データドリブンとは何か?わかりやすく解説

「データドリブン」とは、一言で言えば「ビジネスの課題に対し、データを取り入れた意思決定や判断をすること」です。

ビッグデータの管理コストが下がり、且つ各種テクノロジーや技術で扱いやすくなったこと、そして「データドリブン経営」や「データ・ドリブンマーケティング」など著名な書籍から一般的な言葉になっています。この記事では、「データドリブン」をわかりやすく具体的に解説します。


1.データドリブンとは?

データドリブンとは、課題に対し、データを収集し、分析し、示唆を得て判断する、その一連の流れそのものを指します。

1-1.データドリブンの対義語はKKD(勘、経験と度胸)とされることが多い

データドリブンと言う言葉は感覚や直感的な判断、個人的な経験・体験と対峙されて使われることが多いです。

いわゆるKKDと比較した際、客観性を持つのはある意味明白です。全てデータで語ることができ、影響も数字で見ることが出来ます。

データがなかった頃やデータを活用できなかった頃は、長く経験のある人に相談し最善だと思われる方法をチョイスするのみ、もちろんそれは今でも有効な手段ではありますが、今日はより気づきを得られるソースとしてデータがあります。このデータを使って更に示唆を得て経営に活かすのがデータドリブン経営の中核です。

「データドリブン」という言葉が一般的になったきっかけ
データ・ドリブンという言葉は、特に日本では以下の書籍によって一般的になったものと感じます。

1.DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューによる「データドリブン経営」


2.データ・ドリブン・マーケティング

1-2.データドリブンという言葉の由来

「データドリブン」という言葉の由来は英語の データ(Data)とドリブン(Driven)です。

この「ドリブン」って何?という感じになる方も多いですが、英語の動詞の「Drive」から来ています。これは車のドライブではなく、「○○を起点に考える」「○○を主軸に考える」という意味です。日本語的な造語などではなく、海外でも一般的に使われている単語です。

Data(データ)+Drive(起点にする、主軸にする)= Data-Driven(データ・ドリブン)

1-3.データドリブンという言葉の”使い方”

「データドリブン」という言葉の使い方として、実例として以下があります。

「データドリブンの社内推進を担う」
この場合、組織がデータドリブンになること実現する盛り上げ役や旗振り役ということです。主に社内でワークショップをしたり、学習サイトを作ったり、サポートをしたりすることがあるでしょう。
「アクセス解析はデータドリブンで考えないとだめでしょ」
ウェブサイトのアクセス解析などでPV/CVRを増やすために、データを見ていない人に対してデータで見て判断しなきゃいけないでしょ、という時にこのようなことを言われます。
「データドリブンの社内推進を担う」
この場合、組織がデータドリブンになること実現する盛り上げ役や旗振り役ということです。主に社内でワークショップをしたり、学習サイトを作ったり、サポートをしたりすることがあるでしょう。

1-4.データドリブンになった背景にはビッグデータの潮流がある

テクノロジーの発達とともにビッグデータは扱いやすくなりました。データの収集も、データのストレージも廉価になったことから、活用しなければそのまま機会損失になり
ます。そのためたまったデータをビジネスの判断に使おうという動きが背景にあります。ビッグデータの詳細は以下の記事にも詳しく書いていますので、ご参考にしてください。

ビッグデータとは何か?事例を通じてわかりやすく解説

1-5.データドリブンな組織を実現するためのステップ

データドリブン経営をしてみたい、データを使って意思決定してみたい、と思っても、予算、スケジュール、時間など突破しなければならないハードルは多いです。ここでは、基本的なステップとよくある落とし穴、その解決策に触れます。

STEP1.データを収集する

まずデータドリブンの根幹であるデータの収集です。

ここで重要なのは、「我が社にはデータがある」と思っていても、自分のやりたいことや課題の解決に繋がりそうな分析をするためには使えない、ということは非常に多いです。それは、データの「質」として分析に耐えない場合もありますし、データの「種類や量」がそろっていないこともあります。

しかし、そこで諦める必要はなく、自社にはどのようなデータが必要なのか?を再び考え、適切なデータを収集する戦略を立てます。また、扱うデータは自社のものだけでなく、ビジネスによっては外部のデータや公開データと合わせて分析をすることもあります。

