現代のデジタル時代において、データは私たちの生活やビジネスの中心に位置しています。ビッグデータ、人工知能、機械学習などのトピックが注目される中で、データの多様性とその取り扱いについて理解することはますます重要となってきました。
データは、様々な形式で存在し、それぞれ異なる特性と取り扱いが求められます。特に、構造化データと非構造化データは、データの分類において重要なカテゴリーとなっています。
データの解析やビジネスの意思決定において、正確で有用な情報を得るためには、構造化データと非構造化データの特性を理解し、それぞれの利点や課題を把握することが重要です。
目次
1.構造化データと非構造化データの主な違い
構造化データと非構造化データの違いは、データを表形式で持てているか否かです。
以下は、構造化データと非構造化データのイメージ図です。
非構造化データは例えば、音声データや、写真・動画・文章などがあげられます。
構造化データ | 非構造化データ | |
形式 | 表(テーブル) | 表以外 |
具体例 | リレーショナルデータベース | テキスト・画像・音声・動画・地理データ |
構造化データと、非構造化データの代表格である画像データを比較してみましょう。
構造化データはcsvやリレーショナルデータベースなどに格納されますが、画像データはJPEGやPNGなどの形式で保存します。
その性質の違いから、構造化データと画像データでは扱い方や分析方法が大きく異なります。
様々な考え方がありますが、構造化データと画像データは下記のように捉えられます。
構造化データは画像データと比較して、一つの行ごとの情報は捨象されています。その結果として、データ全体の傾向(犬の写真が多いなど)を把握することが容易となっており、回帰分析などの分析を用意に行えます。
他方で画像データは一つの事象を説明することに特化しています。その結果、画像データは構造化データと比較して容量が必要となるだけでなく、複数枚の画像に対する分析難易度は高くなります。しかし、近年では画像データを扱うライブラリは充実しており、例えば撮影された動物が犬かどうかを見分けるなどの分析は容易となってきました。
より細かな構造化データと非構造化データの違いは、4章で詳しい比較を行っていますので、そちらをご参照ください。
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2.構造化データとは?
2.1.定義
表形式で表されるデータ
構造化データは、明確なデータ構造を持ちます。データはテーブルやスキーマに基づいて整理され、列と行の形式で表現されます。各列には特定のデータ型が割り当てられ、データの意味や関係性が明確に定義されています。
構造化データは、一般的に以下のような形で表形式で表現されます。
表形式のデータベース
構造化データは、リレーショナルデータベースにおいて表形式のテーブルとして扱われます。テーブルは行と列から成り、各列は特定のデータ型(整数、文字列、日付など)を持ち、各行は個別のレコードを表します。顧客データベースや在庫管理データベースなどが一般的な使用例です。
CSV (Comma-Separated Values)
CSVは、データをコンマなどの区切り文字で区切って表現する形式です。テキストベースであり、表形式のデータを簡単に表現できます。データのエクスポートやインポート、データの交換によく使用されます。
事前定義されたスキーマ
構造化データは、事前に定義されたスキーマに基づいて管理されます。スキーマには、データの属性、データ型、制約、関係性などが含まれます。これにより、データの整合性と一貫性が確保されます。
2.2.特徴
容易なデータ操作
構造化データは、クエリ言語(例:SQL)を使用して簡単に検索、フィルタリング、集計、結合などの操作ができます。データベース管理システム(DBMS)や関連するツールを使用することで、データの操作や管理が効率的に行えます。
データの一貫性と信頼性
構造化データは、スキーマに基づいて整理されるため、データの一貫性と信頼性が高いです。データの重複や矛盾を防ぐことができます。また、データの品質管理やデータ品質規則の適用が容易です。
検索とアクセスの効率化
構造化データは、インデックスやクエリ最適化などのテクニックを活用して効率的に検索とアクセスができます。大量のデータを高速に処理することが可能です。
2.3.扱う上での注意点
データ統合とデータ品質管理
構造化データはテーブルやデータベース形式であるため、異なるデータソースからのデータ統合やデータ品質の維持が課題となります。データソースのスキーマの違いや重複データ、欠損値などの問題に対処する必要があります。
3.非構造化データとは?
