データ活用とは?定義・事例・進め方を分かりやすく解説

データ活用とは?定義・事例・進め方を分かりやすく解説

「自社にあるデータを活用していかなければならない」と思いつつ、「うちの会社は技術も経験もないし難しい」と感じていらっしゃる方は多いです。

そのような方に向けて、データ活用の第一歩として最低限知っておきたいことをできる限りわかりやすく・詳しく解説しています。

読み終えていただければ、企業におけるデータ活用の必要性を認識し、データ活用を成功させる為に一歩目を踏み出すことができるはずです。

1.データ活用とは「データを業務プロセスに組み込むこと」である

データ活用とは、「データを業務プロセスの中に継続して組み込んでいく活動」を指します。

突発的に一回限りの分析でデータを使うのではなく、日々の業務でデータを継続的に用い、発見につなげることを指します。

業務プロセスにデータを組み込むイメージとして、「和食堂」などの商業施設を営む「有限会社ゑびや」のデータ活用の取り組みが好例です。ゑびやさんは店舗オペレーションにデータを組み込むことで店舗経営の効率化や合理化を図っています。

以下の図のように、カメラで記録した顧客の動向データを、商品の配置を決める業務プロセスに組み込み、分析を行っています。

参考:CNET Japan 「リアル店舗の経営をコグニティブで科学する~伊勢の老舗店 「ゑびや」の挑戦

こうして商品配列を決める業務にデータを組み込むことで、商品配置を最適化を進めていらっしゃいます。

一方でデータを活用しなければ、経験やセンスで店舗を商品配置を決めざるを得ません。ちょうど、次のようなイメージです。

以上の様に、「どうするのが適切なのか」をデータに基づいて判断出来るようにすることがデータを業務プロセスに組み込むことであり、データの活用そのものです。

データを活用しない時、活用する時、ではちょうど以下のようにまとめることができるでしょう。

勿論、データだけでは無く今までの経験で培ったセンスや勘所も重要です。ですが、センスや勘所だけでは無くデータに基づいた根拠もあれば、自分が下す決定が上手くいく確率がさらに上がるでしょう。ちょうど以下のようなイメージです。

2. データの活用が企業にとって大切なのは成功事例から見ても明らかである

この章では、データ活用の重要性が分かる2つの成功事例をご紹介します。データ活用の有無によって、企業が顧客に提供できるサービスの質や、業務効率に大きく差が生じる示唆となる例です。

2-1.Netflixは顧客データを用いて徹底的に顧客分析をし、既存の大手企業を上回る急成長をした

動画ストリーミングサービス「Netflix」は、データ活用を積極的に進め、当時競合であった「ブロックバスター」との競争に勝利しました。

Netflixが当時業界最大手であったブロックバスターを差し置いて急成長できた大きな要因の一つは、「データ活用によってユーザが求めるコンテンツを提供し続けたこと」です。

Netflixは以下の様な、ユーザーの動向データを収集しました。

  • ポーズ、巻き戻し、早送りをしたのかいつか
  • 何曜日にコンテンツを閲覧しているか
  • 閲覧する日付
  • 視聴開始時間、視聴終了時間
  • どこで見ているか(郵便番号やIPアドレス)
  • どのデバイスで見ているか(TV・タブレット端末・スマホなど)
  • どこで一時停止したか、いつもう一度視聴したか
  • 視聴後にユーザーが付ける星1つ〜5つまでのレート
  • ユーザーがサイト上で行った検索結果
  • ページのブラウジング・スクローリング状況(サイト内動向)

出典:NEILPATEL「Now Netflix Uses Analytics To Select Movies,Crearw Content,and Make Multimilion Dollar Decisions」

上記に代表されるユーザーの動向データを活用して、次のようにユーザーそれぞれに好みに合うようなコンテンツを提供(レコメンド)しています。

  • ユーザーの動向を分析し、趣向に合いそうな・新しく興味を持ちそうな番組・映画をサイト上にオススメで表示
  • ユーザーの反応が良さそうな番組を分析し、「次にどんなコンテンツを制作したらヒットしそうか?」を検討しオリジナルの番組・映画を制作