誰でもすぐに思いつくデータの収集として、以下のようなものもあるでしょう。

・販売管理システムからデータを取り出す
・Webサイトに関する情報のうちアクセスログを取り出す

しかし、これらが存在していたとしても散在していては、活用するまでに時間コストがかかりすぎます。データの収集を始めるのと同時に、データ収集を楽にする仕組み作りである、データプラットフォームやデータマネジメントの論点も戦略的に設計しておくことがデータドリブン経営の基盤を作ります。

データプラットフォームとは?導入に向けて組織が知るべき基礎知識

STEP2.データを視覚化(可視化、ビジュアライゼーション)する

扱うデータが大きくなればなるほど、視覚化(可視化、ビジュアライゼーション)の力を使わないではいられません。大量のデータを瞬時に理解するデータ視覚化の力を使って、データ分析や活用を加速させます。このステップの「データの視覚化/データビジュアライゼーション」に関しては、こちらの記事にも詳細を書いていますのでご参考にされてください。ツール類、ステップ、学習方法まで解説しています。

データビジュアライゼーションとは何か?事例・定義・重要性をわかりやすく解説

こちらのステップでは拙著『データ視覚化のデザイン』もご参考にしていただけるものと思います。

STEP3.データを分析する

データの分析です。実際、STEP2とSTEP3は同時並行で行うことがほどんどですが、さらにデータを個別具体的な課題に合わせて深ぼっていくという意味で区別しました。

「データを分析する」というこのステップにも、様々なケースがあります。しかし、どのようなデータ分析をするのであれ、データ分析の”目的の設定”が重要になります。なぜなら、目的が定まっていないと分析や視覚化が自己目的化してしまうからです。データ分析の目的の設定の仕方については、こちらの記事にも詳細を書いています。

データ分析の基本とは「目的の明確化」である

また、実際の課題へ直球でアプローチするデータ分析にあたっては、分析設計やデータの精査が必要です。例えば当社では以下のようなデータ分析や視覚化を支援しました。

事例/いち早く在宅勤務のデータ分析に踏み出した関西の電子機器トップメーカー【アンケート分析】

広告クリエイティブダッシュボード構築支援(AWS(Redshift/S3)&Tableau Extensions API)

各種広告施策の影響度を調べるマーケティングミックスモデリングとは?

STEP4.アクションや施策へ落とし込む

データ収集、視覚化、分析まで出来たら、それで施策やアクションに落とし込むというのがデータドリブン経営の一連のプロセスです。特に重要なのはスピードです。なぜなら、もたもたしていては競合他社に先行者利益をとられてしまうからです。


2.データドリブンにビジネスをまわしていく利点

ここではもう少し具体的にデジタル化の取り組みによって得られるメリットを3つ紹介していきます。

2-1.売上成長や収益率の改善

デジタル技術を使うことで地理的制約や時間的制約がなくなることから生産性が上がり、トップライン成長や収益率の改善が期待できます。

Forrester Research 社によるとデジタルを活用しデータから得たインサイトを出発点をして行動している組織は、世界のGDP成長率の7倍以上のスピードで成長しているという示唆も出ています。

出典:Insights-Driven Businesses Are Stealing Your Customers

Audi:伝統的なショールームのスタイルからデジタル体験の創造で売上60%以上アップ

Audiは伝統的なショールームという物理的な空間にテクノロジーを導入しました。ショールームに導入したマルチタッチテーブルやタブレットでの提案、蓄電(パワーウォール)などです。

マルチタッチテーブル

出典:Audi City

パワーウォール(システムの稼働状況や電力の状況などもアプリでモニターする)

出典:Audi City

    売上アップの背景には、こういったデジタル体験の洗練化により販売のコンサルテーションの効率化が行われ、データがたまりやすくなります。それにより必然的に、一人一人の顧客に刺さるような提案がされ、顧客への体験価値が広がったものと考えます。

    2-2.顧客理解の促進

    顧客が何を求めているかを理解することは製品やサービスをより良いものにするために非常に重要です。カスタマージャーニーの精緻化やデジタルマーケティングなどを促進します。

