2016年に囲碁AI「AlphaGo」が世界トップクラスの囲碁プロ棋士を破ったことなどを一例として、「機械学習」「AI」といったキーワードが一般に広く知られるようになりました。皆さんの中にはこれから機械学習を勉強しようという方も多いのではないでしょうか。
しかし、機械学習を実践するにあたって、「どんなPCを使えばいいの?」と迷ったことはありませんか? そんな皆さんに今回は、機械学習を行う際の「PCの選定基準」と具体的な「おすすめPCについて」についてお話したいと思います。相棒となるPCが優秀であれば、きっと機械学習も捗ることでしょう。
目次
1.機械学習で使うPCの最低限のスペックと注意すべきポイント
まず、PCスペックで重要なことは
- CPU(コンピュータの頭脳)
- 物理メモリ
- ディスク容量
の3点です。以下おさらいです。
機械学習でPCを扱うに当たり、最低限のスペックは以下です。
- CPU: Core-i5
- 物理メモリ:8GB
- ディスク容量:512GB
最低限上記の程度のPCを選択すれば、勉強用や、研究の検証用においては統計的手法の計算であれば問題なく計算を行うことができます。
しかし、よりハイスペックなPCが必要となる注意すべきポイントが2つあります。
- 大きなデータ(例えば100万行を超えるデータ)の分析をするとき
- 繰り返し演算の数が膨大になるアルゴリズム(例えばMCMC法)等を使用するとき
そのため、PCのスペックは予算がある限り青天井で高くしておいたほうが良いです。これは当たり前だと思われるかもしれませんが、最初はスモールデータや計算も楽なものだけで練習や勉強をしていても、勉強を進めていく内にビッグデータや容量の大きい画像データを扱うようになるとPCスペックがボトルネックになるためです。
2.機械学習で使うおすすめPC
具体的に何を買えばいいのか迷っている方に、おすすめPCを以下に挙げます。
2-1.まずはお試し程度に機械学習をしたい場合(10-20万円)
上述した以下のスペックがあれば十分です。
- CPU: Core-i5
- 物理メモリ:8GB
- ディスク容量:512GB
まずはお試しで機械学習をしてみたい、という人は急いでスペックの高いPCを購入する必要はありません。
現在のPCにもよりますが、そこまで困る場面は多くないでしょう。ただ、規模の大きい(10万以上の)データを扱う場合には計算に時間がかかってしまうかもしれません。OSも好きなものを選んで大丈夫です。
macOS
Macbook Air
最新のMacBook Airにはアップルが開発したM1チップが搭載されており、従来のCPUと比べると圧倒的な性能があると言われています。
Macbook Pro
MacBook ProにもAirと同じM1チップが搭載されているモデルがあり、こちらも非常に高性能です。
しかし、こちらのM1チップは2020年の11月に発表されたこともあり、機械学習用のツールが対応していない場合が多いという問題点があります。また、情報もほかのPCと比べると少ないためPCに詳しくない初学者の方は使い慣れるのに時間がかかるかもしれません。
WindowsOS
WindowsOSのPCは非常に人気でその情報量も豊富です。WindowsPCのCPUはM1チップに劣るものが多くなってしまいますが、扱いなれるのには時間がかからないと思います。
ThinkPad
LenovoのThinkPadはwindowsの人気PCの1つです。日本企業にも多く採用されており、慣れ親しみやすいPCの一つとも言えます。
Surface
MicrosoftのSurfaceは軽量さやデザイン性などから大学生に人気のPCです。microsoftが開発していることもあり、windowsOSとの相性も良いと言えます。
2-2.本気でAI開発をしたくなったら自作PC(20万~)
機械学習の勉強を一通り終え、本気でAIを開発をしたくなった場合、PCのスペックは非常に高いものが必要となります。
膨大なデータを使用して機械学習を行うときに、常に学習を行うことがあるため計算能力の高さにプラスして常に動き続けられるといった特徴も備えている必要があるためです。
そのため自作でPCを作る必要があります。自作PCのためにはGPU、CPU、メモリなどが必要になり、以下にGPUとCPUのおすすめを挙げます。
この他、マザーボード(各パーツを繋げる)、電源ユニット、PCケースが必要です。また、ディープラーニングを行うのであれば、それに加えて冷却用のファンなどが必要になります。また、現在はディープラーニング用のPCも販売されているのでこちらもチェックしてみるといいかもしれません。
GPU
お勧めのGPUはNDIVIAのGeForceシリーズです。現在GPUのメーカーはNDIVIAの一強といってもいいほどの人気があります。
CPU
CPUはCore-i5以上のスペックがあれば問題ないです。しかし、せっかくの自作PCなのでi7以上のCPUを積んでおくことをお勧めします。
深層学習はGPUですが、データの前処理やそれ以外のモデルはCPUを使うこともあるためです。intelのほかにもRYZENが有名です。おすすめはintelです。
メモリ
メモリの購入には少し注意が必要です。
まずマザーボードによって搭載できるメモリが変わります。現在主流となっている規格はDDR3とDDR4の2つですが、これらに互換性がないためマザーボードの仕様を確認してからメモリを購入するようにしましょう。また、O.DIMMとDIMMの2つ種類がありますが、自作の場合はDIMMを使用します。小型のデスクトップPCであればO.DIMMの場合もあるのでここでも注意が必要です。メモリは16GB以上がおすすめです。またメモリは2枚を組み合わせて搭載することも可能です。8GB×2枚で販売されているのであれば結果16GBのメモリを搭載できることになります。16GB以上あればそこまで選ぶ必要はありません。価格と規格、種類のバランスで購入すると良いです。
ハードディスク
ハードディスクにはSSDとHDDの2つ種類があります。必ずSSDを搭載しましょう。容量は512GBあれば十分ですが、ビッグデータを扱う予定があれば1TBはほしいところにです。またSSDとHDDを両方搭載する人もいます。HDDには大容量で価格が安いというメリットがありますが静音性にとぼしく衝撃にも弱いというデメリットがあります。SSDは静かですが価格が高いです。
4.まとめ
今回は、機械学習を実施する際の「PCの選定基準」についてお話ししました。
ぜひ皆さんにぴったりの1台を見つけてください・・・とはいえ、最も重要なのは、まずはお手持ちのPCで良いので、機械学習の勉強をスタートさせることが大事です。
スタートさせて、少しずつレベルが上がるにつれ、PCスペックも上げていけば良いでしょう。いつの日か、高性能GPUを使って並列計算を走らせて・・・となることを願っています。
弊社では本記事の他、データサイエンスや統計に関する記事をいくつも紹介しています。興味がある方はぜひこちらからご一読ください。
『データ分析のためのPythonを学び始める時につまずかないための6つのステップ』
『初心者もすぐに使える!エクセルの「分析ツール」機能で始めるデータ分析入門』
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