データ分析の仕事において必要なスキルは、分析力だけではありません。
これは、データ分析の仕事を1年8ヶ月してきたからこそ気付いたことです。仕事を始める以前は「データ分析なんて分析ツールを使いこなせれば出来るでしょ」と私も思っていました。
そこで本記事では、私の1年8ヶ月に渡るインターンの業務経験から得た事を元に、
・若いうちに知っておきたいデータ分析の仕事をする上で必要不可欠な「4つの力」
・データ分析では何故データ分析力以外の力が必要なのか
・4つの力を鍛える効果的な方法
をご紹介します。
将来データ分析の仕事をしてみたいと考えている学生の方や、転職し新たなキャリアをスタートさせる方に、この仕事のことや求められる能力についてより実感を持っていただけると思っています。
目次
1 データ分析の仕事に必要不可欠な「4つの力」
データ分析の仕事にこれから述べる4つの力がどれも必要不可欠であるのは、データを分析して終わりではないからです。
データ分析の仕事とは、データを分析した後、分析結果を組織で共有し、意思決定に活かす事までを含む複合的なものです。
以下の4つの力があって初めて組織にとって価値のある情報をデータ分析により引き出せる為、一つでも欠けてしまうとデータ分析が無駄なものに終わってしまいます。
分析の目的を明確にする力
データ分析をする目的を定め、結果から価値ある情報を見出す能力です。
データ分析とは、組織が正しく意思決定出来るようにする一つの手段であり分析結果が活かされて初めて価値を持ちます。
目的は良く分からないが、取り敢えず分析していれば良いということはありません。
データ分析すること自体を目的とするのではなく、目的を明確に定め、分析結果から組織にとって行動に活かせる価値を見い出すことに重点を置く必要があります。
分析の目的を明確にする力がないと、たとえ苦労して分析レポートを作成しても「だから何?業務にどう使えるの?」という結果に終わってしまいます。
それを避ける為にも、「何の為にデータ分析をするのか」を考え明確にする思考力は重要です。
分析の目的を明確にする具体的な方法については記事を書いているので、こちらをご覧下さい。
分析に必要なデータを準備する力
データ分析に必要なデータを設計し作成する力です。
データ分析の対象であるデータは何も加工せずに、分析ツールにそのまま読み込ませればいいと言う訳ではありません。
何故なら、データ量が大きすぎて分析ツールに読み込ませるのが困難だったり、実データや項目名の表記がバラバラで統一されていないので分析するのに適していない事があるからです。
したがって、分析に必要なデータはどんなものか設計した上で、元のデータを加工し設計の通りのデータを作成する必要があります。
ちょうど、下図のイメージです。
分析に必要なデータを作成する力がなければ、「データが揃ってないから思うように分析レポートが作れない」「データが汚すぎて分析を進められない」という事態を招きます。
ですので、データ分析に必要なデータを用意する力は分析を進めていく為に必要不可欠です。
ツールを扱うエンジニアリング力
エンジニアリング力とは、ツールや言語を使いこなし分析結果を出す力です。
具体的には、企業のデータをExcel、 BIツール、統計解析ソフト、Python、Rなど分析ツールで読み込み分析レポートを作成することを指します。
データ分析と聞くと一番最初に思い浮かぶスキルかもしれません。
データ分析の仕事は、作成した分析結果を元に議論し、示唆を導き出していきます。
ですので、データ分析結果を表す成果物を作成する力がなければ、そもそもデータ分析の仕事を進めることが困難になります。
粘り強く人と向き合うコミュニケーション力
データ分析で得た示唆を人と共有し、粘り強く議論する力です。
データ分析をするのも人であり、分析結果を元に行動するのも人間です。ですので、データを最大限活かす為には、人と向き合い粘り強くコミュニケーションをとっていく事が不可欠です。
データ分析と聞くと、機械がスムーズに結果を返してくれるようなイメージを持ちがちですが、
・データ分析に必要なデータを集める為に、情シス部への粘り強い交渉が必要だった
・データ分析の方針を決める為に事業部との議論が複数回必要だった
・データ分析結果が難解なものだった為、組織に説明するのに段階を重ねた
などデータ分析に必要な素材を用意する時や、分析結果を元に意思決定をする時には人とのコミュニケーションが重要となります。
仮にコミュニケーションが上手く機能せず、情報を正しく伝える事が出来ないとデータ分析をした事が無駄になってしまうということも起こり得ます。ですので、粘り強く人と向き合っていく力は重要です。
2 4つの力を鍛えるには「メンターによる質の良いフィードバック」が重要
データ分析に必要不可欠な4つの力を満遍なく鍛えていくのは、自力では困難です。特にまだ業務経験が無い場合は、0から自力で力を付けるのは不可能です。
しかしメンターに質の良いフィードバックを受け続けられる事が出来れば、それらの力を爆発的に付けることが可能です。
質の良いフィードバックがどのような仕事であれ、効果があるのは言うまでもありませんが、4つの力を鍛えるとなると尚更重要性は増します。
何故なら、これら4つの力はデータ分析の仕事特有のものであり、実際の業務経験を積みながらフィードバックを受けない事には上達は困難を極めるからです。
質の良いフィードバックが学習効率を飛躍的にあげる
質の良いフィードバックを常に与えてもらえる環境は、その人の成長速度を格段に上げます。
厳しく指導してくれるメンターがいる事で、その人の技術を真似し自分に取り込んでいく事だけでは無く、自分の誤った知識を直す事や自分のスキルの弱点を把握し改善する事もできます。
結果として、学習のサイクルを爆速で回す事が可能となり力を爆発的に伸ばす事が出来ます。
