分析初心者が売上データから示唆を見つけるのに欠かせない分析の基礎

分析初心者が売上データから示唆を見つけるのに欠かせない分析の基礎

「売上データはあるがどう使っていいのかわからない」、「売上データから何か新しい示唆を見つけてもっと売上を伸ばせないか…」と悩んでいらっしゃる方は多いです。

特に普段データに触れていなければ、そもそも何から手を付けたらいいかわからないですよね。

しかし、売上データに関しては分析の際に見落としてはいけない4つの観点があります。複雑な分析手法に頼らなくとも、その観点でデータを分析すればデータの特徴を網羅的に理解し、新しい示唆を見出せるはずです。

そこで本記事では、データ分析初学者に向けて、売上データ分析に関する基礎的なポイントと示唆出しのための4つの観点を、具体的なポイントを挙げながら紹介していきます。本記事のポイントをいわゆるチートシートのよう役立ててもらえれば、初学者でもスムーズに分析を進められるはずです。

なお、売上データというよりもデータ分析そのものの入門的な話は以下の記事にて解説しています。本記事を読む前にこちらの記事も一読することで、売上データ分析もより深く理解するのに役立ちます。

【データ分析入門】知識ゼロから始めるためのデータ分析ガイド

1.売上データを分析する第一歩は、”データの特徴”を知ることである

売上データの特徴を捉えて初めて、新たな示唆や筋の良い仮説につながります。

分析と聞くと複雑な統計手法を思い浮かべがちですが、手法自体が問題になるのはデータ分析の一部分でしかありません。売上データ分析にとって重要なのは、分析の目的を達成するために筋の良い仮説を立て、その仮説を検証し、何かしらの意思決定に繋げていくことです。そして、筋の良い仮説を立てるためには、まずデータの特徴を知っていることがとても重要です。

データの特徴を知らないで分析することは、魚釣りにおいて「その水中に魚が潜んでいるか全くわからないけど、一か八かで釣り糸を垂らしてみる」のと同じです。これでは魚はなかなか釣れないですよね。「ここに魚がいそう=新しい示唆が得られそう」とあたりを付けられるだけで、グッと精度が上がるはずです。データの特徴を知るということは、この「あたりのつけ方」の精度を高める工程になります。

このような観点から、良い示唆を発見するためには、分析をする際にまずデータの特徴を把握することから始めるのがオススメです。

1-1.データには「差」「変化」「傾向」「法則性」の4つの特徴が隠れている

データから明らかになることは、「①差があること」、「②変化があること」、「③時系列的な傾向があること」、「④法則性があること」の4つです。それぞれの特徴の具体例は以下のようになります。

データの4つの特徴

さらに細分化することはもちろん可能ですが、おおむねこの4つに集約されます。そのため、逆に考えれば、データ分析を行う際は、「この4つの特徴のどれかを見つけるぞ」という姿勢で臨むと、データの特徴が見えやすくなります。

たくさん特徴が出てきたときに、どのような特徴に注目すればいいの?
「最終的に決めたいこと」に特に影響がありそうな特徴を優先的に選びましょう。上記で紹介した4つの特徴は、データを見ていく中でたくさんできます。全ての特徴を拾い切るのは骨が折れる作業ですし、「その特徴知って何になるの?」と分析が無駄になる可能性があります。例えば「在庫を減らすべき商品を決定したい」という最終的な目標があるならば、まずは各商品に特徴に焦点を当てて分析するべき、ということができます。

2.売上データの分析では、4つの観点からデータの特徴を網羅的に洗い出せる

小売店であろうと居酒屋であろうと、売上データの中身は比較的似ていることが多いです。そのため分析をする上でよく見る項目が存在します。それは以下の4つです。この4つを見れば何かしら目ぼしい特徴が見えてくるでしょう。

まず確認しておきたい4つの観点
  • ➀いつ:時間軸で分析する
  • ➁どこで:売上が立つ場所を軸に分析する
  • ➂何を:商品を軸に分析する
  • ④誰が:顧客(消費者)を軸に分析する

注意点として、入手できるデータに4つの項目全てが含まれているとは限りません。そのためデータが足りないときは、取得できている項目だけで分析を行うか、追加で新たにデータを調達をして分析をしましょう。

