デジタルトランスフォーメーションの講演を200回以上やってきた私が受けたよくある19の質問に回答します

私はこれまで、デジタルトランスフォーメーション(DX)をテーマとして、海外・国内含めこれまでおよそ200回以上の講演やセミナーを行ってきました。そこでは、数多くの質疑応答があったのですが、時間の制約上、どうしても一般的な話になりがちでした。本記事では、講演やセミナーでご質問頂いた中から、19個を厳選し徹底的に回答します。

本記事は、「自社のデータ活用に悩んでいる」「何からやればいいのかわからない」「新しく新設したデジタル戦略室に配属された」などデータ・デジタル領域でお仕事をされる全ての方に向けに書きました。読み終えていただければ、データ活用・デジタルトランスフォーメーション(DX)の大方針ともなる羅針盤としてご活用していただけるものと信じています。

デジタルトランスフォーメションという言葉自体、その文脈や人により思い浮かべるものは様々です。ですので、ピンポイントの定義はないと言っていいでしょう。本記事では私自身の講演やセミナーで頂いた質問をベースとしているため、必然的に”データ利活用”の観点での比重が大きくなっています。


目次

経営層・トップマネジメント

Q1. DXの重要性やインパクトを経営層に理解してもらうにはどうしたらいいですか?

  A.小さな成功事例を作って、それを社内に広報すると、上手くいくことが多いです。

具体的には、以下のようなプロセスでやります。

  1. 小さく起こせた成功を、社内に宣伝する(スモールスタート・クイックウィン
  2. そうすると、その成功事例にあやかりたい人たちが、同じパターンを完コピして成功事例を作る。
  3. 同じ成功パターンが増えていく
  4. 別のパターンのデータ活用のための算を取りやすくなる
  5. データ活用を自分の便益にしたいと考える経営層の一部が、データ活用の推進役を買って出る

どうして、「小さな成功事例」なのでしょうか?

社内での実績もろくにないうちから、いきなり、多額の予算と期間がかかる、大きなプロジェクトをやろうとしても、会社の上層部になかなか認めてもらいにくいからです。

まずは小さな実績を作ると、もう少し大きなプロジェクトの承認がおりやすくなります。

ですので、”わらしべ長者”的に、少しずつプロジェクトを成功させながら、プロジェクトのスケールを大きくしていけば、やがては会社全体を大きくDXへと舵をきるようにもっていきやすくなります。

小さな成功の起こし方

小さな成功を起こせといっても「その起こし方がわからない」という方もいらっしゃるでしょう。「小さな成功」それ自体は、当社のようなコンサルティングファームが行っているPoC支援がそれに当たるものである場合もありますし、部署でこれまで手元でコピペ作業していたことをリアルタイム更新してみることだったりします。企業のビジネス規模やまわりの環境に合わせて、素早く結果の出せるインパクトのある小さな成功事例を考えてみるのが良いでしょう。以下は、「小さな成功」の観点のヒントです。

 

最初のきっかけを作る小さな成功のヒント
  • コピペ作業がなくなる世界を小さな規模で見せる
  • 数字の羅列など見づらいものを瞬時に理解できる世界を見せる
  • ファクトだけを羅列するのではなく、インサイトを出してみる
  • 手元で属人的に行っている仕事を、多くの人に共有できる世界を小さな規模でつくる
  • 毎日行っているコピペの仕事をなくすにはどうしたらいいか?と考えてみる

Q2. 経営層からのコミットメントは絶対に必要ですか?

   A.経営層・トップマネジメントのコミットメントは良質なデータ活用・DXにするためには必須です。

そもそもデータを活用すること自体が「重要ではあるが明日どうにかなってしまう」というような緊急性の高いものではなく且つ成果がでるまでに時間がかかることであり、後回しになりがちです。だからこそ、経営層・トップマネジメントの推進力がないと、途中でぽしゃったりしてしまう可能性が高いのです。

データ活用は結果が出るまでに時間のかかる取り組みです。ですので、そもそも短期最適化だけを考えている会社や短期ROIを追うことに焦点のある会社は、現実的には成功はほぼ難しいです。成果がすぐに見えなければお金が勿体無いという考え方や、小さく始めて育てるところまで待てなかったりするためです。

その他下記の観点でもコミットメントは重要になってくるでしょう。
  • 社内推進や能力開発など目に見えにくいことは支援されなければ継続しにくいから
  • データ活用は複数部署との連携が必須だから

ですので、小さな成功を出しながら、経営層のコミットメントを得るフェーズに時間をかけるのは割に合うことが多いでしょう。

Q3. 経営層はデータについて理解ある人がおらず、デジタルが浸透していない古い企業です。このような状態でもDXに取り組めますか?

