デジタル技術が発展する中で、データをビジネスに活かす企業が増えています。しかし、ただ単に社内外のデータを使うだけでは、そのデータの本当の価値を十分に活用することは難しいです。特に、データを入力する部門とデータを活用したい部門が違う場合、組織や部門間での連携が難しいという問題があります。
このような問題を解決するためには、データマネジメントオフィスの設置が効果的です。データマネジメントオフィスはデータの活用を支援する専門部署で、企業全体でデータを活用するために役立ちます。ただし、まだデータマネジメントオフィスを導入していない企業では、この部署の役割やメリットを十分に理解していない担当者も少なくはありません。
本記事では、データマネジメントオフィスの導入を検討されている方に向けて、データマネジメントオフィスの意味や必要な理由、メリット、成功するためのポイント、導入事例などについて解説します。
目次
データマネジメントオフィスとは?
データマネジメントオフィス(DMO)は、企業やさまざまな組織においてデータを効果的に管理し、分析するために設けられた専門の部署です。主に組織内でデータマネジメント戦略を実施し、データマネジメントの推進を主導します。
データを基盤とした経営手法が広がる中、企業がデータをより効率的に使いこなすために、データマネジメントオフィスの存在が注目されています。そのため、今後はデータマネジメントオフィスを設置する企業が増加すると考えられています。
参考:『データマネジメント知識体系ガイド(DMBOK)とは何か?』
データマネジメントオフィスが必要な理由
データマネジメントオフィスの必要性は、現代の企業が直面するデータの複雑さと膨大な量に根ざしています。企業は構造化されたデータだけでなく、画像や動画、音声などの非構造化データやIoTセンサーからのデータなど、多種多様なデータを扱っています。
これらのデータは速いスピードで蓄積され、企業内外に散在しているため、効率的な一元管理と分析が必要です。企業の部門ごとにデータマネジメントを行うと非効率で、データ加工の方法や品質にばらつきが生じるリスクがあります。高品質なデータを活用するには、データマネジメントを専門とするデータマネジメントオフィスの設置が求められます。
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データマネジメントオフィスのメリット
データマネジメントオフィスの導入により、企業のデータマネジメントが強化され、多くのメリットがもたらされます。これには、必要な時に適切なデータにアクセスできることや、データ加工時間の短縮などがあります。また、共通のデータをもとにした判断ができる点も大きなメリットです。以下では、データマネジメントオフィスのメリットについて解説します。
必要な時に適切なデータにアクセスできる
データマネジメントオフィスを設置することで、データ管理が効率化します。データ管理が効率化することで、データを活用してビジネス戦略を策定する際などに、最適なデータに素早くアクセスできます。
データ管理環境の設計段階で、データの使用期限や保存形式、アクセス権限、保守担当者などの重要な要素を考慮します。さらに、データベース外の非構造化データは別途管理して、必要なときに探しやすくします。データマネジメントオフィスが適切なデータ管理を推進することで、データ資源を最大限に活用できます。
参考:『データアーキテクチャとは?基本概念と設計の手順、注意点までを解説』
データ加工時間の短縮
データマネジメントが推進されると、データ活用を考慮した形式でデータを保存できるようになります。この方式はデータモデリングとも呼ばれ、保存されたデータ間の関連性を明確にします。それにより、データ活用をする際に、データ加工の時間を短縮できます。また、必要な関連データを探すときにスムーズに検索が可能です。
参考:『データモデリングとは?その重要性と役割、手法を解説』
共通のデータをもとにした判断ができる
データマネジメントでは、データを標準化し共通の形式で保存します。標準化された共通データを利用することで、意思決定が個人の感覚に左右されず、より客観的で信頼性の高いものになります。データマネジメントはデータを整理し、全員が同じ情報にもとづいて決定を下せるようになるメリットがあります。
参考:『データドリブンな組織づくりの方法を総ざらい 利点や注意点も解説!』
データマネジメントオフィスを成功させるポイント
データマネジメントオフィスを効果的に運営するためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、小規模から始めて徐々に拡大するのが理想的です。また、データマネジメントの具体的な目標を明確に設定することが重要であり、自社のデータ状況を正しく理解することも欠かせません。以下では、これらのデータマネジメントオフィスを成功させるポイントを解説します。
