Tableau Certified Data Analytist試験(以下TCDA)は、Tableauで構築するデータプラットフォームに必要な技術的論点を網羅的に問う試験です。
BIプラットフォームの設計・構築や運用をサービスの一つとする当社でも、多くのコンサルタントメンバーがTCDA試験に合格しました。そこで、複数名の合格者のエッセンスを凝縮させ、TCDA取得を目指している方に向けて効率的な学習方法を共有したい!という思いでこの記事を書くことに決めました。
結論から言うと、TCDA学習において一番大切なことは、頭の中にTableau Desktopが想像出来、どういう時に何をしたらどういう挙動になるか明確にイメージできるレベルになるまで学習を進めるということです。以下では、その詳細な方法も含めて当社メンバーがTCDA合格に向けて行った学習について解説しています。
当社のコンサルタントの立場からは、以下のメリットを感じています。
- 技術的な判断スピードが上がり、生産性が上がった
- 独りよがりなやり方ではなく、Tableauにおける最大効率での実装ができる
TCDAは、Tableauを使ったデータ活用推進者の役割を担う方には最低限必要なスキルです。本記事では、網羅的に合格の仕方をお伝えします。
目次
1.Tableau Certified Data Analyst(TCDA)とは?
TCDAの基本概要、特徴を以下で説明します。
1-1.Tableauを使ったBIプラットフォーム推進者に最低限の資格
データ活用推進においては可視化の構築そのものだけでなく、使用するデータソースをどのように準備するか、作成した可視化をどのように業務に統合していくかの視点が重要です。
一旦の分析や可視化ができてもデータを加工できなければ表現や業務の幅が狭くなりますしユーザー権限の付与などが即時にできなければ運用もままなりません。
TCDAは、Tableau Desktopの知識・スキルだけでなく、データソースの準備をするためのTableau Prepbuilderの基礎知識や業務に役立ててもらうための体制の整備に活用できるTableau Serverの使用法に関する知識も問われます。
この資格を取得できればTableauを用いたデータ利活用に置ける最低限の知識がある証明となり、この資格取得の過程で得た知識は今後Tableau製品群をより活用してするために発展的な知識を蓄積していく重要な基盤となります。
参考記事:『Tableau Prepのライセンス体系と6つの機能を早わかり!』
1-2.試験構成
全部で3セクション構成になっています。
セクション1 知識を問われる選択式の問題(25問)
セクション2 TableauDesktopの理解を問われる実技形式の問題(10問)
セクション3 知識を問われる選択式の問題(20問)
の全55問となっています。
1-3.出題項目
知識を問われる選択式の問題では下記の領域に対する知識が問われます。内容としては下記の通りです。
Tableau Desktop
- データの接続
- データソース画面のUIについて
- データインタープリターの使い方
- ライブ接続と抽出の違い(基本概念やライブ接続の使用タイミングや抽出の使用タイミング等)
- 抽出オプションについて(増分更新と完全更新の使い分け等)
- リレーションシップ、ユニオン、結合、データブレンドについて(データブレンドの結合方式など)
- フィールドタイプとチャート
- ディメンションとメジャーについて(両者の違い)
- 連続と不連続について(連続/不連続を変更するには、日付タイプのフィールドが連続/不連続の場合でチャートはどうかわるか等)
- Tableauが自動で生成するフィールドについて(レコードの数やマップを表示するための地理データ等)
- それぞれのチャートについて(箱ひげ図やヒストグラム等を作成するためには?等)
- マークカードについて(ラベルの表示)
- マッピング機能
- マップの基本操作
- 地理データについて(緯度・経度データ、詳細マークに設置した国/州/町/郵便番号の階層のデータをドリルダウンしていくとどのような挙動をするか)
- カスタムテリトリー(複数の県や州のグループ等)
- 背景イメージ(背景にイメージを追加する方法等)
- アナリティクス機能
- アナリティクスペインのUIについて
- 各機能の使用方法と詳細オプションについて
- 傾向線
- 予測
- リファレンスバンド
- リファレンスライン