  A.デジタル領域に疎いからこそ「自由にやっていい」と任せてくれるパターンも多いです。

もちろん、「データについて理解がある経営層が仕事を任せてくれる」というのがDXの取り組みとしてもっともスピーディに進みます。しかし、経営層がデータやDXに関して「よく理解してくれていないけど任せてくれる」場合(多くは推進者や推進部隊が信頼があるケース)でも、チームや体制をうまく社内で組成すれば実務はうまくまわるでしょう。

このようなケースでは、社内には現時点でデジタルが浸透していないとしても、この領域に勘所のある方が率先して取り仕切り、コンサルティングファームとうまく連携ができているパターンもあります。

そして、経営層がデータについて理解しておらず、さらに任せてくれないパターンでは、データ活用やDXの事柄云々というより、”新たなことを始める”ときに出会う課題になるでしょう。それが合理的に正しいか正しくないかよりも、「わからないものに対する不安感」「わからないものに対するお金を使う恐怖感」であったりします。その点を信頼構築とともにうまく解きほぐしてあげるのが先かと思います。


戦略

Q4. お金も人も不足している状態でデジタルトランスフォーメーションを進めるためのアドバイスはありますか?

  A.データ活用・DXそれ自体は、人や予算が潤沢にある企業だけが行うものではありません。

むしろ、上場企業や大企業で組織が大きくなればなるほどデータの構成や所有権・統括などがあり自由な分析が難しくなるということもありえます。小さい会社の方が、部署横断でのデータの統括や所有権などの議論がなくスピーディにデータ分析や活用が行えるという良い点もあります。

これまでの経験上、当社のお客様では、お金や人が不足していても下記のようなシグナルがあるお客様はうまくいっていることが多いです。

    業務時間内に学習時間をとる

    新しいことを学んだりツールに習熟にするにあたり、時間の確保は必須です。しかし、多くの会社でこの点への配慮はないがしろにされがちなのではないかと感じます。もちろん、スキルアップにはスタッフの自助努力による部分は大きいです。しかし、企業としてある程度支える部分がないとあまりに難易度が上がります。そこでできる限り本業に影響を与えないような時間の配慮が必要です。上長の方と工夫して仕事量の調整や時間の確保をするのがコツです。

    当社でも研修・トレーニングを提供していますが、うまくいっているお客様は、中核となるコアコンテンツは業務時間内にきちんと入れ、さらにワークショップや勉強会は業務時間外などにする、というスタイルで行なっているお客様がほとんどです。

    経営層・トップマネジメント自ら学ぶ姿勢を見せる

    研修・トレーニングを提供させていただいていつも思うのは、データ活用・DXがうまくいっている企業ほど役員の方や部長・課長クラスの方が一番前で一生懸命学びます。このお姿には、私自身いつも感動します。

    経営層・トップマネジメントの方こそが「自分ごと」として学んでいる姿勢を見せることで、スタッフの方達もモチベーションが上がったりされていることが多いです。

    こちらの記事にも、経営者の方自らがプログラミングを学ぶお姿がありますね。

    「スカイマーク会長がRuby on Railsを学ぶ理由」

    スカイマーク会長

    出典: 日経 xTECH

    これを起こすためにも、前述の小さな成功”クイックウィン”は大切です。

    Q5. デジタルトランスフォーメーションのROIはどのように測ればよいでしょうか?

