Tableauを使ったことのある多くの方は、Tableauで作った作品が並んでいる「ギャラリー」をご覧になったことがあるかもしれません。しかし、Tableau Publicは単にギャラリーではなく様々な意味を持つものです。本記事では、私のTableau Publicの使い方やそれを使った学習方法の軌跡などをご紹介・解説します。
データ可視化そのものについて知りたい方は、こちらの記事からどうぞ。
目次
1 自分の作品へのインスピレーションを得られるTableau Public
ギャラリーとしてのTableau Publicは、自身のアカウントを無料で持つことができ、自分が作成したViz(Tableauではビジュアライゼーションの作品のことをVizと言います)を公開したり、日々の素晴らしい Vizが飾られています。世界のユーザーが創作した素敵な作品が公開されているので、見るだけで楽しく、創作の刺激をもらえ、とても勉強になるはずです。
1-1 Tableau Publicでは、素晴らしいデータ分析、ビジュアライゼーション作品をVOTD(Viz of the Day)として選出している
素晴らしい作品はVOTD(Viz of the Day)と呼ばれ、Tableauシアトルのコミュニティチームから選出されています。日本人では下記の作品がこれまで選出されています。(2020年3月25日時点)
『Stress in Japan』Takashi Ohno作
『Stress in Japan』Takashi Ohno作
表現するものとデータにフィットしたチャート、示唆が深く素晴らしい大野さんの作品。
『Rainy Days of TOKYO』Takafumi Shukuya作
『Rainy Days of TOKYO』Takafumi Shukuya作
大胆にスペースを使った設計、フォントのめりはり、繊細な注釈使いの巧みさなど、とても勉強になる宿谷さんの作品。
『Naichingale Diagram』Satoshi Ganeko 作
『Naichingale Diagram』Satoshi Ganeko 作
繊細で美しい我如古さんの作品。
『Popular Shrines in Japan』Yoshihito Kimura作
『Popular Shrines in Japan』Yoshihito Kimura作
可愛くて探索するのが楽しくなる、「和Viz」の木村さんの作品。
『つぶやきの分布-Twitter Analysis-』Yukari Nagata作
『つぶやきの分布-Twitter Analysis-』Yukari Nagata作
弊作品です。1年分の「Tableau」をいっているつぶやきの分布を作ってみました。
『The Tokyo Subway』Takuhisa Watanabe作
『The Tokyo Subway』Takuhisa Watanabe作
ストレートに理解しやすい渡部さんの作品。
『History of the periodic table』LM-7作
『History of the periodic table』LM-7作
レジェンドLM-7さん。LM-7さんの作品は多数VOTDに選出されているのですが、その中でも私の好きな作品を掲載させていただきました。
VOTD(Viz of the Day)は、どのような資格や認定よりも実務力の証明になると思っています。
なぜなら、VOTDは情報としての面白さ、示唆の面白さにフォーカスが当たっており、それに加えて、ざっくり下記の点が高度に融合されてバランスを保っているからです。
・課題設定とメッセージ性(言いたいメッセージを適切に絞れているか?課題のスコーピング)
これができていないと、ただ単にデータはこうですよ、事実はこうですよ、となってしまう。それでも良い時はあるのですが、その上をいかないとなかなか難しいです。
・目的に応じた適切なチャートタイプ、表現力
ビジュアライゼーションのテクニック。全体バランスを見ながらレイアウトテクニック、そして細部におけるズームインした時のテクニック。
・全体デザイン
メッセージに合わせた適切なデザインになっているか?のポイントです。
・適切な計算
高度な計算だからレベルが高いとかシンプルな計算だからレベルが低いということではなく、適切なタイミングで適切な計算を出し入れすることこそ重要と思っています。
これらを高いレベルで同時にバランスを取っているものを選んでおり、そしてそれらはとても繊細なバランスの上に成り立っているものなので、VOTDはどのような技術試験よりも一番現実世界で要求される力に近く、様々な観点で高度な融合力が試されると思っています。なので、VOTDを連発しているLM-7さんとかは本当にすごいです。
最近の嬉しいこと:
Tableau 2020.1からエクステンション機能もTableau Publicでサポートされるようになりました。
「データ視覚化/ダッシュボードデザインを成功させる95のチェックリスト」をダウンロードする
2 Tableau Publicは、自身のTableauスキルを上げる強力な学習教材となる
Tableau Publicは、先人の方たちのワークブック(Tableauによる作品)をダウンロード可能なものはダウンロードでき、いわゆる「リバースエンジニアリング」しながら作り方を学ぶことができます。
ご自身がTableauで作ったことのないチャートタイプも、先人たちなら公開してくれているかもしれません。ダウンロード可能であれば、計算式などを解読することができ、ご自身のスキルを磨くことができます。私も今でも日々そのように研鑽しています。
Tableau Publicには次のような機能があり、リバースエンジニアリングの機会を加速してくれます。
2-1 お気に入り
お気に入りタブから、お気に入りのものを保存しておくことが出来、常にリファレンスできるようになっています。
2-2 アクティビティ
また「アクティビティ」からは、自分がフォローしている人のアクティビティ(作品のアップデート、お気に入りの更新)を追うことができます。
※私のページのアクティビティ
3 そのまま自身の実力を証明するポートフォリオとなる
どのような職業の方でもそうですが、ご自身のやってきたこと、成果物、創作物をすぐ出せるような状態にしておくことは自身を理解してもらう上でとても大切ですよね。
デザイナーに何かを頼むときに、何も実績ポートフォリオがないデザイナーの方に、お仕事を頼めるでしょうか?私は頼めません。
Tableauの文脈でいえば、Tableau Publicはご自身のgithubであり、職務経歴書よりもご自身の力を如実に伝えます。BIアナリストになりたい場合やデータ分析、ビジュアライゼーションのさらに良い仕事を得たい時に、Tableau Publicは強力なツールとなります。なぜなら、その場ですぐ自身の作品のデモができ、どのように作ったのか、どういう構想だったのかを相手に説明することができるからです。
4 コミュニティの創成
世界のTableau Community(コミュニティ)では、年中多くのデータ分析・視覚化プロジェクトが年中走っています。
そのプロジェクトを実行するにあたっても、Tableau Publicがその基盤となり、Tableau Publicに創作物をアップロードすることがコミュニティの強いつながりを生んでいるともいえます。
下記が、代表的な世界のデータビジュアライゼーションプロジェクトです。
#MakeoverMonday
Tableau Zen Master Hall of Fame(殿堂入り)のAndy Kriebel氏とTableau UKのAndy Cotgreave氏が2016年にスタートしたプロジェクト。既存のVizを作り直し、さらに良くするというコンセプトで毎週データが公開され、行われています。Twitterでハッシュタグをつけて投稿し、参加できます。
https://www.makeovermonday.co.uk
Viz for Social good
データを使った社会貢献のテーマのプロジェクトです。
https://www.vizforsocialgood.com
Iron Viz
Iron Vizは、年に一度行われるTableau ConferenceのIron Vizの予選コンペでもあります。
毎年のTableau Conferenceの前に、例年3回予選があります。
5 まとめ
Tableau Publicは、製品としてのTableauを成長させた中核であると思いますし、そして私自身をも大きく変えてくれました。
Tableau Publicは作品を共有できる貴重な場であり、インスピレーションを得る素晴らしい場であります。Tableau Publicがなければ、私は学ぶことも、自作品を共有・発信することもできなかったですし、難易度の高いものを創作することはできませんでした。
毎日のようにインスピレーションをくれる、海外、国内の素晴らしい創作者にいつも感謝しています。
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当社では、データ分析/視覚化/データ基盤コンサルティング・PoC支援に加え、ビジュアルアナリティクス、ダッシュボードレビュー研修、役員・管理職向け研修などのトレーニングを提供しています。組織に根付くデータ活用戦略立案の伴走をしています。
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