この徹底したデータ活用により、Netflixはユーザー全員に「自分の好みにあったコンテンツを継続的に視聴することが出来る」という最高の顧客体験を提供しています。

結果として、国内だけでもNetflix有料会員数は2020年9月に500万人を突破し約1年で200万人増加しています。(参考:AV Watch「Netflix、日本で有料会員数500万人突破。約1年で200万人増」)

ブロックバスターはリアル店舗にこだわり、ユーザーの趣向を掴みきれなかった

アメリカのレンタルビデオ業界で最大手だったブロックバスターはNetflix程の徹底した顧客データ活用を行っていなかったのでは無いかと推測します。Netflixがデータ活用により顧客に個々の好みにあるサービスを提供する一方、ブロックバスターは顧客の好みをデータで把握し適切なコンテンツを届けることが出来ず時代の流れについて行くことが出来ませんでした。

アメリカ中で店舗を展開し品揃え力・ブランド認知力では優勢にあったブロックバスターは、「顧客に来店してもらいコンテンツをダウンロードしてもらう」店舗型サービスに注力していました。

結果として、一時は業界最大手であったブロックバスターはデータを駆使して挑んできた新興のNetflixに破れてしまったのです。ブロックバスターは2004年には9000店舗以上展開する企業でしたが、それがあっという間に2010年に倒産してしまったことを踏まえると、データ活用が出来ないことは致命傷になり得ると言えます。

参考:商人舎 流通スーパーニュース「老舗ビデオレンタル店、全直営店閉鎖へ」ソフトウェアファースト あらゆるビジネスを一変させる最強戦略NETFLIX コンテンツ帝国の野望ーGAFAを超える最強IT企業ー」

2-2.ヤマハは工場における作業担当者の生産能率をデータで分析し、年1000万円のコストを削減した

ヤマハは工場の作業担当者のデータ分析に積極的に取り組み、生産性の向上に成功しています。

日経XTECH「業務を変えたビックデータ」よると、同社は2013年から保有する工場で、作業担当者の生産に関するデータの分析を開始しました。

  • 2013年3月:作業員の生産効率に関するデータを分析・可視化出来るシステム(POPシステム)を構築
  • 2015年3月:POPシステムを80人まで拡大。機械の稼働能率のデータも分析・可視化をスタート

といった、データを使って作業効率を改善する取り組みをしています。結果として、以下が実現しています。

  • 作業の進捗度合いや不良の発生率をデータで可視化し、瞬時に把握できるように
  • 作業データを管理し、紙に作業情報を記録し集計する作業にかかる工数を削減

この取り組みの成果としては、2013年には合計月130時間程度の工数削減・2015年には年間1000万円のコスト削減となったと言います。これは大きな生産性の向上ですね。

データ活用を進める上でシステムを構築したり、ツールを導入するのは安価で済まないことが多いです。しかし、この例は投資コストを十分回収できるぐらいの業務効率化が実現出来ることがわかります。

3. データ活用の効果は一朝一夕に出るものではない

何かツールを購入すると一瞬で効果が出るものだと考えがちですが、データ活用は長い道のりを覚悟する必要があります。

何故なら、「データ活用出来る技術的環境を整える」「データを当たり前のように使う文化にする」ことが必要であり、どちらも達成するには時間がかかる為です。

以下の図は、データ活用のレベルをざっくり4レベルに分け、時間をかけてレベルが上がることを示しています。企業全体でデータ活用が出来ている④をゴールとして、約3~5年かけて①→③→④もしくは①→②→④の順に段階を上げていくことが多いです。

3-1.データ活用の為に時間をかけて養うべき2つの要素

「データを活用できる技術的環境」「データを当たり前のように活用する文化」の2つを長い期間で企業の中で構築する必要があり、以下の図の様に、両者が揃って初めて企業全体でデータ活用を出来る様になります。

 

技術環境と文化

以下で2つの要素を解説します。

3-1-1.業務に必要なデータを、必要な時に活用出来るような技術環境を整える

欲しいデータを適切なタイミングで取得するために「データを活用できる技術環境」を整備する必要があります。

「データを活用できる技術環境」の一例として、「データプラットフォーム」があります。こちらに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。具体的にイメージが湧くと思うので是非参考にしてください。