      A.自社のKSF(Key Success Factor)から考え、自社にとって重要な指標の組み合わせを作っていきます。

    他の企業で使っているROIを真似るのは意味がほとんどありません。自社のKSFからKGI、KPIを定義していき、それらの組み合わせで解釈していくことが重要です。

    例として、大企業の人事部内でデジタルトランスフォーメーションのROIを測定した簡単な例を見てみましょう。当初の目標は、業務効率を改善するための休暇申請プロセスを自動化することです。

    従業員が休暇申請をメールで送信し、人事部がその申請を承認するまでにかかる時間を考慮すると、手作業のプロセスでは毎月100時間の従業員の時間が必要になるとします。もし合理化されたワークフローを作った場合、従業員の時間は月20時間に短縮され、組織のコストを大幅に削減することができます。

    こういったいわゆる「効率化」の側面での削減時間でROIを考える、というのは誰にでもわかりやすくDXの最初の入り口になりえます。明確で、測定可能で、大局的な目標と一致しているからです。誰にもわかりやすい指標を使うというのは推進の観点では実利があります。

    また、下図は、PwC Strategy&さんが出されているROIのフレームワークです。こういったフレームワークでインスピレーションを得ながらROIを形作るのも良いでしょう。

    出典:PwC Strategy&

    上記のデジタルROIフレームワークを日本語にしまとめたものが下記です。自社のビジネスに照らし合わせて考えるインスピレーションになるかもしれません。

     

     

    • 顧客視点:NPS、SNSでのメンション、センチメント
    • 従業員視点:エンゲージメントスコア、コラボレーション、退職率、デジタル浸透
    • 業務視点:スループット、在庫レベル、レスポンス速度、一次回答スピード
    • 安全性の視点:プライバシー侵害数、不正行為件数
    • インフラ視点:新しい技術の導入スピード、サービス稼働時間、問題解決のリードタイム
    • イノベーション視点:新しい技術への予算消化割合、コンセプトデザインを形作るような新しいアイデアの割合、新しい商品やサービスからの新しい顧客/セグメント

    Q6. 戦略策定はどのようにしたら良いですか?

      A.ざっくりですが、データ戦略、組織戦略、技術戦略で考えると最初のつかみは整理しやすいでしょう。

    データ戦略

    データの量・質に関すること、やりたいことに対するデータの有無、データ収集にかかるコスト試算etc

    組織戦略

    社内推進、能力開発、経営層・トップマネジメントのスポンサーシップ、デジタル部門の設立、必要な人材の把握etc

    技術戦略

    ビジネスモデルに合わせた必要な技術、優先順位、コスト、メンテナンス性etc

    Q7. 一般的に何年やれば結果が出ますか?

      A.最低2年は本腰を入れて頑張らないと、目に見えた結果や文化が変わってきた実感は得られないでしょう。

    企業の状況やビジネスモデルによるところが大きく何とも言えない部分ではあります。しかし、当社のお客様の例では、社内推進の観点からの当社の研修・トレーニングサービスも、基本的に1年プランで提供しており、地に足をつけて頑張っています。

    しかし、逆に言えば、こちらの社長ブログにも書きましたが、「結果が出るまで時間がかかること」は多くの人がしないので、「やるだけで上にいける」「ライバル社が始めたとしても真似するまでに時間がかかる」とも言えるのではないでしょうか。いち早く”何もやっていない状態”からDXへ離陸することが優位性を増すことにつながるでしょう。

    Q8. 投資金額はどのように考えたら良いのか?

      A.DXにおいて”お金がかかる”という場合には、お金がかかる理由をしっかり見極める必要があります。

    組織が”現代”のシステムであれば、「今の状態から発展的にやりたいこと」(例えば、ビジネスに直結する新たな分析をしたい、など)だけに焦点を当てて投資のROIを考えられます。

    しかし、国内のデジタルトランスフォーメーションにおける投資金額の割合の多くは、ゼロからプラスにする作業というよりも、マイナスからゼロにする作業にかなりのコストがかかる場合が多いです。なぜなら、ITシステムを理解する人材の育成やITシステムのリファクタリングを行なって来なかったツケがあり、ITシステムの改修に極めてコストがかかる状態だからです。

    経済産業省から出ている「2025年の崖」であるシステム・データベースの状況である企業はとても多いです。

    2025年の崖

    出典:経済産業省 DXレポート

    この場合においては、発展的な分析以前の問題で、ツケが原因で何をやるにも多大な金額が必要になることが多いです。しかし、現状のシステムがレガシーすぎたりメンテナンスを怠けている場合においては、これを行わなければ次のステップにいけません。デジタル投資を怠ってきたレガシー企業が、デジタルネイティブな会社にTransformするにあたり「お金がない」といっていられない状態である可能性もありします。まずざっくりでも、データ活用の目的に合わせてデータの量や質などの評価を第三者にしてもらうのが良いでしょう。

    Q9. どのようにツール類を選べばいいでしょうか?