3.1.定義
テーブル形式で表されないデータ
非構造化データは、従来のテーブル形式やスキーマによって整理・構造化されにくい形式のデータを指します。
テキスト文書、画像、音声、ビデオ、ログファイル、ウェブページ、ソーシャルメディアの投稿など、さまざまな形式を取ります。データの形式や構造は一貫しておらず、データソースごとに異なる可能性があります。
例えば画像データについて、同じ画像によっても.jpgや.pngなど、拡張子が様々あります。
3.2.特徴
柔軟性
非構造化データは、サイズや内容が動的に変化することがあります。例えば、画像や動画のサイズや解像度、テキスト文書の長さや言語、ソーシャルメディアの投稿の形式やキャプションなどが異なる場合があります。
複雑性
非構造化データは、内容や意味が文脈に依存していることがあります。例えば、テキスト文書の自然言語の解釈や画像の内容分析、音声の音声認識など、高度な処理や解析が必要な場合があります。
3.3.扱う上での注意点
分析難度が高い
非構造化データは形式や構造が不明確であり、データの解釈や構造化に課題が生じます。テキストの自然言語処理や画像・音声・ビデオの信号処理を用いてデータを分析・解釈する技術が必要です。
容量とデータストレージ
非構造化データはしばしば大容量であり、ストレージ管理が課題となります。適切なデータストレージの選択と管理、データの圧縮や効率的なデータ保管方法の採用が求められます。
メタデータ管理と索引付け
非構造化データはメタデータ(データの属性や特徴を示す情報)の管理が困難な場合があります。適切なメタデータ管理と索引付けにより、データの検索やアクセスが容易になります。
4.構造化データと非構造化データの比較
4.1.コスト
非構造化データを扱う際には特に、コスト面の問題が生じる可能性があります。
例えば画像や動画などのデータは容量が大きく、保管コストが高いです。
大量の画像データを効率的に処理したい場合は、ハイスペックなPCを用意するなどの対策が必要となることもあります。
4.2.分析難易度
構造化データはデータの形式が整っており、手軽に分析を始めることができます。
一方、非構造化データは扱いに専門知識を要するため、構造化データより分析難度が高くなりがちです。
5. 構造化データと非構造化データの利用事例
構造化データと非構造化データは、さまざまな業界や分野で様々な目的に活用されています。以下に、構造化データと非構造化データの利用事例の一部を紹介します。
構造化データは、企業の業績データ、財務データ、顧客データなどの分析に活用されます。BIツールやデータウェアハウスを使用して、データの可視化やレポート作成を行い、ビジネスの意思決定や戦略策定に役立てます。
5.1.非構造化データの利用事例
構造化データは、顧客の基本情報、購買履歴、顧客セグメントなどを管理するために使用されます。顧客関係管理(CRM)システムやマーケティングオートメーションツールを活用して、顧客へのターゲティングやパーソナライズドなマーケティング施策を展開します。
顧客管理とマーケティング
構造化データは、在庫レベル、注文履歴、物流データなどを追跡するために使用されます。在庫管理システムやERP(企業資源計画)ソフトウェアを活用して、需要予測や在庫最適化、サプライチェーンの効率化を行います。
在庫管理とサプライチェーン
メディアコンテンツの分析
非構造化データは、映画、音楽、テレビ番組、ニュース記事などのメディアコンテンツの分析に利用されます。音声認識や画像認識技術を用いて、感情分析やコンテンツのトレンド把握などを行います。
センサーデータの活用
非構造化データは、IoT(モノのインターネット)デバイスやセンサーからのデータにもよく使用されます。センサーデータを解析して、天候予測、トラフィック管理、スマートホームシステムなど、さまざまな応用が可能です。
構造化データは、在庫レベル、注文履歴、物流データなどを追跡するために使用されます。在庫管理システムやERP(企業資源計画)ソフトウェアを活用して、需要予測や在庫最適化、サプライチェーンの効率化を行います。
5.2.非構造化データの利用事例
メディアコンテンツの分析
非構造化データは、映画、音楽、テレビ番組、ニュース記事などのメディアコンテンツの分析に利用されます。音声認識や画像認識技術を用いて、感情分析やコンテンツのトレンド把握などを行います。
センサーデータの活用
非構造化データは、IoT(モノのインターネット)デバイスやセンサーからのデータにもよく使用されます。センサーデータを解析して、天候予測、トラフィック管理、スマートホームシステムなど、さまざまな応用が可能構造化
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