    デジタル化により技術やデータ活用が進めれば精度の高い意見やフィードバックを製品やサービスに落とし込むことが出来継続的に改善をし続ける体制を構築することが出来ます。

    Disney:リストバンドでよりパーソナライズされた顧客体験を創出

    マジックバンドとは、ICチップが内蔵されたシリコン製のリストバンドです。ICチップには一人一人の情報が入っており、園内の様々な場所で利用するものです。ICチップの中に一人一人の情報が(マイディズニーエクスペリエンスの情報)が入っていてディズニーワールド内の様々な場所で利用します。

    MagicBand 2 Coming to Walt Disney World Resort | Disney Parks Blog

    ディズニーのマジックバンド

    出典:Disney Parks 

    ディズニーはこのリストバンドのプロジェクトに必要なインフラ構築・従業員への研修などで10億ドルの投資を行なっています。全ての行動のデジタル化で最高の顧客体験を実現させ、さらなる顧客エンゲージメントを獲得しているのでしょう。ざっくりと平均化した情報ではなく顧客一人一人のデータがとれていることは一人一人の属性や行動を分析でき、顧客体験の設計にあたりとても大きな価値を出しているはずです。

    2-3.精度の高い意思決定

    意思決定という言葉はよくデータ活用やデジタル化の文脈では言われるところではあります。しかし、データ自体が答えを持っていたり、唯一の回答を出してくれるものではありません。

    しかし、同じ判断をするにしても、意思決定や判断の補助として有効活用できるものは沢山あります。データやデジタルの力を使うことで示唆のロジック、エビデンスの強さは段違いになるでしょう。

    GE:リアルタイムのエネルギーマネジメントでコスト削減と電力効率アップを実現

    GEのエネルギーマネジメントは川上から川下までをカバーし、データの取得の仕方、どのようにデータをガバナンスするか、ネットワーク、アナリティクスにどう使うかまで一貫して考えられていて、デジタルトランスフォーメーションを実現している好例です。

    組織でのリアルタイムデータの全体像とその要素

    出典:Advanced Energy Management System

    ここまで川上から川下まで電力や風力などのエネルギーに関しデジタルトランスフォーメーションを推し進め、基盤からアナリティクスなどの活用まで持っていけている例はないでしょう。この全体像から、強固なデータ活用基盤を整え、リアルタイムでの分析を行うことでもっとも効率的な電力消費を実現し、最適な電力の調達、貯留の予測ができているものと考えます。

    エネルギーの効率性や効果性をモニタリングするダッシュボード

    出典:Advanced Energy Management System


    3.データドリブンを支える3要素

    上述の通り大まかな流れも理解しても、適切なツールやプロダクトによる下支えがないと実現は難しいものになってしまいます。ここでは、データドリブン経営を下支えしてくれるツール群を紹介します。

    3-1.データ活用基盤

    データ活用を促進する基盤にあたるものです。キーワードとしては、下記のような領域がこちらに含まれます。

    • データマネジメント
    • データプラットフォーム
    • データ統合
    • データカタログ
    • DMP

    これらへの投資金額は大きくなるため、事前の繊細な戦略だてが全てを決めるといっても過言ではありません。

    以下の記事では、それぞれの詳細を公開しています。どれもかなり詳しく開設しており、データ活用基盤の足がかり戦略として、ご参考になるものと信じています。

    データマネジメントとは?実践前に知っておくべき最低限の基礎知識

    8割の作業がなくなる!図で理解するデータ統合の価値と進め方

    3-2.分析ツール

    昨今の分析ツールはどれもとても機能豊富です。ここではデータドリブン経営を実現するにあたり特にメインとなるツールについて、ご紹介します。

    データ分析のツールと言っても、収集に特化したツール、加工に特化したツール、加工も分析実行もできるツールなど、多岐にわたります。以下の5つは、分析の実行において代表的なツールです。