      A.ツール、テクノロジーの変化はとても早く、現時点でのスナップショットでツール類を比較する意味はそこまでありません。

    なぜなら、ツール類は進化するスピードがとても早く、スナップショット時点での機能で比較する時間を使うのは投資(時間)対効果が合わなすぎるからです。

    当社ではBIコンサルティングもサービスの一つであり、BIツールの比較はとてもよく聞かれる質問です。あまりにご質問が多いため、当社でもこのような記事を公開しています。

    私が実業務で使用した人気BIツール7種を機能面で比較してみた結果

    比較したいというニーズにストレートにお応えするためにこのような記事を書いてはいます。しかしながら、現実的には、ツールの微細な機能の違いよりも下記の観点がツール選びにクリティカルに重要です。

    • 自社のビジネスとツールの相性
    • 自社のデータとツールの相性
    • 現在のアーキテクチャーとの相性
    • ユーザーが活用レベルまでいけるか

    これらは個別具体的な問題になるため、一般的な比較表で答えの出るものではありません。経験のあるコンサルティングファームに支援してもらうのが安全策でしょう。


    分析テーマ設計・企画

    Q10. 分析テーマとしては何から始めるのが良いですか?

      A.実利がイメージできる、PLにダイレクトにヒットするものが良いでしょう。

    実際当社にデータ活用・DXに関してご相談を頂く際にも、「データを使ってなにをやりたいのかわからない」という企業は多いです。そのような時には、その会社のビジネスモデルのPLにダイレクトにヒットするものを素早く出します。BSに紐づくものよりもストレートに実利がわかりやすいため、その「投資対効果」をイメージしやすいからです。

    具体的には、企業の売上アップに寄与するもの、もしくはコスト削減に寄与するものがスタートには良いでしょう。PLに間接的なテーマから始めると、何も効果がないと認識され、全てがぽしゃってしまう可能性もあります。下記は、それぞれの一例です。ヒントとしてください。

    最初の分析テーマのヒント

    売上アップに寄与するもの:コンバージョン率改善、トップ営業マンの行動分析、新規・継続契約数アップ、クリエイティブの画像分析、レビューや口コミの感情分析・・etc

    コスト削減:業務効率化、手続きの自動化、原価削減につながるものetc

    Q11. 初めての業界のクライアントを支援する際、どのように提案しますか?

      A.企業戦略とビジネスモデルの理解を基盤に、現時点で持っているデータが最大限どこまで使えるか理解をしご提案しています。

    データ分析において価値を出すにあたり、分析のグランドデザインは非常に重要です。加えて、顧客そのものの理解、またビジネスモデルの理解はさらに重要です。例えば「金融業界」といっても、保険、銀行、信託、などでは保持しているファンクションが全く異なるからです。

    コンサルティングファームとしては割と普通なのですが、下記のようなプロセスを経て分析企画・設計をしています。

    • 業界リサーチと顧客リサーチ(いわゆるデスクトップリサーチ)
    • インタビュー(目的、現状認識しているビジネス課題、データの状態、分析の展開性、運用、ユーザーなどについて、各部署へインタビュー)
    • データレビュー(データの量、質)
    • アーキテクチャーレビュー(ETL、DB構成、プラットフォーム全体)

    このプロセスをスキップする人が結構いますが、これを飛ばして”それっぽいもの”が出来てもあまり意味がありませんので、当社ではかなりこの部分を重視して固めています。

    Q12. 分析を進めるにあたり、どのようにステップを踏んでいけばいいですか?

