企業のDXを担当するそこのあなた!もしかしてDXとIT化を混同していませんか?
DX施策と思い込んでいたものが実のところIT化の推進だった場合、DXとして期待されるような成果は得られません。昨今DXがもてはやされるにつれ、単なるITツール導入をDXと銘打ってしまう事例が見られるようになってきています。各社DXに向けた取組を進める中、無駄に時間費やして他社に後れを取ることは避けたいですよね。
そうならないために、この記事ではDXとIT化を見分けるための比較表や典型的な事例をまとめました。これからDXに向けた取り組みを始める方でも方向を見誤らないよう、分かりやすく解説していきます。
目次
1.DXとIT化の違い
DXとIT化の違いは、一言でいうと改善のためのデジタル化か革新のためのデジタル化かの違いです。
細かく見ていくと幾つかのポイントがありますので、まずはその全体観を比較表で見てみましょう。
1.1. 比較表
1.2. IT化
IT化は従業員の仕事を便利にする目的で、業務をPCやシステムで置き換えることです。例えば、決裁業務や名刺管理といったアナログな業務を対象に、パッケージソフトを導入したり、システムを開発するというのがこれにあたります。業務効率化が目的なので、基本的には従業員視点で既存のものを継承した扱いやすいものが志向される傾向にあります。
1.3. DX
対してDXとは、データやデジタル技術が可能にするこれまでにないサービス・製品を打ち出すこと、そしてそれが持続的に可能な企業になることです。IT化と異なり事業構造や提供価値の変身ですので、場合によっては業務の内容もガラッと変わってしまうことも厭いません。
1.4. DXとIT化の関係
では、DXとIT化は別物でまったく関係がないのでしょうか?
当然そうではありません。IT化はDXを進める上での前提条件の一つといえます。
DXはデータやデジタル技術を用いて顧客理解を深度化・高速化し、それに応じたサービスを開発・展開することです。ここで必要になるものが、分析対象となるデータです。IT化によって紙でしか残っていない企業活動をデータ化することは分析できる範囲を広げるこになります。特に顧客行動の把握に直結する営業データ、顧客情報、購買履歴やWebサイトの訪問履歴などは重要なデータであり、SoE(System of Engagement)領域として特にDXを推進する上で重視されています。
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2. IT化の事例
2.1. 電子契約
電子契約・電子署名は昨今耳にするIT化の代表例です。
これまで紙とハンコで実施していた契約書面の取り交わしを、PDFファイルと電子署名に置き換えることで郵送や保管の手間を効率化しています。
デジタル技術を用いた結果、契約行為という業務自体は存続しつつ効率化したという点でIT化と言えます。
2.2. 飲食店でのセルフオーダーと配膳ロボット
チェーンの飲食店を中心に見られるようになったタブレット端末でのセルフオーダーもIT化の一例です。
これまでのスタッフが席に行き口頭で注文を聞く方法と比べて、スタッフのオーダーミスの削減、人件費の削減を多くの店舗が達成しています。また、ファミリーレストランなどで見かけるようになった配膳ロボットも、同様の効果が得られるものです。
ここでもタブレットというデジタル端末を用いた結果、「注文→調理→提供」というフローは変更せず効率化を達成しているという点でやはりIT化と言えます。
その他中小企業庁がIT化事例をこちらに紹介されています:https://mirasapo-plus.go.jp/hint/16760/
3. DXの事例
2.1. ソニー損保
デジタル技術を用いて自動車保険を”もしもの保証”から事故を減らすサービスへ転換した例です。
スマートフォンアプリ「GOOD DRIVE」で自動車保険契約者の運転特性データを収集しています。このデータから安全運転のアドバイスを実施するとともに、事故リスクを推定して運転スコアの高いドライバーへはキャッシュバックを実施しています。これにより、実証実験では事故リスクを15.3%削減する効果が報告されています。
出典:https://from.sonysonpo.co.jp/topics/news/2020/03/20200318_2.html
スマートフォンアプリと事故リスクの推定ロジックによって顧客情報を分析し、それに応じたサービスを展開している点、また“自己リスク低減”という新たなビジネス価値を創出しているDXの好例です。
2.2. Netflixの例
ある意味究極のDXの例がNetflixです。
元々DVD宅配レンタルサービスを行っていたNetflixは従来のビジネスモデルを捨て、動画のストリーミング配信サービスという革新的なビジネスモデルに変貌を遂げました。更に、動画視聴がオンライン化したことで得られる沢山の顧客の行動履歴データとデータ解析技術を組み合わせて、動画コンテンツの自社制作を実現しています。
顧客のニーズを本質的に叶えるためにデジタル技術をフル活用した点、顧客のデータからニーズにこたえ続けるビジネスがドライブしている点で、Netflixは典型的なDXの事例と言えます。
他にも事例を挙げて、DXについて丁寧に説明した記事はこちらをご参照ください。
https://data-viz-lab.com/dx-drive
4. さいごに
この記事では、DXに向けた取り組みを始める方に向けて、混同されやすいDXとIT化の違いについて端的に説明してきました。
IT化がDXに比べて重要度が低いように感じられた方もいるかもしれません。しかし、DXの実現には顧客を理解するためのデータが不可欠ですから、IT化による業務へのデジタル技術の導入が必要不可欠です。そういった意味で、自社のDXを見据えたIT化はDX推進の第一歩として捉えられます。
自社の状況に応じて、どんなDXが可能か、そのためにIT化を含めたどんな取り組みが必要か判断していくことが大切になります。
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DXをご検討中の方はぜひ一度データビズラボまでお問い合わせください。
当メディアではDXについて様々な角度から情報を提供しております。以下の記事もご参照ください。
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