- 箱ひげ図
- 分布バンド
- 計算
- 計算フィールドの作成方法(シェルフで編集やデータペインからの作成、分析タブからの作成等)
- 集計(MINmMAX、AVE、COUNTD等)
- 文字列関数(REPLACE、TRIM、SPLIT等)
- 論理関数(IFNULL、ZN、IF then、CASE等)
- 日付関数(DATETRUNC、DATEPERSE、DATENAME等)
- 表計算の種類(WINDOW_SUM、WINDOW_AVE、LOOKUP、RUNNING、TOTAL、SUM、MIN、FIRST、INDEX、RANK、等)
- 表計算のオプション(計算の向きや特定のディメンションの順番を入れ替えるとどうなるか等)
- LOD関数について(FIXRD、INCLUDE、EXCLUDEの概念の理解とLOD関数を用いた計算フィールドの作成)
- データの操作とフィルター
- 並び替え(データソース順、手動、フィールドでの並び替えや昇順降順の変更方法)
- グループ(グループの作成等)
- セット(セットの作成等)
- 階層(階層の作成等)
- フィルターシェルフ(フィルターシェルフの使用法)
- データソースフィルター(データソースフィルターの使用法)
- コンテキストフィルター(上位Nフィルターとディメンションフィルターの組み合わせ)
- 日付フィルター(連続/不連続の場合のフィルターの違い)
- ハイライター(ハイライターの使用法)
- ダッシュボードとストーリー
- ダッシュボードレイアウト(タブレット等PC画面以外でみる為のレイアウトを作成する方法等)
- タイルと浮動(浮動の使用方法)
- オブジェクト(コンテナの挙動、ナビゲーションで出来ること、空白の使い方等)
- ダッシュボードアクション(フィルターアクションの設定方法やフィルターアクションを無視する設定等)
- 書式設定(書式設定のやり方)
- ストーリー(作成方法)
- ダッシュボードの共有(ワークブックから出力出来るデータ, ダッシュボードからの出力出来るデータはどのようなものがあるか)
Tableau PrepBuilder
- Tableau Prep BuilderのUIについて
- 接続できるデータの種類に関して
- 下記機能の使用方法と用途
- フィルター
- ユニオン
- 結合
- 集計
- ピボット
Tableau Server
- Tableauのユーザーロール
- Tableau ServerとTableau Onlineの違い
- ワークブックのパブリッシュ
- データソースのパブリッシュ
- コンテンツのエクスポート
- 抽出データの更新スケジュールの設定方法
- フローの更新スケジュールの設定方法
- アラート作成
- サブスクリプション設定
実技の問題ではTableau Desktopを用いてお題をVizで表現する事が求められます。
下記内容のような問題が出題されます。
- 上位Nと下位Nを同時に表示
- 地理データによって表示される地図を色分け
- 表示/非表示ボタンの追加
- ヒストグラムの作成
- 分布バンドで標準偏差を表示
- データソースの置換
- 移動平均の前後の計算期間を調整
- フィルターアクションを無視させる設定
1-4.受験料と有効期間
受験料は$250+手数料$25の合計$275です。やや高額ですが、当社では資格支援制度でデータ領域の試験料を補助しています。
また、資格の有効期限は合格した試験日から2年間と定められています。資格更新をするためには再度試験を受験する必要があります。Tableau製品は日々アップデートされており、随時新たな機能の追加やUIの改善が行われています。一度資格を取得したからといってその知識でいつまでも十分なわけではなく、周期的に総合的な知識のアップデートが必要になります。そういった観点から、資格の有効期限が2年と言うのは理にかなっているかと思われます。
「データ視覚化/ダッシュボードデザインを成功させる95のチェックリスト」をダウンロードする
2. TCDA合格水準イメージは操作や挙動が咄嗟に思いつくレベル
TCDAの受験において、選択式の問題においては「このようにするためにはどのような操作が必要か?」と、画面イメージと文章だけで出題されます。
そのため、適当に何となく右クリックすれば何か解決策が見つかるかも・・・という感覚だと通用しない、ということになります。