     A.現状からあまりにかけ離れすぎたところを狙うのではなく、着実に目の前階段を一つずつ登っていくことです。

    とかくデータ活用・デジタル領域の話は、投資金額も多いことから、「誰も気づかなかった何かを得られるように!」など、思ってしまいがちです。しかし、階段は1ステップずつ登らないと、高い階段までいけません。地味ではありますが、まず丁寧にきめ細やかに現状把握をできるようにすることが第一優先です。

    ざっくりですが、下記のような階段をイメージすると良いです。

    階段の図

    ご参考までに、ガートナー社でも、BI/アナリティクスの成熟のレベル段階を下記のように表しています。

    Business Intelligence Maturity Model - DZone Big Data

    Gartner(2016)

    Gartner(2012)

    ほとんどのお客様が、最初の一歩目を飛ばして高度なことをやりたくなってしまいます。しかし、一歩目を飛ばすことはほぼ不可能です。理由は主に下記です。

    • 段階を経て質の良いデータがたまっていくため、最初から高度なことをやろうとしても、データの質がボトルネックとなる
    • 第一歩目も踏んでいない場合、組織にデータを見て理解するそもそもの力がついていないことがある
    • 現在何が起こっているかをきめ細かく把握できなければ、高度な分析を活用をできないことが多い

    地味な第一歩めですが、やってみると、意外に自社の数字を何も把握できていなかったことに気づき、多くのお客様がその大切さに気づいていらっしゃいます。


    体制

    Q13.DXにおける、組織としてのインセンティブ設計や能力開発にはどのようなものがありますか?

      A.例として、下記のアイデアは割と手っ取り早く始められ、外部ファームと連携すれば上手くいきやすいでしょう。

    • ジョブディスクリプション上で、それぞれの職位に適切にデータリテラシーのアウトライン概要を作り、それによって評価する
    • それぞれの職位や領域に適切なデータ研修プログラムを設計し、実行する
    • 社内資格制度をつくる

    データ分析やデータを実務で使う人に対する人材への正しい方針(Talent Policy)の設計が今後ますます重要度を増します。これらには、採用、社内トレーニング(研修企画)の方針、能力開発、評価管理、報酬設計なども入ります。

    多くの企業を見ていると、分析関連の研修やトレーニングはまだどのような職位や領域でも「オプショナル(任意)」の扱いとされることが多く、「必須」の研修科目としている企業は国内・海外ともに少ない状況ではあります。

    しかし、最近日本でも、役員や管理職向けのトレーニングや研修を実施させていただくことも増えてました。強い企業は、自社にはどのようなデータソースが使えるのか?どんなツールがあるのか?などを上層部がしっかり見て理解できている企業も増えてきている印象です。

    Q14.デジタル領域の専門部署は作るべきですか?

      A.旗振り役・推進役となる部署を設けることができるのはそれらを下支え出来、とても素晴らしいことです。
    設立することができれば、データ活用スピードは加速するでしょう。実際、データ活用・DXは継続的で地道な活動がものを言います。ツールやハードウェアなど”目に見えるもの”を買って終わりではなく組織文化の醸成こそが中核だからです。これらを推進する人は、いわゆるCoE(Centre of Excellence)などと呼ばれたりします。
    デジタル領域の専門部署やその役割を担う部署は、下記のようなことを推進するとうまくいくケースが多いです。

    コミュニティ創成

    疑問や意見を共有できるような環境(オフライン、オンライン)を作ることで、ユーザーは自然とそのコミュニティで”学べる”ようになります。自分自身のスキルを伸ばすだけでなく、人に教えたり、共有できるようになっていきます。
    技術的な質問やサポートをする場というのは、多くの会社で既にあるかもしれません。しかし、コミュニティができることでもっとも大切なのは、技術的な質問や解ではなく、ユーザーとコミュニケーションすることで潜在的なニーズや心配、懸念に気づくことができることです。

    もしあなたの会社にデジタル専門部署のCoEができたら、コミュニティの「クイックウィン」としては、下記のようなものをしてみてください。

    • ポータルページの設置
    • 各ツールのライセンスに関するユーザーディレクトリ(ユーザーの情報を格納する場所)を保持
    • FAQを作成
    • 皆が使える学習プランを共有
    • データ系の社内イベント告知
    • Confluence、Slackなどの情報共有ツールの導入と活用、研修

    コミュニティがあれば、人は助け合い、自然に教えあったりできます。

    Q15.データ関連の業務は外注すべきでしょうか、内製すべきでしょうか?

