェクトチームには、データ活用やシステム構築に詳しい専門的な人材が必要になります。
全ての方式でデータ分析やデータ活用、システム構築に詳しい人材が重要になります。社内に詳しい人材がいない場合は、弊社データビズラボにご相談ください。
5.優先順位を決める
社内のDX推進は、実施すべき施策が多岐にわたるため、一度にすべてを実行することは困難です。それゆえに、施策に優先順位を決めることとが欠かせません。まずは自社の課題に合わせて、それぞれの施策に必要な人員やコスト、時間を見積もります。その結果を踏まえて、取り組むべき施策を明確にし、優先順位をつけることが重要です。
6.実行
優先順位を設定した後は、施策の実行フェーズに入ります。ペーパーレス化や紙ベースのデータをデジタルに変換する作業、業務の自動化などの取り組みを進めます。全社的な実施に移る前に、まずはひとつの部署や事業単位での実施が推奨されます。業務の効率化や生産性の向上に貢献する小規模な成功を積み重ねることが、その後の大規模な取り組みへの道を開きます。
また施策の実行をする際に、様々な種類のツールを導入する必要があります。
例えば、企業のDX推進に活用されるツールの一例としては、クラウドサービスやデータ分析ツール、プロジェクト管理ツール、CRMツールなどがあります。以下では、企業のDX推進に活用されるツールを紹介します。
クラウドサービス
クラウドサービスは、インターネットを介して提供される様々なサービスの総称です。クラウドサービスには、サーバーやストレージ、アプリケーションなどが含まれます。これらの環境構築から保守、運用までは、クラウドサービスの事業者が担います。リソースの拡張や縮小が容易なため、コスト削減や業務効率化などができます。
参考:『【AWS・GCP比較】実務で利用する私の主要10機能比較!』
データ分析ツール
データ分析とは、企業が保有するビッグデータを収集や管理、分析するためのソフトウェアのことです。データ分析ツールを活用すれば、マーケティングや経営課題の解決などに役立ちます。データ主導型の意思決定ができるため、近年多くの企業に注目されています。
参考:『【2024年版】データ分析ツールとは?メリットやおすすめツール10選を徹底比較』
プロジェクト管理ツール
プロジェクト管理ツールは、工程やスケジュールの可視化、メンバー別のタスク管理、情報共有など、プロジェクトに関連する作業を管理するためのツールです。入力されたデータはツール内の関連機能に自動的に連携され、プロジェクトの管理を効率化します。特に、DXプロジェクトにおいては、その効果的な管理と進行に欠かせません。
CRMツール
CRMツールは、顧客関係管理に特化したソフトウェアです。企業と顧客とのコミュニケーションや関係性を一元管理することで、顧客満足度の向上に役立ちます。また、従来のメモやExcelシートで顧客情報を管理すると、作業負担が大きくなり人的ミスのリスクが高まります。CRMツールを使用することで、これらの課題を軽減し、顧客情報の管理が効率的かつ正確に行えるようになります。
7.PDCAサイクルで行う
DXは中長期的な取り組みであり、すぐに成功するとは限りません。そのため、PDCAサイクルを繰り返し、実行した施策の効果を評価し、必要に応じて戦略や目標を見直すことが重要です。成功事例が出たら、他の部署や事業へ展開し、全社的な影響を拡大していくことが推奨されます。
しかし、DX施策の実行中には部署間の連携問題、人材育成やシステム改修の遅延など様々な課題が生じることがあります。これらの課題を前提に、継続的な改善と長期的な取り組みを進めることが、DX成功のためには大切です。
8.まとめ
本記事では、DXの現状や重要性、必要な要素、DXの進め方、DXツールの紹介や注意点などを解説してきました。企業のDXの進め方は、DX推進の明確な目標設定やDX推進体制の構築、施策の優先順位の決定などを含む、6つの段階を適切に実施することが重要です。
企業のDX化は中長期的なプロジェクトになるため、継続的な改善も必要になります。また、DXを進める人材が必要になりますが、国内ではIT人材が不足しており、人材確保が困難な側面もあります。社内にDXに詳しい人材が存在せず、DXの進め方がわからない方は、弊社データビズラボにご相談ください。
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