金融業界でデータ分析が重要な3つの理由とは?非構造化データの活用や、成功事例を解説

金融業界はテクノロジーを利用した業務効率化や品質の向上が積極的に進められている業界です。例えば、銀行員が行う融資判断や投資信託も、データ分析を実施することで一定水準の正確性を保ち、より的確な判断に貢献します。

では、金融業界においてデータ分析を進める際には、具体的にどのようなメリットや、活用方法が考えられるのでしょうか。本記事では、金融業界のデータ分析について複数の成功事例をご紹介するのに加え、非構造化データの重要性についても解説します。

金融業界でデータ分析を活用する5つのメリット

金融業界は他業界に比べて業務のデジタル化が進んでおり、ビッグデータの活用にも積極的です。金融業界は規制が厳しいためデータ分析の活用においては課題も多くありますが、こうした課題一つひとつに取り組み、クリアにしていくことでデータ活用によるメリットを最大化できます。

金融業界でデータ分析を活用する5つのメリットは以下の通りです。

1.株式・金融市場に関するリアルタイムな知見を得られる
2.与信審査・管理を高度化し、リスク分析の正確性向上
3.パーソナライズされた金融商品の開発提供できる
4.不正の検出と防止
5.プロダクトアウト的なサービスからの脱却

以下で詳細について解説します。

株式・金融市場に関するリアルタイムな知見を得られる

金融業界は、日々株式市場や金融市場に動きが見られることが大きな特徴です。市場の動向を確認・把握し、分析することで抽出した情報は、新規顧客の獲得や顧客満足度の向上などに活かせます

金融業界においてデータ分析を活用する際は、市場データの取得と分析が今後必要不可欠です。日本国内・世界のどちらにおいても経済は従来に比べて不安定な状況が続いています。消費者は信頼・安心できる情報を求めてはいるものの、金融マーケットのデータは専門的な知識が必要なため、自身では把握が難しいのが現状です。顧客をサポートする立場として、市場の動向を把握・分析することは、顧客との信頼性構築に繋がります。

継続してデータ分析を行えば、リアルタイムの知見も得られ、金融市場についての情報感度の向上も期待できます。

与信審査・管理を高度化し、リスク分析の正確性向上

金融業界において、与信審査や与信の管理は、取引した金額の未回収リスクを回避・低減する上で非常に重要なポイントです。与信審査の精度が低いと取引先である企業が倒産したり、全額回収が難しくなったりしてしまい、自社にとって大きな損失が発生します。

データ分析を活用することで、与信審査や管理を高度化し、リスク分析の正確性を向上できます。過去に金融事故を起こしていないかの確認や遅延や未回収のリスクをより正確に予測することが可能になるため、潜在的なリスクを洗い出すのに役立てられます。

パーソナライズされた金融商品の開発・提供ができる

パーソナライズされた金融商品の開発・提供ができることも、金融業界でデータ分析を活用することで得られるメリットのひとつです。金融業界におけるパーソナライズとは、顧客の金融状況に応じた商品やサービスを提供したり、関心がありそうなセミナーやイベントを案内したりすることです。データ分析を顧客への提案にも活用することができれば、顧客ニーズを満たしたり、顧客満足度を向上させたりする効果も期待できます。

不正の検出と防止

データ分析は、金融業界の取引における不正の検出や防止にも役立てられます。特に活用できるのは証券の分野です。「金融商品取引法」という法律によって、相場の操縦や内部者取引は不公正取引として厳しく取り締まられています。

そうした不正がないかどうかは、金融業界が保有するビッグデータを分析することで検出・防止することが可能です。実際に、証券市場の公平性や透明性を確保する機関である証券取引等監視委員会は、システムを導入してSNSの投稿を監視しています。これにより、不正に対して即座の対応を可能としています。

参考:日本経済新聞「株価操作狙うあおり投稿抽出、SNS監視強化 金融庁

プロダクトアウト的なサービスからの脱却

従来の金融業界は、企業側の理論を優先して作られたプロダクトアウト的なサービスがメインで展開されていました。消費者側もそうして作られたサービスを購入し、利用しています。しかし現代は、競合他社と金融商品やサービスを簡単に比較できる時代であり、選択肢も豊富です。消費者は自社のニーズと照らし合わせて購入の意思決定を行うため、プロダクトアウト的なサービスは選ばれにくくなっています。

例えば、銀行では提供プランの契約件数を増やすことが重視されますが、消費者は契約した先に得られるメリットを重視します。企業が提供したいものを販売するプロダクトアウトではなく、顧客のニーズに沿ったものを提供するマーケットインの商品を用意・提供することができなければ、売上の減少や事業の縮小も避けられなくなるでしょう。

今後の日本社会においてはプロダクトアウト的なサービスを脱却する必要があり、そのためにはデータ分析の利活用が欠かせません。

金融業界が保有しているデータと、収集方法

金融業界が保有しているデータはさまざまです。例えば、銀行や証券会社などの金融機関では顧客情報や購買データなどを保有しています。金融業界は特に、顧客の詳細なデータを保有していることが特徴です。勤務先や収入の情報、さらには他金融機関での借り入れ状況などについても保管・管理しています。

これらの情報は各金融機関が利用しているシステムを用いることで収集することが可能です。形式が決まっている構造が可能なデータであれば、閲覧したい情報の条件を指定すれば収集することができます。

金融業界における非構造化データの活用

金融業界では今後、構造化されていない非構造化データの活用が差別化に繋がると予測されます。

近年、SNSの普及やテクノロジーの発達により、従来と比較して得られる非構造化データ量が増加しています。こうしたデータには、契約情報や顧客情報などの構造化データとは異なり、多様な情報が含まれています。それらの情報を分析することで顧客サービスの改善が行えたり、不正を防止したりすることができます。競合優位性を確立することにも繋がるため、今後金融業界においては非構造化データの活用は重要です。

非構造化データとは?