試験中はTableauDesktopを触ることが出来ません。ですので、TableauDesktopの挙動をイメージできるレベルにないと、合格は難しいでしょう。具体的には、特に以下二つは重要です。
2-1.表計算関数や日付関数を一通りマスターし、それぞれどのような数値を返すかわかっている
First、Last、Index、MAX、MIN、COUNTDはもちろんRANK、RANK_UNIQUE、RANK_MODIFIEDなどがそれぞれどのような数値を返すか理解しているレベルは最低限になります。
2-2.データ加工のインプット・アウトプットが想像できる
結合・集計・ピボットの処理において、どんなインプットをどんなアウトプットにするかを理解していることも重要です。
3.TCDAを取得して感じられるメリット
3-1.Desktop:技術的な課題の判断スピード向上
これはいわば当然の効果とも言えますし、これを期待して学習するものでもありますが、想像以上の生産性アップを実感した当社メンバーは多いです。
資格取得後は、一定の網羅的な知識が強固になり、軽微な技術的課題はもちろんのこと、技術的実現可否判断の目処が精度高く想定できるようになり生産性が上がります。
このように、クライアントがさらに問い合わせしやすい環境を作ることで、より多くのニーズを引き出し、お客様が求めることをさらに実現していくことが可能となりました。
3-2.Server:障害対応の生産性向上
データが更新されないといった運用においてクリティカルな障害なども数クリックで解消・状況判断して正しくテクニカルサポートへのエスカレーションができるようになります。
TableauServerではデータ更新・権限の設定からネットワークのセキュリティまで管理しています。TableauServerの機能を理解することで、どの画面で何を監視できるか、最新のデータをVizに落とし込むためにはどのフローをどのタイミングで実行すればいいかなどの目処がすぐ立つようになり、障害対応のさらなる時間が削減につながっています。
4.合格のための学習方法
当社ではUdemyビジネスを契約しており、ほぼ全員が以下で学習しました。合格したメンバーにインタビューし、その回答を要約しています。
Tableau Certification: Desktop Specialist + Data Analyst
動画を視聴(約10時間)します。
全ての動画をみて、提供されるサンプルデータで実際に手を動かしながらTableauの製品に慣れるようにします。各セクションの小テストを実施して即答できなかった箇所に対応する動画を視聴し再度小テストを受けて理解漏れを無くしていきます。
Tableau Certification: Desktop Specialist + Data Analystの最後にあるPracticeExamを2周
2周で約4時間です。
データと問題と答えが載っている実技問題練習用ワークブックがこのコースでは提供されます。「~の平均は~%か分かるVizをつくれ」等といった問題が出題され、回答者はワークブックに埋め込まれているデータソースを用いてそれらを解いていきます。種々の可視化や表計算の挙動などはここで知識として定着させていくイメージです。
Intro to Tableau Server and Tableau Online
動画を視聴(約2時間)します。こちら今思えばここまで深いTableau Serverの知識は聞かれませんでしたが上記のコースのあとに受けるととてもいい復習になりました。
実務にとても役立つ内容だったので、新たにTableau Serverを仕事で使用する方は余裕があれば受講することをお勧めします。
こちらも全ての動画を視聴した後、各セクションの小テストを実施して即答できなかった箇所に対応する動画を視聴し再度小テストを受けて理解漏れを無くします。これだけやったのでTableau Server関連の問題は落とすことがなかったと思います。
日々の実務での技術体得
試験のための勉強に加え、日々の実務で触る時間を増やすことも試験合格のための重要な学習方法です。
一番効率のいい学習方法は、実務で日々Tableauを使用してTableau Serverの運用やTableau Prep Builderでデータを加工し、Tableau Desktopを触りながらそれらの機能を体得していくことです。
しかし、今実務であまり使用していない人やTableau Desktopのライセンスがなく、Tableau ServerやTableau Prep Builderを触れない人は下記の順で進めていくのがお勧めです。
