
本記事は、クラウドサービスの導入にあたって「AWSとGoogle Cloudどちらかを選びたいが比較方法がわからない」という方を対象としています。
弊社でも、データ基盤構築にクラウドサービスの導入を検討しているクライアント様の支援をすることがあります。その中には、取り扱いデータ量や使用するサービスは決まっておらず、使用しながら徐々に拡張したいといった要望をお持ちのクライアントも多くいます。
そう言った方に誤解を恐れずに言うならば、AWS・Google Cloudの基本的な機能に差はありません。また、詳細な要件が決まっていない限り、料金比較も難しいです。よって、スモールスタートでクラウドの活用を始めたいという方は、クラウドサービスの比較検討に時間をかけずどちらかを導入し、まずは使用してみましょう。
目次
1. AWSとGoogle Cloudの比較表
以下は公開情報からAWSとGoogle Cloudの基本的な情報を整理した比較表です。「AWS GCP 比較」と検索するとよく目にすると思います。
2. 機能面は大きく変わらない
上記の比較表でAWSとGoogle Cloudの違いについて基本的な事項は理解いただけたと思います。しかし実際にどちらかのサービスを導入するにあたっての判断材料とするには情報が足りないと感じられる方も多いのではないでしょうか?
機能的な面で言えば、AWSかGoogle Cloudのどちらか一方でしか出来ないことというのはほとんどありません。一般的なWEBシステム構築や、当社で多く対応しているデータ分析基盤構築やメタデータ管理程度であればどちらのサービスでも問題なく実施できます。
比較表にはAWSは高いセキュリティ要件の実現が可能と記載されることが多々ありますが、Google Cloudでも高いセキュリティ要件が必要と予想されるシステムでの利用実績はあります。
Google Cloudでの高いセキュリティが必要だと予想される野村證券株式会社のシステム構築事例はこちら
また、Google Cloudはデータ分析や機械学習に向いているといったことも言われますが、以下のようにAWSでデータ分析基盤を構築した事例は多々あります。
上記はほんの一例です。是非、AWSやGoogle Cloudの事例紹介ページで自社で検討しているユースケースを検索してみてください。ほとんどの場合、どちらのサービスでも豊富な事例が紹介されていることでしょう。
AWS, Google Cloudのどちらかでしか出来ないことは限られています。そのため、機能比較を詳細に行っても、自社導入に向けての判断材料になるほどの有益な比較情報を得ることは難しいでしょう。
3. 詳細な料金の比較は難しい
クラウドサービスはシステムの柔軟な拡張・縮小に対応している点が大きなメリットであり、導入の段階から取り扱うデータ量やインフラ要件を決めきれない場合が多いと思います。料金についても、詳細なユースケースやシステム要件が決まっていない限り、比較は出来ないと言って過言ではないでしょう。
会社にとって料金は非常に重要な観点ではありますが、要件が決まってない状況で比較検討をしたところでAWSとGoogle Cloudどちらが優位かは判断出来ないでしょう。
AWS、Google Cloudともに料金見積りツールを提供しています。下記を確認していただければ、どちらも料金を算出するのに詳細な要件が必要だと言うことが理解いただけると思います。
AWSの料金見積りツール(AWS Pricing Calculator)はこちら
4. とにかく使ってみた方が良い3つの理由
ここまで、公開情報での比較検討が難しいことについて述べてきました。公開情報での比較検討を行うには多大な工数がかかり、機能面・費用面では明確な示唆が得られない可能性が高いことが理解いただけたと思います。
そこで私が提案したいのは、AWS、Google Cloudといった有名サービスであれば、比較検討に時間を割かずどちらかを導入し、自社向けの環境を作り込み、実際に使ってみようということです。
4.1 想定外のトラブルはつきもの
どんなに公開情報で情報収集を行っても、導入後には想定していなかったトラブルが起こります。私がクラウドプラットフォームサービスを導入した際にも実際に使ってみることで、下記のような示唆を得ることができました。
- ドメイン登録に際して他のGoogle提供サービス利用状況との調整が必要
- IAMの特権管理者はどのような権限を持っていて誰が相応しいか社内ポリシーの策定が必要
- Tableauダッシュボード用(人材管理)のデータ保存・加工利用料金はどれくらいか
- 運用していく上でどのような人材が必要か
実際に導入することで公式ドキュメントを用いた比較検討では検証できていなかった上記のような課題が多く見つかりました。詳細な要件定義がない限りは、公開情報での比較ではなく、実際に導入し、上記の課題を潰すことに注力したほうが良いでしょう。
4.2 費用リスクは限りなく小さい
仮に一度導入したクラウドサービスから撤退する場合も費用リスクは限りなく小さいと言えます。
AWSやGoogle Cloudは基本的に従量課金制であるため、実際に作業した量(コンピューティングであればサーバーを実行した時間や処理内容)にしか課金されません。オンプレミスのシステム構築ではハードウェアを事前に準備する必要があり、その工数や費用が無駄にならないよう慎重に導入検討することが一般的でした。しかし、クラウドサービスはハードウェアの準備も必要ありませんし、必要な機能を必要な時に利用出来るため、費用リスクは非常に小さくなっています。
また、AWS、Google Cloudともに課金が一定額に達するとアラートを出すサービスがあります。これを利用し、事前に用意している予算内で利用することで想定外の課金も防げるでしょう。
4.3 どうしても悩むならAWSを選ぼう!
若干暴論気味に聞こえるかもしれませんが、どうしてもAWSかGoogle Cloudか決められないのであればAWSを選択しておけばまず間違いはないでしょう。(もちろんGoogle Cloudが悪いわけではありません。)
迷っている人にAWSをおすすめする理由は、シェアも大きく、サポート体制も充実しているため、より安心して利用することができます。
比較表でも示したように、クラウドプラットフォームサービスシェアNo.1であり、日本語でのサポートや技術ドキュメントもGoogle Cloudよりも豊富です。導入初期には想定外のトラブルが発生することも多々あります。そんな時には、サポートが手厚いAWSを選んでおくのが無難だと思います。
Google Cloudにも日本語サポートはあります。Google系サービスのUI・UXに慣れていると言う方はGoogle Cloudの方が操作が容易でありスムーズな構築が実現できるかもしれません。
5. まとめ
これからAWSまたはGoogle Cloudを利用している方はぜひ、以下を念頭に置いていただければと思います。
- 公開情報での比較検討に時間を割きすぎない
- 実際に使用することでわかることが多くある
- いきなり導入しても費用リスクはとても小さい
- 迷っているならAWS
ぜひ、皆様の会社のDX推進並びにデータ活用がクラウドサービスの活用によって向上することを願っています。
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