
「無料で使えるBIツールで一番良いものってなんだろう」と思われていませんか?
世の中にはたくさんの無料で提供されるBIツールがありますが、「機能の差もよく分からないし、結局何を使えば良いか分からない・・・」と悩まれている方が多いのではないでしょうか。
無料のBIツールには、大きく2つ存在します。
- 各製品の無償版(有償版とは異なり制限が設けられている)
- 機能など自由にカスタマイズできるエンジニア向けのOSS(オープンソースソフトウェア)
私はこれまでに無料のもの有償のもの合わせて10種類以上使ってきましたが、その中でもここ数年人気のある無料で使えるBIツール8種を4つのポイントで比較してみました。比較結果として、私がどなたにも(普段PCに不慣れな方からエンジニアの方まで)まずオススメしたいのは「Power BI(無償版)」です。(以下比較表)
なぜPower BIが良いのか、なぜこの4つのポイントで比較を行ったのかは本記事で徹底解説します。また、個別具体的なニーズによってはPower BI以外のツールが適している場合もあるため、その点についても、ニーズ別にオススメするツールを解説します。
本記事を最後まで読んでいただければ、あなたは自信をもってこれだ!という無料で使えるBIツールを選ぶことができるでしょう。
当社では、BIツールの選定支援も行っております。詳細は以下にも公開してございます。
データ可視化そのものについて知りたい方は、こちらの記事からどうぞ。
目次
1.無料で使えるBIツールを使うにしても、有償BIツール導入を前提にすべきである
BIツールを使った本格的な組織でのデータ活用や他者との共有を考える場合は、現実的には有償BIツール一択になります。なぜなら、無料BIツールは以下の点で大きく制限がかかることが多いためです。
- 使用ユーザー数
- データ量
- 共有範囲
- 内部コスト(社内の人材コスト)
そのため、もし無料で提供されるBIツールを使用する場合は、以下の目的に限るほうが良いというのが、まず前提となるというのが私の意見です。
- 個人利用
- 組織展開に向けたPoC
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2.無料BIツールを選ぶ際に重視すべき4つのポイント
そうは言っても、まず無料でBIツールがどのようなものなのかお試ししたいという人は多いでしょう。そこで、どうしても予算に限りがあり、無料のものを使わざるを得ない場合、そのツールを選定する上で重視すべきポイントは以下の4つです。
- 主要なデータソースに接続できる
- 主要なグラフを少ないステップで描画できる
- 直感操作可能なユーザーインターフェースである
- レポート作成だけでなくアドホック分析が行える
この4つは、BIツールでレポート作成・分析を行う際に必要となる最低限の機能であり、製品の違いはこのポイントに現れます。
これらのポイントがなぜ重要なのか、以降詳しく解説していきます。
2-1. 主要なデータソースに接続できる
各種多様なデータに接続して可視化を行うBIツールでは、主要なデータソースに接続するコネクタが用意されていることが必須です。
ここでいう「主要」なデータソースは具体的には以下です。
- Excelファイル
- CSVファイル
- オンプレミスデータベース(Oracle、MySQL、Microsoft SQL Server、Postgres SQLなど)
- クラウドデータベース(Google BigQuery、Amazon Redshiftなど)
現状、組織や個人が抱えるデータは上記のデータソースに格納されている場合が多いです。そのためこれらのデータソースに接続できなければ、BIツールを導入してもそもそも分析したいデータを可視化することができなくなるため重要な確認ポイントになります。
2-2. 主要なグラフをクリックやドラッグ&ドロップで描画できる
主要なグラフ表現ができるか、また、その際クリックやドラッグ&ドロッグのみの簡単操作で実現可能かという部分は重要なポイントです。
なぜなら、主要なグラフすらユーザーに負荷のかかる操作を要してしまうのは本来BIツールの持つ強みからかけ離れ、グラフ描画、レポート作成に時間がかかってしまうためです。
ちなみに、ここでいう「主要」とは例えば以下のようなグラフのことです。
- 棒グラフ
- 線グラフ
- 円グラフ
- 指標(数値を文字として表示)
あなたも、仕事の資料やテレビなどでこれらのグラフ表現を日常的に見ていることでしょう。
実際、BIツールで表現するグラフも、7〜8割がこれらのグラフになることが多いです。そのため、これらの主要なグラフを描画する都度時間をかけないためにも、どれだけ少ないステップで描画できるかは重要なポイントとなります。
ちなみに、このポイントで少し劣ってしまうのがGoogleDataPortalとOSSのプロダクトです。
2-3. 直感操作可能なユーザーインターフェース(UI)である
いくら高機能・多機能なBIツールでも、その機能があることに気付けるか、気付いてもどうやって使うのか理解できなければ宝の持ち腐れです。