小規模でスタートさせる
データマネジメントオフィスを立ち上げる際、最初は小規模でスタートするのが良いでしょう。データを扱える専門人材が必要ですが、現在はそのような人材が不足しています。そのため、自社内でデータマネジメントスキルを持つ人材を育成するのが推奨されます。
最初は数人のチームで始め、データマネジメントオフィスの能力が高まるにつれて徐々にチームを拡大していく方法が効果的です。これにより、段階的に企業のデータマネジメント能力を強化し、より多くの専門知識を持つ人材を育てることができます。
参考:『組織が効果的なデータの活用を実現するために知っておくべきデータ文化醸成の方法』
目標を明確に定める
データマネジメントを行う際、計画的に進めないと効果は期待できません。無計画な取り組みは作業時間の増加や現場の混乱を引き起こす恐れがあります。成功への第一歩は、理想的なデータ活用の目標を定めることです。その目標に向かって、具体的な行動計画を策定して、実行していきます。注意点としては、データマネジメント自体を目的としないようにすることです。
データの状況を理解する
データマネジメントの目標を設定したら、自社にどのようなデータが存在するかをきちんと理解することが大切です。この段階での調査が不十分だと、間違ったデータ戦略の策定やデータが不足して十分な分析結果が得られないリスクなどがあります。
また、目標達成に必要なデータをしっかり集めるためには、他の部門と協力し、関連する全てのデータを集約することが推奨されます。事前準備をしっかりと行うことで、データマネジメントの効果を最大限に引き出すことができます。
参考:『データ品質とは?品質評価項目や品質を向上させるための実務的対策を解説』
データマネジメントオフィスの導入事例
データマネジメントオフィスを導入する企業は近年増加しています。以下では、最新のデータマネジメントオフィスの導入事例を紹介します。今回紹介する導入事例を参考にすることで、データマネジメントオフィスの運用イメージがしやすくなるでしょう。
参考:『ビッグデータ活用の成功事例10選とビジネスを加速させるヒント』
セブン銀行のデータマネジメントオフィス導入事例
セブン銀行は、国内に2万6000台以上のATMを展開するネット銀行です。同社では、ATMの現金管理やコールセンター業務にデータ分析を導入し、データ活用を全社的に推進しています。この取り組みの一環として、社内にデータマネジメントオフィスを設立しました。
セブン銀行のデータマネジメントオフィスは、データのクレンジング、新サービス開発時のデータ要件定義、データやAIの倫理的取り組みなど、社内データの整理と支援を行います。また、社内コミュニティを運営し、データ活用に関する相談や部署間の事例共有を行っています。このコミュニティ活動を通じて、データ分析の難点や部門ごとのデータ活用目標が明確になり、データ活用がよりスムーズに社内に浸透しています。
参考:『目指せ、全社横断のデータ活用! 社員の30%に浸透させたセブン銀行の事例 カギは教育と相談窓口の“2面体制” – ITmedia NEWS』
オイシックスのデータマネジメントオフィス導入事例
消費者向けの食材を届けるサービスを運営するオイシックスでは、従業員がデータを活用して迅速な意思決定やサービス改善を行えるようにデータマネジメントオフィスを設置しました。オイシックスのデータマネジメントオフィスは、「データマネジメントチーム」と「データサイエンスチーム」の2つのチームで構成され、社員のデータ教育やデータ利活用を推進しています。
具体的には、顧客の購買データを活用して個々の好みに合わせたおすすめ商品の提案を行い、需要予測の精度を高めて食品ロスの削減を図ります。同社はAIを用いた需要予測システムをスタートする予定で、テスト運用では予測誤差率が大幅に減少しました。
参考:『オイシックス/データ活用組織を発足しDX推進 | 流通ニュース』
まとめ
本記事では、データマネジメントオフィスの意味や必要な理由、メリット、成功するためのポイント、導入事例などについて解説しました。データマネジメントオフィスは、企業や組織がデータを効率的に扱い、分析するために設けられた専門部署です。最近、多くの企業が自社のデータをビジネスに役立てたいと考えています。
しかし、組織内外に広がるデータを無計画に使っていては、その真の価値を生かすことは難しいです。そこで、データをしっかりと管理し、活用することの重要性が高まっています。その結果、専門的なデータマネジメントを行う部署であるデータマネジメントオフィスを導入する企業が増えてきています。データマネジメントオフィスでお悩みの方は、弊社データビズラボにご相談ください。
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