- Tableau Publicで基本的な操作に慣れながらUdemyのコースを受ける。
- 本記事をベースに知識の穴がないかを確認していく。その際、その機能をTableau Publicで実際に動かす。
- 一通り知識を網羅したらUdemyなどで実技の対策をする。
5.申し込み手順と試験環境
5-1.申し込み手順
1.このリンクから試験の申し込みページに移動
2.「試験をスケジュール」をクリック
3.Tableauアカウントにログイン(なければ作成)
4.ページ左部の「Schedule or Manage my exam with Pearson」を選択
6.テスト環境を選択
7.Tableau Certified Data Analyst を選択
8.インストラクションに沿って試験予約をします
9.予約が完了すると試験を受験するためのリンクや注意点が記載されたメールが送られてきます
5-2.2つの試験環境
テストセンターでの受験とオンライン(VUE)での受験があります。詳細を説明します。
①テストセンターでの受験
試験予約後
予約が完了するとメールが送られてきます。選択した受験日時、テストセンターの場所が記載されていることを確認しましょう。
当日
写真付きの証明書(免許証、パスポートなど※コピー不可)がテストセンター受付時に必要ですので、忘れずに持って会場に向かいましょう。電車の遅れなども考慮し、予約した時間よりも15分早めに訪問し、心に余裕を持つことをお勧めします。到着後はテストセンター受付にて予約時間・テスト名・名前を告げ、テスト規約に関する書面にサインし、その場で簡単な顔写真の撮影を行います。テスト会場に持ち込めるものは写真付き証明書のみとなるため、用意されているロッカーに荷物を預けた後、テスト会場へと案内され、試験が開始します。
試験終了後(結果の受け取り)
試験終了後は受付にて再度テスト規約に関する書面にサインし、その場でテスト結果の紙面を受け取ることができます。紙面には自身の点数(1000点中何点か)、合格・不合格に関して記載されており、合格していれば「Pass」と記載があります。不合格の場合はどの分野に対して学習の必要があるか記載されていますので、参考にして再受験に向けて再度学習を進めましょう。
※配点や各問題の正誤は公開されません。
②オンライン(VUE)での受験
試験予約後
予約が完了するとメールが送られてきます。試験前日の夜までにはそのメールに記載されているリンクからご自分が使用するPCが受験にふさわしいか事前にテストする必要があります。
当日(試験開始30分前~)
試験開始30分前から事前送付されるリンクにて試験のウェブページに移動できます。
その際にお使いのPCで余計なソフトウェアを走らせない為の調整をする必要があります。基本的には送られてくる指示に従えば大丈夫です。試験環境のウェブページに移動した後、オンライン試験監督官に机のまわりに何もないこと、PCをモニターに接続していないかなどの項目をチェックされて許可が出た後にしたのちに試験を開始することが出来ます。
結果の通知
試験終了1時間後にはこちらのページからEXAM RESULT→My Examで試験の合否が分かります。「Pass」となっていたら合格です。試験終了後24時間以内には自分が1000点中何点のスコアを獲得できたかの結果が確認できます。
※テストセンターでの受験と同じく、配点や各問題の正誤は公開されません。
まとめ
ぎりぎり不合格だったら1週間後受けよう
TCDAは合否判定が短時間で分かります(テストセンターでの受験時は受験後即分かります)。
万が一、ぎりぎりの点数で不合格になった際は1週間後に受けることをお勧めします。
本試験では出題される問題がランダムに選択されているため、2度受験しても全て同じ問題が出題されるわけではありません。しかし、ランダムである以上、同じ問題も出題されるため、万が一不合格になった際は出来なかった問題や分野に対しての記憶が残っているうちに復習し、再度受験することを推奨します。
一発合格目指して頑張りましょう!
データビズラボでは、BIツールを含む必データ活用人材を育成・確保するための研修やデータ人材戦略の支援を行っております。
データ活用人材が不足してお困りの場合はデータビズラボへお問い合わせください。
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