    ツール名特徴
    Excel最も使用されるツールで、基礎的な分析機能が豊富に搭載されています。学習リソースも豊富で、初心者が一番手に取りやすいツールです。
    Tableau(BIツール)データの可視化をシンプルな操作で高速に行うことができます。基本有料ですが、制限されたバージョンや学生は無料で使用することができます。
    SPSSコーディング不要で高度な分析が可能なため、統計やプログラミングが苦手なユーザーに向いています。ただし導入コストが非常に高いです。
    R統計解析に特化したプログラミング言語で、データ分析に関することは全般行えます。Pythonと比較するとアカデミックのシーンでよく使用されています。
    Pythonデータ分析だけでなく、アプリケーション開発にも使用できる汎用性の高い言語です。機械学習や深層学習を行うのにスタンダードな言語であり、近年最も人気のある言語です。

    どのツールにも一長一短があるので、どれがベストかは使用する人や場面によって異なります。もしデータに触れた経験があまりなければ、とっつきやすいExcelやTableauから始めて、次のステップとしてBIツール、RやPythonを勉強してみてはいかがでしょうか。

    ツールの検討にあたり、以下の記事もそれぞれ参考になるものと思います。

    私が実業務で使用した人気BIツール7種を機能面で比較してみた結果

    データ分析のためのPythonを学び始める時につまずかないための6つのステップ

    Exploratoryとは?|データ活用にレバレッジをかける革新的なツール

    3-3.組織データ文化醸成/社内推進

    データ活用は、とても時間がかかり、実際大変です。

    なぜなら、人間によって培われる「文化」を変えることだからです。ここでいう文化とは、集合的な行動や思想、価値観のことです。この点に関しては、下記のデジタルトランスフォーメーションに記事もご参考になるものと思います。

    デジタルトランスフォーメーションの講演を200回以上やってきた私が受けたよくある19の質問に回答します

    また、当社では、組織内のデータ活用推進を進めるために以下のような研修・トレーニングも提供しています。

    研修・トレーニング

    Tableauハンズオンセミナー【4時間でツールの基礎知識とビジュアライゼーションテクニックをインプット】

    3ヶ月の短期集中型データ分析研修で、効率的&効果的なシステム開発に成果を出したソフトウェア会社

    データ分析/視覚化の最上流工程:問いの言語化と課題設定の講義/ワークショップ


    4.データドリブンを推し進める上での落とし穴

    デジタル化をスタートしよう!とやる気になっても、コンサルティング会社として実際失敗事例にも多く出会っています。

    特に国内で出会った落とし穴の例をご紹介します。

    4-1.デジタル戦略がなく全ての判断に右往左往する

    一本筋の通ったデジタル戦略はデータドリブンを押し進める上で全てにおいての判断軸となり、非常に重要です。

    戦略がなく判断に右往左往する一つの例として、特にPoCが永遠に続いてしまうということもあります。PoCとはProof of Concept/概念実証の略で、新たなアイデアや企画の実現可能性をはかる具体的な検証です。当社でもデータ分析や視覚化コンサルティングの中で多く手がけています。

    しかし、このPoCにも戦略がないと永遠とPoCを続けることになってしまいます。常にPoC状態になっていると組織的にも進んでいる実感が持てず関連部署が疲弊してしまうので注意が必要です。スケジュールをしっかり引き、プロジェクトオーナーに強固なコミットメントを持たせ、プロジェクトチームの定例会など共有の場を持つことに努めましょう。

    国内においては、CIO/CDOが不在であることから見ても明らかなようにデジタル戦略がなく、トップダウンでの利害調整が行えず苦労していることも多いのが実情です。

    CIO・CDOの設置状況(左図:CIO、右図:CDO)

    出典:総務省CIO・CDO等の設置による組織改革の進展状況

    4-2.計画に時間をかけすぎてぽしゃる

    何をすべきか?の企画の議論にあまりに時間をかけすぎて熱が冷めてぽしゃることもあります。スピードの早いテクノロジーの世界であまりに時間をかけすぎるのは所与も変わってしまいますし、組織としてのパッションも下がりがちです。


    5.まとめ

    データドリブンな状態を目指す方法について全体像を解説しました。

    データドリブンと言っても、色々な規模や業界があり、その状態も様々です。そして、データドリブン経営を実現するには様々なハードルがあります。そのため、どのような場合であれ重要なのはやりきるコミットメントの強さです。

    小手先ではうまくいかない、しかし小手先ではうまくいかないからこそ価値があるデータドリブンです。着実に第一歩を踏み出していきましょう。

     

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