      A.経験のあるアドバイザーのサポートやフィードバック、外部からの支援を受ける価値は大きくあります。

    データ活用・DXにおいては特に最初の立ち上がりは大きな方向性を決定づけます。将来に響いてしまう判断を間違わないようにするためにうまく支援を受けるのは価値があるでしょう。

    例えばBIツールのPoC(効果検証)を自社で行うとしても、「おっとっと、、、テキストボタンはどこだっけ、、、」「色はどうやってつけるんだ・・・」という状態では、BIツールの導入検証どころではないからです。このフェーズでは、スピーディに精度の高い解を探しに行けるようにプロフェッショナルのサポートを使うのは賢い選択肢でしょう。

    また、自社に、成熟した分析組織が出来上がるのはとても素晴らしいことです。しかし、だからと言って、忙しい時に簡単に必要な人を採用できるわけではありません。「人手不足を言い訳に仕事を受けきれない状況に甘んじていると、事業部門の期待にはこたえられない」というのは大阪ガス河本さんのご著書『最強のデータ分析組織』でも触れられているところです。大阪ガスさんも、この人手不足を外部委託で穴埋めされていらしたそうです。

    河本さんによると、外部に頼む仕事は大きく二つあり、

    • 自前でやるより、外部に頼んだ方が効率的にできる仕事
    • 自前でやるほうが効率的だが、外部に任せやすい仕事

    →目標やプロセスを明確にできる仕事に関し、事業部門から予算をもらう

    外部の人間の使い方の深い洞察と思い、共感します。

    また、河本さんは下記のようにもおっしゃっていらっしゃいます。

    外部委託を始めた当初は、その場しのぎに利用していたというのが本音です。しかし次第に、意図的に外部委託するように変わっていきました。外部の戦力をできる限り使うことで、分析組織全体のマンパワーにレバレッジを利かそうと考えたからです。今では外部委託できる仕事を私たち自身でやることはムダと考えるようにさえなりました。

    限られた人数の分析組織で、事業部門に最大限の成果を提供するには、委託できるものは可能な限り外部に任せ、自らの時間は私たちでなければできない仕事に投入する。この考えはもはや、私たちの行動規範を超えて、メンバー共通の価値観になっています。その結果、私たちが自分で全てをこなす場合に比べて、2−3倍の仕事量をこなせるようになりました。 

    このような考え方も、外部委託の非常にうまい使い方と感じます。

    その他、組織での問題として、下記に直面していることが多いです。

    • 何をやればいいのかそもそもわからない
    • データの状態や質を多くの人が把握できていない
    • ビジネス部門とデータ系部門との意思疎通がうまくいかない
    • プロダクトを選定・検討している

    このような悩みがある場合は、自身が気づけない重要なポイントに気づかせてくれるプロフェッショナルが入るタイミングであったりします。

    Q16. デジタル人材がいません。今いるメンバーを育成すべきですか?外から新たに採用すべきですか?

      A.今いらっしゃるメンバーも育成しつつ、外から新たに採用したり、外部からの力を組み合わせていくのが良いでしょう。

    そのためにも、現在の自社の全体のレビュー(技術、組織、データ)を行うことが必要です。

    一般的に、「育成」には相応の時間がかかります。かといって、外部から新たに採用しても、組織を理解するにも時間がかかり立ち上がりがスピーディに行く保証もありません。ですので、もしDXの初期フェーズでしたら、外注でスピーディにブーストをかけ、その後体制が整ってきたらうまく離陸していくというのはよくある一つの手です。

    Q17. データ分析を社外に依頼する場合に気をつけるべきポイントはありますか?

      A.どのような仕事のどの部分を社外にお願いするかを、明確にする必要があるでしょう。

    • 全体戦略設計
    • インタビュー、課題抽出
    • データマート構築
    • レポーティング・ダッシュボード構築
    • ツール選定・導入

    ざっくりこのような要素で、それぞれにおいても自社で行う部分と外部ファームが行う部分があるはずです。ベンダーが複数になる場合にはさらにコミュニケーションコストが複雑になります。ですので、いずれの場合においても、プロジェクトマネジメントの観点で、社内での体制図を明確化したり、スケジュールラインを適切に引き依頼することは、良いものを作り上げるための協力体制として非常に重要です。

    Q18. DX推進のメンバーにはどのようなスキルを持った人員を配置すべきでしょうか?