データプラットフォームとは?導入に向けて組織が知るべき基礎知識

「データを業務で使いたいと思っても、IT部門に依頼をしてから1週間かかる」という状況が続くと、「時間がかかるならば別に使わなくてもいい」と感じる人も増えてしまうでしょう。結果として、データを使うことにメリットを感じない人も増えてしまいデータ活用が組織内で活発に行われることは少なくなってしまいます。

したがって、欲しいデータが欲しい時に直ぐに手に入る様に組織の技術環境の存在は必要不可欠です。また、そうした技術環境を作る為には企業で大規模なシステムの開発・改修を行っていく必要があり、短期的に構築するのは困難です。

3-1-2. データを業務で使うのが当たり前の文化を組織で醸成する

組織に「データを使って意思決定すること」という文化を定着させる必要があります。

データは蓄積しているだけでは何も起こりません。

「データを使って業務を効率化出来ないか」「データを使って何か新しい施策を考えられないか」といった、データを活用して業務をしようという意識を持たせる必要があります。

これは「企業の文化を変えて、従業員の意識を変えて行く」という取り組みである為、結果は直ぐには見えません。企業全体の意識を変えていく様な社内推進の取り組みを進めて行く必要があります。

  • まずはデータ活用で小規模で成功させて、じわじわと他部門にも展開する
  • データ分析力を育成する制度を作ったり、継続的に学習できる教育制度を作る

出典:「組織が効果的なビッグデータの活用を実現するために知っておくべきデータ文化醸成の方法」

4. データ活用を進めるにあたり必要不可欠な4つの取組み

データ活用を進めていくにあたり、以下の4つの取組みを進めていくことが必要不可欠です。

  1. データ活用戦略に経営層が積極的にコミットする
  2. 信頼できるデータを用意する
  3. データ分析人材の育成・評価のための制度を設計する
  4. 社内推進チームを作る

どれか一つでも欠けてしまうと、「単発な取り組みに留まってしまった」「高度なITサービスを入れたが使わないまま終わってしまった」という状態になってしまうものです。

以下、当社代表の永田の記事「組織が効果的なビッグデータの活用を実現するために知っておくべきデータ文化醸成の方法」から観点と内容を引用します。

4-1.データ活用戦略に経営層/シニアマネジメントがコミットする

経営層自身が、データ活用しなければならないことを理解しデータ活用の戦略を練る必要があります。

経営層自身がデータ活用戦略に積極的に参加するのが重要である理由は、主に以下の2つです。

  • データ活用は直ぐに成果の出るものではなく緊急性も高くないので、支援されなければ継続しにくいから
  • データ活用の成功には複数部署との連携が必須だから

以上から経営層やトップマネジメントの推進力が無ければ、データ活用は途中で尻切れトンボになってしまう確率が非常に高いです。ですので、経営層のコミットメントは時間がかかっても得なければなりません。

4-2.信頼できるデータを用意する

データ活用の為に使う組織のデータは、信頼性のあるものでなければなりません。

そもそも自分達が見ているデータが誤ったものであったり、数値が当てにならないデータであるなら、分析して出した結果も信頼出来るものにはなりません。結果として、「データはあるが信用できないし、業務では使えない」と社内のでデータへの信頼も薄れそもそもデータが使われなくなってしまいます。

ですので、活用するデータは「数値に誤りがない」「表記が統一されている」など信頼出来る状態にしなければなりません。

4-3.データ分析人材の育成・評価の為の制度を設計する

組織内でデータを扱う人材の採用、育成、評価の制度を設計する必要があります。

データ活用は一朝一夕で終わる取り組みではないので、データを扱う人材もその場しのぎで雇用するのではなく、データを扱う人材として組織に常に在籍させる必要があります。

データ活用をこれから進めるという時は、最初はデータ活用の成果が見えにくいです。「事業で結果が出ていない」と早々に評価してしまうとデータ活用を進める人材のモチベーションの低下にもつながってしまう為、達成基準を設けた人事評価にするなど、新しい評価軸が必要となります。