以下、4つの観点について具体例を交えて解説をします。ぜひ分析をする際にチェックシートとして用いてください。

①いつ:時間軸で分析する

「いつ」は時間軸に関する分析です。時間経過によるの売上推移もしくはある時点の前後の売上の差分を見ます。そうすることで「売上は下がり調子/上がり調子か」、「広告出稿前後で売り上げは変化したか」、「売り上げの変動に季節性があるのか」などが分かります。

「いつ」に関する切り口は、例えば以下のようなものがあります。

「いつ」の切り口例

具体的には以下のように分析できます。

いつの例

売上とともに売上日付は記録されていることが多いので、「いつ」に関する分析はかなり頻繁になされます。また、「どこで」や「何が」と良く組み合わせて分析されます。そのため分析の初めに手を付ける個所としてオススメです。

②どこで:売上が立つ場所を軸に分析する

「どこで」は都道府県や店舗名など、売上の発生源を指します。「ここの地域の売上が他と比較してかなり好調」や「ここの店舗の売上が低迷している」といったことが分かるので、施策を講じる対象を見つけることに役立ちます。良い箇所はそのノウハウや現象を他の個所に適用できないかを検討し、悪ければ悪さを引き起こす要因を突き止め改善策を講じることにつながります。

「どこが」で見るポイントとしては、以下の例が挙げられます。
「どこで」の切り口例

例えば都道府県と担当者では以下のような分析ができます。

「どこで」の分析例

「どこで」を見るときは階層構造に注意しましょう。例えば「A店の今月の売上が激減した」としたとき、その激減の要因が店舗固有のものなのか、それとも地域全体で起こっているものなのかは区別するべきです。これは、各店舗という属性が地域という属性に内包されている(地域>店舗)という階層性があるために検討の必要性が出てきた例です。分析する上ではその切り口に階層性がないかを意識しておくとよいでしょう。

③何を:商品を軸に分析する

「何を」は販売している商品に関する分析です。「何の商品が店舗の売れ筋や死筋なのだろう」「同一カテゴリないで最も売れているのは何の商品だろう」といったことが分かります。店舗側としては「現状ある製品のうち、何を仕入れるべきで何を減らすべきか」といった意思決定に活用できます。またメーカーの場合は「他社製品と比較して、自社製品がどの程度の競争力を持っているか」といった現状確認に使用できます。

「何を」を見る際には次の切り口が挙げられます。

「何を」の切り口例

この「何を」をテーマにした分析手法のうち、ABC分析と呼ばれる手法が代表的です。ABC分析とは売上金額や売上数量から各商品をA~Cでランク付けする手法です。ランク付けされることでどの商品が売れててどの商品が売れていないかが整理されるため、在庫管理に役立てることができます。

「何を」の分析例

ABC分析の具体的な計算手順は以下の記事に掲載しています。チャレンジしたい方はぜひ参考にしてみてください。

初学者のための代表的なデータ分析手法25選【イラストでわかりやすく解説】

④誰が:顧客(消費者)を軸に分析する

「誰が」では、「どのような人が商品を買っているのか」を分析します。近年ではPOSデータに顧客データが紐づいたID-POSデータの登場により、購買者に関する分析も盛んに行われています。購買者の理解は新商品の開発や広告宣伝の設計などに大いに役立ちます。そのため「誰が」について確認できるのであれば積極的に分析に取り組んでみましょう。

「誰が」に関する切り口は以下のものが挙げられます

「誰が」の切り口例

「誰が」に焦点を当てた分析として、デシル分析とRFM分析が顧客分類の手法として有名です。RFM分析は、Recency(最新購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3つの指標で顧客を分類する手法です。このRFM分析のうちMを詳細に見ていくのがデシル分析と言えます。このように顧客をラベル付けすることで、自社の収益に貢献する層を発掘でき、その人たちの理解を深めることで更なる収益増加に結び付きます。

「誰が」の分析例

「いつ」「どこで」「何を」「誰が」の切り口を組み合わせる

「いつ」「どこで」「何を」「誰が」の4つを見たら、次にそれらの指標を組み合わせて比較してみましょう。おおよそ以下のように2つほどを組み合わせると、複雑になりすぎず、データの特徴もさらに見えやすくなります。