      A.実際、領域によって求められるスキルや知識は様々あります。

    なぜなら、DXに対しては様々な人が様々な関わり方をしており、一義的に定義できるものではないためです。しかし、下記の文科省のリテラシーレベルは、一つの最低限のレベルとして参考になるでしょう。

    データを読む力、説明する力、扱う力が端的にすっきり纏まっています。

    リテレシーレベル表

    リテレシーレベル表2

    出典:数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアム リテラシーレベル

    また、現実的には、「スキルセット」的な側面よりも、パッションや熱量を持った人がいることが重要だと感じます。データ活用は、どんな準備していも、様々な予想外なことが起こるからです。予想外には、良いものも悪いものもあります。そんな予想外なことが起きた時に、冷静に情熱を持って立ち向かえるひとがいることが重要なのです。

    ご参考までに、こちらの記事ではデータを読み、説明するため戦略からビジュアルデザインのチェックリストまでを纏めています。無料でダウンロードも可能にしていますのでご参考にして頂ければ幸いです。

    データ視覚化/ダッシュボードデザインを成功させるための95のチェックリスト

    Q19. 既存社員からデジタル人材を登用したいが、素養の有無や適性を見抜けません。何か良い判断基準はありますか?

      A.一つのポイントとして、社員の大学名だけではなく「大学の学部」に目を付けてみる、というのがまず手っ取り早くできる策かもしれません。

    経済学、統計学、情報学、理学出身などのお若い方を集めるのが王道です。理由としては、「データの取り扱い」に対する一定レベルの訓練を受けていることが保証されているということがあります。もちろん、そのような学部でも、訓練を受けていないケースもありますし、異なる学部でも十分に受けているケースもあるでしょう。しかし、一つの大きな傾向として、大学の学部は意外にも割と効いてくることが多いです。

    一つの例ですが、多くの人は、データ活用・DXというと、「自分が考えもつかなかった新発見を!」「もっと驚くような分析を!」と思いがちですが、データの取り扱いを理解していると、”当たり前のことを出す価値”を理解していることが多く、その意味で実務上の会話もスムーズにいくことが多いでしょう。

     

    もちろん、大学名であれ学部名であれ、人事上データとして持ってはいるでしょう。しかし、学部を社内の采配の一つの材料としている企業はそこまで多くはありません。学部自体が何か保証したり決定づけるものではありませんが、コストもかからないシンプルな策ですので、人事戦略の一つの材料にしてみるのは損にはならないでしょう。


    まとめ

    ここまで色々な点に関して回答してきましたが、デジタルトランスフォーメーション・DXにおいてはどのようなテクニックよりも、信頼関係の構築が最も重要と感じます。なぜなら、 利害関係的にデータ分析者や当社のような外部の人間に出したくないデータも多いですし、不都合な結果が出てきたら辛いものだからです。しかしそれでも、この人なら言える、腹を割って話せる、と思っていただけることが重要なので、そのような人間になるべく日々自分も頑張っております。「デジタル領域に疎いので・・・」と思ってしまっている企業にこそ寄り添い、伴走していきたいと思っています。
    また、データやロジックは大事です。しかし、データやロジックで判断できる材料や結果が出揃ってから判断するのでは今の時代は”遅すぎる”ということがあります。その状態で判断していては、ライバルも同じ状態だからです。
    「データ」と「データはないが信じるもの」、それらの融合でデジタルトランスフォーメーションはうまく導かれるのでしょう。
    拙著『データ視覚化のデザイン』にも、組織内でのデータ活用について触れています。よろしければお手にとっていただけたら幸いです。

    データ視覚化のデザイン表紙

    データのことなら、高い技術力とビジネス知見を融合させる私たちにご相談ください。

    データ分析/データビジュアライゼーション/データ基盤コンサルティング・PoC支援に加え、ビジュアルアナリティクス、ダッシュボードレビュー研修、役員・管理職向け研修などのトレーニング、組織に根付くデータ活用戦略立案の伴走をしています。

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