4-4.社内推進チームを作る

データ活用に対して責任を負う専門のチームを結成し、継続的にデータ活用の取り組みを進める必要があります。

データ活用は単発な取り組みで効果の出るものではなく、データを活用して業務が出来る様に継続した取り組みが必要となってきます。

「データ活用」を本業とするチームを作り、データ活用を成功させることを第一優先とし推進に専念出来ます。ですので、途中で取り組みがフェードアウトすることを防ぐことが可能です。

また、社内推進チームを経営層直下の組織にすることも、責任の所在が明らかになったりトップダウンでスピード感を持たせてデータ活用を推進することも出来るので、有効でしょう。

5. 協力会社の存在がデータ活用を進める起爆剤になる

ゼロからデータ活用を自社のみで進めていくのは困難な場合が多いです。何故なら、経験がない為そもそも何をしていいか分からず、莫大なリソースを割かなければならざるを得ないからです。

折角投資したものの、データ活用が成功する前に企業の体力が尽きてしまった、というケースも起こり得ます。ですので、外部の協力会社を有効活用することがデータ活用を成功に導く鍵となるでしょう。

5-1.データ活用を協力会社と進めた場合の3つのメリット

データ活用を協力を仰いだ時のメリットは主に以下3つです。

5-1-1.スピーディーに効果を上げることが出来る

データ活用に関する専門分野の仕事を、協力会社の力を借りて進めることでよりスピーディーにデータ活用を進めることが出来ます。

自社のみの場合、まず知識や技術をインプットする所から時間をかけて行わなけばなりません。しかし、協力会社のサポートがあればノウハウを共有できるので、データ活用を初期段階から素早く進めていくことが可能です。

5-1-2.自社のみで進める場合より安上がりになることも多い

協力会社と共にデータ活用を進めるのは結果的にコストを抑えられる場合が多いです。

ツール一つにとっても、活用レベルまで使えるようになるには多大な時間とコストが掛かってしまいます。しかし、協力会社のサポートがあれば時間を大幅に節約できる為、最終的にコスパよく進めることも多いです。

5-1-3.自社の事業にも専念できる

データ活用の専門業務は協力会社に依頼することで、自社は自社の事業に集中させることが出来ます。今でも忙しいのにさらにデータの活用の実務が入れば、物理的に相当苦しいものになります。

下記、代表永田のデジタルトランスフォーメーションの記事にも、この点に関して触れており参考になるものと思います。

デジタルトランスフォーメーションとは?わかりやすく解説

5-2.協力会社を選ぶ時に意識しておくべき3つのこと

協力会社を選ぶ際に意識しておきたい事としては、以下があるでしょう。以下、「デジタルトランスフォーメーションとは?わかりやすく解説」の記事からの引用です。

自分たちのゴール感や理想と近いものを提供しているか

データ分析や視覚化、戦略立案と言っても、お医者さんが出す解決アプローチが一つにならないのと同様に、コンサルティング会社も様々な解決アプローチや提案の仕方があります。自社のイメージに近いゴール感の実績があると安心かと思います。

業界の経験があるか

同じ業界でも会社によって全く異なるデータ構造であることがほとんどではあるものの、自社と同じ業界を経験していると文化の理解という意味でも安心できるものです。また、そもそもの業界の課題の立て方に慣れているということもコンサルティングがスムーズにいく要因でしょう。

提案書は具体的にプロセスが書かれているか

このようなプロセスでコンサルティングを行なっていく、ということが事前にわかると、どのような思想に基づき進めていくのかがイメージできるものです。当社でも過去に大手広告代理店さまの事例でステップやアプローチなどを紹介しています。

事例/大手広告代理店:クリエイティブ広告ダッシュボード構築支援(AWS(Redshift/S3)&Tableau)

事例/3ヶ月の短期集中型データ分析研修で、効率的&効果的なシステム開発に成果を出したソフトウェア会社

6.まとめ

「データを活用できるか否か」が企業の今後を決定づける大きな要素となるのは間違いありません。これからはさらに、データの活用は「した方が良い」ではなく「しなくてはならない」ことになっていくはずです。

決して諦めず、企業一体となって進めれば、必ずデータ活用成功の道は開けると信じています。

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