組み合わせの例

この時、全ての組み合わせについてむやみやたらに組み合わせるのではなく、「最終的に決めたいこと」に特に影響がありそうな箇所から順に検討していきましょう。例えば分析の目標が「売上の芳しくない店舗を見つけてテコ入れしたい」だとしたら、店舗別の売上状況とその傾向を知るべく「いつ」×「どこで」として店舗別の月次の売上推移を確認するのが妥当です。製品や顧客についてはテコ入れすべき店舗が定まってから検討したほうが見通しがよさそうです。

3.効率よく分析を進めるために意識しておきたい4つのポイント

ここでは、私が実際に売上データを分析した経験を踏まえ、初学者に是非とも意識してほしい点を4つご紹介します。以下は、私にとっても「最初に知っておけば…」と思う点です。この記事を読んでくださっている方々には私の二の舞にならないよう、効率的に分析を進めもらえればと思います。

➀分析前に分析結果のパターンを想定しておく

初学者によくありがちなのが、何となくデータを触り始めて計算はしたはいいけれど、その分析結果から何を読み取ればいいかわからず詰まってしまうことです。「重回帰分析を実装してみた!だけどよくわからない数字がたくさん出てきた…。これからどうすればいいの?」といった状況が、私の周囲の院生の間でよく多発していました。

このような状況を防ぐためには、分析後の結果を分析前にあらかじめイメージしておき、「分析結果が出たら何に注目して、その数値がどうなったらどのようなアクションをするか」ということを事前に思い描くことが有効です。分析の流れを言語化してどこかにメモしておくと良いでしょう。

➁「大きな数値」を見てから「小さな数値」を見る

混乱せずデータ見るコツは、まず「全体の売上」など粒度の粗い数値から見ていくことです。

「いつ」「どこで」「何を」「誰が」を複数組み合わせると「分析している感」がでて楽しくなってしまいますが、細かくしすぎることはあまりおすすめしません。細かくしすぎると以下のようなデメリットが生まれます。

最初から細かく分析することのデメリット
  • 情報量が多くなりすぎて混乱する
  • インパクトの小さいものに固執してしまう

初めから細かくしすぎると情報量が多くなりかえって混乱したり、重要でないものを重要として時間を浪費してしまう可能性が大いにあります。そのため、切り口は初めは1つ、多くても2つまでの組み合わせでデータを比較すると、混乱せずスムーズに分析を進められるようになります。

➂数値は可視化する

分析最中は数字がたくさん出てきて、それらを比較しなければなりません。しかし数字を眺めて「どちらが大きいんだろう」と頭の中でイメージするのは大変骨が折れます。私たちがしなければならないのは「比較した結果から特徴を抽出し、その原因について考えること」です。数字の大小をイメージするのに脳のリソースを消費するのは大変もったいないです。

そのため、数値は積極的に可視化しましょう。以下のように数字を棒グラフにするだけで理解するスピードが格段に上がるです。

可視化

なお、数値の可視化(=データビジュアライゼーション)に関しては、以下の記事にメリットや教材など含め詳しく解説しています。データビジュアライゼーションはデータを扱う上では欠かせないスキルなので、もしデータを扱う機会が多い場合は一読することをオススメいたします。

データビジュアライゼーションとは何か?事例・定義・重要性をわかりやすく解説

④切り口のチェックシートを用意する

今回紹介した切り口だけでも、組み合わせまで考えると相当な数になります。このように切り口がたくさんあるようなリッチなデータを扱う場合は、「ここの切り口をみたいな」という部分に関して忘れないように、チェックシートを用意しておくとよいでしょう。分析結果もチェックシートの横に追記しておくと、やったことをスムーズに整理できます。

まとめ

本稿では、売上データ分析から示唆を得るのに役立つ観点についてご紹介しました。複雑な統計手法に頼らずともこれらを念頭に置くことで、十分意義ある示唆をデータから発見できるはずです。

意思決定に繋げるまでがデータ分析です。データから特徴を見つけたら、それについて仮説を立て、意思決定につながるような検証に取り組んでもらえればと思います。

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