そのため、どういった機能がどこにあるのか分かる画面設計になっており、どのような操作を行えば自身が期待する挙動をするのか直感的に分かることが重要です。例えば以下のような画面のことです。
引用元:https://www.tableau.com/ja-jp/products/desktop
近年のBIツールはセルフBIツールが主流であり、セルフBIツールはこれまで分析を担当していた人のみだけでなく、現場のユーザーが自身で分析することを可能としています。
そのため、普段PC操作に不慣れな方でも直感的に操作できるような画面設計であることは重要です。
2-4. レポート作成だけでなく単発の分析(アドホック分析)が行える
BIツールはデータ可視化ツールと一括りにされることが多いですが、以下のような様々な用途で使用されます。(1〜4はレベルごとに並べています)
- 報告書などのレポートの作成
- 突発的に単発でクイックに行う分析(アドホック分析)
- 特に目的を決めずに行う探索的分析
- 高度な分析(データマイニングや予測分析)
どのBIツールにおいても、1の報告書レポートは作成することができます。しかし、2〜3のような仮説検証をトライアンドエラーをしながら思考のスピードで行えるBIツールは意外と少ないものです。
BIツールを使ってレポート作成のみしか行わないということは利用シーンとしてほぼありえないため、特定の目的に対して単発で行うアドホック分析や、目的を決めずに行う探索的分析がストレスなく行えるBIツールは優先的に選定しましょう。
3.無料で何とかしたい場合に最もオススメするのは無償版Power BI
私が最もオススメする無料BIツールは「Power BI(無償版)」です。普段PCに不慣れな方からエンジニアの方まで、どなたにもまずオススメしたいツールとなります。
ユーザーインターフェースや操作感などは以下の動画が参考になります。
(公式Youtubeチャンネルから拝借)
この動画から分かる部分もありますが、私がPower BIをオススメする理由には大きく6点あります。
- 120種類のデータソースに接続できる
- Excelベースの分かりやすいインターフェース
- 操作が簡単
- ビジュアライゼーションの表現力が高い
- 画面設計が決まっている分析に強い
- すぐに使える
以降、この6点について詳しく解説していきます。
3-1. 120種類のデータソースに接続できる
Excel、テキストファイル、各データベースなどのオンプレミスから、Azure、GCP、IBMなどのクラウドまで約120種類のデータに接続できます。
3-2. Excelベースの分かりやすいインターフェース
誰もが使い慣れているExcelと同じインターフェースです。そのため、新しく何かを始める時によく起こる「どこに、なにがあるのか分からない」という状況には陥りません。
3-3. 操作が簡単
基本操作はドラッグ&ドロップとクリックのため、簡単です。
3-4. ビジュアライゼーションの表現力が高い
Power BIは、他のBIツールと比べると、ビジュアライズできるチャートが多いです。なぜなら、既存で用意されているチャートタイプに加えて、拡張機能としてインポートできるチャートタイプ(カスタムビジュアルと呼ばれる)が存在するからです。
3-5. 画面設計が決まっている分析に強い
Power BIは、画面設計が決まっているものを作成する場合には非常に適したツールです。なぜなら、インターフェースが分かりやすく操作も簡単な上、描画できるチャートタイプも多いためです。しかし、探索的分析にはあまり適していません。なぜなら、「なぜ、もしかしたら」と探索的に分析をする際は、DAXと呼ばれる関数を駆使しなければ実現できないためです。
しかし、無料BIツールには、どのツールにおいても探索的分析に適していると自信をもって言えるツールはありません。そのため、探索的分析ができないといって大きくマイナスになることはありません。
3-6. すぐに使える
Power BIには無償版のPower BI Desktopと、有償版のPower BI Pro・Power BI Premiumの3製品がありますが、無償版のPower BI Desktopは「いつ、誰でも、すぐに(ただし、Windows OSのPCのみ)」使うことができます。こちらからダウンロードしてインストールするだけで、5分後には分析を開始できます。
4.個別ニーズに合わせた、無料で使えるBIツール
これまでに述べてきた通り、無料でBIツールを探している場合はPower BIをオススメします。しかし、これはあくまで私が無料BIツールを総合的・相対的に判断した結果です。
もし、あなたが以下のような個別的なニーズを抱えている場合は、Power BI以外でオススメのツールがありますので本章を参考にしてください。反対に、以下のニーズにあてはまらない場合は、迷わずPower BIを選択しましょう。
- Macで使える無料BIツールが良い
- カスタマイズ可能なOSSの無料BIツールが良い
- 可視化したいデータは全てBigQuery上にある