まず、「非構造化データ」について定義を確認しておきましょう。非構造化データとは、文字通り構造化されていないデータのことを指します。ExcelやCSVなどで情報が整理されており、必要な情報の検索や閲覧がしやすい構造化データとは違い、形式や構造を持っていないデータです。

メールや契約書・提案書などの書類に加えて、音声・画像・映像・デザイン・SNS投稿などのデータが非構造化データに該当します。このような非構造化データは発生頻度が高いにもかかわらず、複数のソースに情報が存在している上、規則性を持たないために構造化ができません。そのため、情報収集や分析には専門的な能力や知識が必要とされています。

問い合わせ・通話ログの分析

非構造化データのうち、顧客からの問い合わせや通話ログといったデータには顧客の顕在的なニーズが隠されています。非構造化データの中でも音声は規則性がないため特に構造化が難しいですが、顧客の感情や考えなど、テキストにはない多くの情報が含まれています。

問い合わせや通話ログを分析し、顧客インサイトを抽出するには、音声分析や音声認識などの技術を使用します。音声を分析してテキストに落とし込んだ後は、自然言語処理によって効率的に分析を行います。このようにして問い合わせ・通話ログといった非構造化データを構造化すれば、サービスの改善やソリューションの開発などに情報を利活用することが可能です。

ソーシャルリスニングの実施

消費者のニーズや企業へのイメージを知る手段として、さまざまな業界でソーシャルリスニングが実施されていますが、金融業界においてもソーシャルリスニングは活用できます。

ソーシャルリスニングとは、代表的なSNSに加えてブログやレビューサイト、掲示板などで発信された情報を収集・分析し、マーケティングや新たなソリューションの開発に役立てるマーケティング手法です。

金融業界においてもソーシャルリスニングは、消費者の本音を把握する意味で役立てられます。具体的には自金融機関の商品やサービスに関する投稿を集めることや、アンケートの実施などが挙げられます。ただし、金融機関においてSNSを活用する際は注意が必要です。金融商品取引法や不正競争防止法に該当するような使い方がないよう、実施前に運用ルールは必ず決めておくことが大切です。

金融業界におけるデータビズラボの支援実績

データビズラボでは、データ分析を積極的に進める金融企業の支援を行っています。支援の内容は、企業が抱えている課題によりますが、分析ツールの戦略設計や分析ツールを活用する人材の研修支援など多岐にわたります。実際に金融業界における支援実績を2つご紹介します。

みずほ証券/みずほ銀行 グローバルマーケッツカンパニー様

みずほ証券/みずほ銀行 グローバルマーケッツカンパニーは、DX推進と社内で保有するデータの活用に積極的に取り組んでいる企業です。

データを扱う際には、マニュアルに沿って加工し、再度共有するという非効率な運用に課題を感じられておりました。それを解決するためにBIツールを導入しましたが、今度は研修の内製化に苦戦。通常業務と並行してコンテンツを作成することや、研修フィードバックのリソースを確保することに限界を感じていたと言います。

データビズラボでは、BIツール活用の研修支援を実施。研修に求める内容について柔軟なカスタマイズができたことに加えて、ツール活用方法だけでなくデータ分析に対する考え方やマインドの形成が含まれた研修内容を高く評価していただきました。結果として、特定の社員がデータ分析に関する専門知識を身につけることに成功しました。

参考:データビズラボ「みずほ証券/みずほ銀行(グローバルマーケッツカンパニー)様|個別フィードバック付きオーダーメイド研修支援(BI)

アント・キャピタル・パートナーズ株式会社様

投資ファンドであるアント・キャピタル・パートナーズは、投資ファンド業務を効果的に行い、事業ポートフォリオの価値を高める目的でデータ分析を活用しています。データビズラボでは、タレントマネジメント分野と収益性のシミュレーションができる分析環境を整えることで、データ活用の支援を行いました。データの前処理や加工、財務データと購買データの融合なども支援させていただきました。

これらの取り組みにより、シミュレーションデータを役員会議で活用することができるようになりました。ツールを用いてデータ分析をすることで、提示するデータの正確性も確保しています。

参考:データビズラボ「タレントマネジメントのシミュレーションで投資ファンド業務にデータ活用

まとめ

金融業界はデータ活用が推進されている業界です。顧客データや株式・金融市場など膨大なデータを分析し、顧客のサポートに活かすには分析ツールの活用が欠かせません。効率的かつ正確にデータを分析することができれば、顧客満足度の向上や顧客ニーズに応えた商品開発なども進められるでしょう。

特に、特定の形式を持たない非構造化データには隠された消費者ニーズが存在しています。こうしたデータを構造化して分析することも考慮しつつ、自社でのデータ分析の利活用を推進しましょう。

「これからデータ利活用を推進したい」「データ利活用やBIツールの活用に関する社内研修を実施したい」という企業様は、ぜひ金融業界の実績も豊富なデータビズラボにご相談ください。

貴社の課題や状況に合わせて、データ分析の取り組みをご提案させていただきます。

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