データビジュアライゼーションに関する体系的な情報って、日本では、なかなか見つかりませんよね。実際、日本では、データビジュアライゼーションを体系的に学ぶ場や科目、学科などが殆どありません。そこで、これからデータビジュアライゼーションを勉強してみたいと思っている方向けに、データビジュアライゼーションの入門記事として、現在チャート解説集を書いています。その中でも、本記事ではランキング表現を掘り下げて事例とともに解説しようと思います。
さらに詳しく学びたい方は、拙著『データ視覚化のデザイン』をお手に取っていただけますと、多くのダッシュボード構築事例も掲載しており、実務の中でご参考にしていただけるものと思います。試し読みはこちらです。
データ可視化そのものについて知りたい方はこちらの記事からどうぞ。
ランキングを表す
ランキングは、多くの場面で触れ合うことの多いものの一つです。地域別売上順位、注文数TOP5、ワースト10など、「順位」のデータビジュアライゼーション表現です。
棒グラフ(横)
馴染みもあり、どのような時にも万能な棒グラフです。降順にするだけで、ランキングをシンプルに表現できます。横にするとテキストラベルも中に入れることが出来て便利です。
棒グラフの良さは、「量の比較」がストレートにできることです。棒グラフのパワーを遺憾なく発揮した使い方として、下図の作品をご紹介します。
下図は、ダイヤモンド・オンライン「世界時価総額ランキング」のデータから、さらに示唆を得て効果的にメッセージを伝えるべく私がビジュアライゼーション表現をしたものです。こちらの作品のポイントは拙著『データ視覚化のデザイン』にも掲載しています。
『これが、30年というもの』 (Yukari Nagata)
ランキングだけではなく、1989年と2018年の2点間での時価総額自体の違いも如実に瞬時に表すべきと判断したため、ストレートに表現できる棒グラフを選択し、全体のレイアウトデザインをほどこしています。
棒グラフ(縦)
もちろん、縦の棒グラフを降順で使うことも良いです。
縦の棒グラフは推移の表現で使われる時にフィットしますが、シンプルに降順にすることでランキングも理解することができます。
スロープチャート
2点間の時系列での変化をストレートに表すのに最適な表現です。
坂のような表現をしているので、スロープ(坂)チャートと言います。30年での変化など、比較的大きなタイムスパンでの2点間で使うことが多いです。しかし、その限りではありません。下図は、日本人の死因が40年でどのように変化したかを表現したものです。上がったのか、下がったのか、そしてそれはどの程度なのか、ということを明確に伝えたいときにぴったりです。
ロリポップチャート
棒グラフの先端に円をつけた、ロリポップチャートです。標準的な棒グラフを使いこなせるようになって、少し茶目っ気、可愛らしさを入れたい時にも良いでしょう。先端についている円の中に、順位の数字を書くことも可能です。キャンディのロリポップのような可愛い形がチャート名の由来です。
バンプチャート
ランキングの中でも推移を表現したいときにぴったりな表現です。
線と円の組み合わせで、ランキングを表現できるバンプチャートが出来ます。
下図は、このバンプチャートを使って表現した、北米での色による車の色別における売れ行き推移です。
『Color Popularity for New Cars in North America 2000-2015』(Matt Chambers)
車の「色」による売れ行きの順位変化ですから、このバンプチャートの使うタイミングとしてはまさにドンピシャです。バンプチャートは円を使いますので、この作品のように、円の中にテキストラベルを忍び込ませられれるのも便利なところです。
また、上記はランキングの「推移」を表現していますが、横軸にカテゴリカルデータ(国別など)を使ったバンプチャートもあり得ます。下図は、私が作成した国別でのマクロ経済指標比較です。円のサイズで量の相対的に比較させるようにした応用的なバンプチャートの使い方です。
『2018年に出張に行った国』(Yukari Nagata)
私が2018年に結構多くの国に海外出張に行ったため、その国の経済指標を調べて体感と比較してみたいというのがきっかけでした。
このバンプチャートにあたっては、横軸にカテゴリを取るのが少し不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。バンプチャートの意図するところとしては、横軸は連続量になっていて、その変化を見ることができるという表示形式とも考えられるためです。その理由から、円の間が線で繋がっているということがあります。
しかし、円と円の間の線は「各カテゴリ(横軸)における順位を示すマークが、同一のディメンションであることを示すために有効に働いていることもあります。「線」や「線グラフ」は一般的に傾きから変化量を見るものなので、このグラフではその機能を隣同士でしか発揮できていないので不十分にも見えますが、上記の効果のために有効である(合った方がよい)というケースもありえます。
このように使う例としては、下記のビジュアライゼーションも参考になるはずです。
『World Happiness Report』(Tamás Varga)
「データ視覚化/ダッシュボードデザインを成功させる95のチェックリスト」をダウンロードする
まとめ
ランキング表現は、文字通りランキングですので、必然的に「順位」を伝えたい時に使います。ですので、バンプチャートなど、詳細の数字を確認することが難しいチャート表現もあります。そのような際には、テキストラベルや配置、インタラクション機能の操作(マウスオーバー、クリックした際に数字を表示するようデザインする等)で工夫すると、チャート選択に妥協せずに伝えたいことを効果的に伝えられるはずです。
次にランキング表現をする場面がきたら、是非本記事でご紹介した表現アプローチを使ってみてくださいね。
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