それでは、以降、これらの個別具体的なニーズに合うツールを紹介していきます。
4-1.Macユーザーには「Zoho Analytics」がオススメ
無料BIツールをMacで使いたい方には、Zoho Analyticsをオススメします。Power BIと比べると若干ユーザーインターフェースが分かりづらかったり、直感操作ができない部分もあります。しかし、それ以外で大きく劣る部分はありませんので、Macユーザーの方にはZoho Analyticsをオススメします。(以下、Zoho Analyticsの操作動画)
4-2.OSSのBIツールを使いたい方には「Metabase」がオススメ
BIツール自体のカスタマイズをしたいなどの理由で、どうしてもOSSツールを使いたいという方には「Metabase」をオススメします。なぜなら、私がこれまで使ってきたOSS BIツールの中で以下の点で使いやすさがあるからです。
- SQLのクエリビルダ・クエリ補完などがありSQLを書くのが楽
- グラフも、ボタン一つで描画することができる
- インストールもjarファイルをダウンロードして1行コマンドを入力するだけなので非常に簡単(Dockerイメージもあります)
このように、OSSのBIツールを使うにはエンジニアの人が通常持っている知識が必要となるものの、自身でBIツールをカスタマイズしながら使いたい方にはOSSのBIツール(中でもMetabase)をオススメします。(以下、Metabaseの操作動画)
(公式Youtubeチャンネルから拝借)
4-3.全データがBigQueryにある方には「Google Data Portal」もオススメ
可視化したいデータが全てBigQueryにある場合は、Google Data Portalもオススメできます。なぜなら、BigQueryもGoogle Data PortalもGCP(Google Cloud Platform)サービスの一部であり、お互いに親和性が高いためです。親和性が高いことで、Google Data PortalからBigQueryのデータに素早く接続でき、可視化までクイックに行うことができます。
ただ、Google Data Portalはユーザーインターフェースが分かりづらく、直感操作も難しいツールです。例えば、棒グラフや円グラフを書く時になんとなくここだろうという予想がすぐにはつきにくいのが正直なところです。
しかし、少しデータを確認したい際などにはクイックに対応することができるので、他の無料BIツールと比べると良い点もあります。そのため、可視化したいデータが全てBigQueryにある場合は、Google Data Portalを使うことも検討するのも選択肢としてはアリでしょう。(以下、Google Data Portalの操作動画)
(公式Youtubeチャンネルから拝借)
5.無料BIツールだからコストがかからないというのは幻想
無料で提供されるBIツールは運用面に想像以上のコストがかかることが多いです。具体的には以下のような理由によるものです。
- 共有の世界を作りづらい(使用ユーザー数や共有機能の制限をなくすには有償版に切り替えなければならないケースがほとんど)
- 自動化の世界を作るまでにハードルが多すぎる(OSSを使う場合、自動化の世界を作るまでに導入時の環境構築や共有のためのネットワーク設定など全て人力で行う必要がある)
- ガバナンス機能が充実していない(無料版は個人利用を想定しているためデータやセキュリティを担保する機能がないことがほとんど)
これらのことから、特に無料BIツールを使いこなすには導入〜運用までエンジニア/プログラマの社内リソースが必要不可欠となります。結局の所、お金のかけどころがツールなのか人間になるのかの差とも言えます。
6.有償BIツールで最もオススメするのは「Tableau」
有償BIツールで私が最もオススメするツールは「Tableau」です。なぜなら、試行錯誤や柔軟な改善を実現できる操作性に優れているからです。探索的に分析する際、試行錯誤を繰り返してもあまり苦に感じることがないまま、自分が求めている答え(Why)に辿り着くことができます。
こちらは有償BIツールに絞って比較した私の記事がありますので、そちらを参照ください。
7.まとめ
今回は、無料BIツールのオススメを比較表を用いて紹介しました。
前述の通り、無料BIツールは企業における組織展開には向かないものの、個人利用やPoCなど「ちょっと使いたい、どんなものか理解したい」といった際に気軽に使うことができる点ではアドバンテージです。
是非、自身の目的や活用場面を明確にし、そのイメージにあった無料BIツールを導入するのがおすすめです。
BIツールの導入をご検討中であればぜひ一度データビズラボへお問い合わせください。
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当社では、BIツールの選定支援も行っております。詳細は以下にも公開してございますので、ぜひご覧ください。
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