確かに、データ分析に必要な知識のインプットや得た知識を分析レポートなどでアウトプットするだけなら一人だけでも可能です。
しかし、それらを踏まえて次の学習に活かし更に質の高いインプットとアウトプットを生むには、フィードバックは必要不可欠です。
また一人では、改善をする段階に行くまで時間がかかってしまうので、学習効率も良いとは言えません。
メンターは自分から行動しないと絶対に見つからない
そして、自分を厳しく鍛えてくれ質の良いフィードバックをくれるメンターを探すには「情報発信を頻繁にしていて、高度な分析能力を持つ人」に自分からコンタクトする必要があります。
自分を厳しく鍛えてくれる人が何もしなくても見つかるということは起こり得ません。
そもそも質の良いフィードバックを常にしてくれる人は世の中にたくさんいるわけではありませんし、わざわざコンタクトを取りにきてくれるはずもありません。自分にデータ分析の業務経験がないとしたら尚更です。
したがって、自分から行動する事が必要不可欠となりますが、当てもなしに探すのも非常に効率が悪いです。そこで私が強く勧めたいのは、
・Twitterで「データ分析」について頻繁に呟いている有識者の動向を追いDMしてみる
・ツールの難度の高い技術資格のタイトルで検索し、保有者がいる企業にコンタクトを取る
の二つです。
高いデータ分析能力を持つ方は、SNSで積極的に情報発信をしていたり企業のHPで自身のスキルセット・実績を公開している方が多くいらっしゃいます。
その中で自分が会得したいと思う能力を持つ人や会社に、「インターンをさせてもらえませんか」とコンタクトを取ることが有効な手段です。
私もまだ業務経験がなかった時に、どこで働こうかと迷っていました。当時は「Tableau」というツールをまず使いこなせるようになりたいと思っていたので、ツールの技術資格で最高難易度を取得している人が在籍する会社を調べていました。
そこで応募したエクスチュア株式会社で1年8ヶ月インターンをする事になりましたが最高の環境であったこともあり、自分のスキルを大幅に伸ばす事が出来たと思っています。
加えてTableau本社でも働きたいと思い、Tableau Japan株式会社でも半年間インターンとして勤務し中の人ではないと得られない専門知識を身に付けることが出来ました。
質の良いフィードバックを受けるためには絶えずアウトプットしなければならない
質の良いフィードバックがもらえる環境にいたとしても、フィードバックの対象となるアウトプットを人に見てもらわないことには成長しません。
何故なら、フィードバックとは自分の出すアウトプットに対して行うものだからです。したがって必要な知識や情報をインプットする事だけで無く、そこで得た知識をアウトプットすることはより一層重要です。
その点で言うと、データ分析の仕事はアウトプットが作り易いと感じます。何故なら、データという実体のあるもの扱う仕事であり、ツールさえあれば何かしらのアウトプットを作ることは出来るからです。
私が実際に日々やっているアウトプットは次の二つです。
自分の成果物をWeb上で公開する
サイト・自分のブログなど、分析ツールで作成したレポートなどの成果物を集めた自分のギャラリーを作ることです。
ギャラリーは、そのまま自分の実力を証明するポートフォリオになります。今までやってきたこと、成果物、創作物を直ぐ出せる状態にしておくことは自分を理解してもらう上で大切です。
私はビジュアル分析ツール「Tableau」で成果物を作ることが多いので、「Tableau Public」というサイトに自分の作成したものをアップロードして公開しています。
また学んだテクニックを情報共有サイト「Qiita」に記事として残しています。
自分のアウトプットをSNSで発信する
自分がWeb上に公開している創作物を人に見てもらえるようにSNSなどで発信することも大切です。
クオリティの高いものをWeb上で公開したからといって、発信しなければ人の目に触れる機会は少ないですし、誰も見てくれなければ価値も薄れてしまいます。
Twitterなどで自分の創作物を作成に込めた思いや感想とともに発信することで、より多くの人に見てもらえますし、感想やフィードバックをいただけることもあります。
アウトプットし続けたからこそ実現したこと
私の場合、アウトプットを繰り返し、質の良いフィードバックを受け続けることで実現したこととして
・自分のギャラリーにある成果物を、ニコニコ生放送で配信されたイベントにて登壇し発表。
・自分のスキルも向上し、Tableauの最高難易度の資格「Tableau Desktop Certified Professional」を国内では初の学生での取得
などがあります。
インプットで終わってしまうのでは無く、人に見てもらいフィードバックの機会を作る為にも、アウトプットし続けることはとても大切です。
3 まとめ
今回は若い時から押さえておきたい、「データ分析の仕事に必要不可欠な4つの力」について、私の業務経験を元にご紹介しました。
・分析の目的を明確にする力
・分析に必要なデータを準備する力
・ツールを扱うエンジニアリング力
・粘り強く人と向き合うコミュニケーション力
この4つの能力はデータ分析の仕事をする上でどれも欠かせない力ですし、若いうちから理解し鍛えていきたい力です。
確かに全て身に付けるのは簡単ではありませんし、学習の終着点も存在しません。
しかし、質の良いフィードバックを受けることの出来る環境に身を置いて、絶えずアウトプットを出すことが力を爆発的に伸ばす鍵となります。
その為にまず最初に私たちが出来ることは「自分から行動すること」一択です。データ分析の仕事においては「先に行動した者勝ち」であると私は思います。
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