
最近はデータ活用部署だけではなく、ビジネスを行う部署のメンバーでもデータに触れる機会が増え、「マスタデータ」や「マスタ」と言った言葉を聞く方も多いと思います。
本記事ではマスタデータとは何なのか・どのように使われているかについて具体例を用いて解説します!
1. マスタデータとは?
マスタデータとは業務上の重要な事項の属性を表すデータのことを指します。基本的に固定的であり、頻繁に変更されることはありません。
マスタデータと対になるデータとしてトランザクションデータがあります。マスタデータとトランザクションデータには下記のような違いがあります。
マスタデータとは企業活動を行う上で基礎となるデータのことです。例えば、以下のようなマスタデータは多くのの企業に存在しているでしょう。
- 社員マスタ:社員コード・社員名・生年月日など社員個人の情報をまとめたデータ
- 顧客マスタ:顧客名や住所、資本金など顧客の基本情報をまとめたデータ
- 商品マスタ:自社が提供する商品の商品名や価格などについてまとめたデータ
上記のデータにより、企業活動の基礎となるデータが一括管理され自社の基本情報について従業員間で共通認識を持つことが出来ます。
2. マスタデータの役割
マスタデータによって自社の基本情報について従業員間で共通認識を持つことができると述べましたが、実際にビジネス部署に属している一般社員がマスタデータをそのままま見ることは多くないでしょう。マスタデータは下記に示すように、様々なシステムと連携し、日々溜まっていくデータに自社の基本情報を付与する役割を担っているのです。
社員マスタの活用例
上記は勤怠システムを用いた例です。従業員側が社員番号・勤怠日時をシステムに登録するだけで、人事部が部署ごとの残業時間管理などをしているケースはよくあります。従業員は勤怠時間と一緒に所属部署を入力しているわけではないのに、部署ごとに分析できるのは何故なのでしょうか。
実はこれはマスタデータのおかげなのです。勤怠システム内にて管理されているマスタデータに、社員番号と所属部署が紐付けて管理してあれば、社員番号データから所属部署を割り出すことができます。
商品マスタの活用例
次はECサイトの販売管理システムの例です。顧客がECサイトを通して商品を購入した際のデータの流れを表しています。ECサイトから販売管理システムに入力される情報は、商品ID、購入数、顧客IDのみとなっていますが、商品マスタ、顧客マスタとそれぞれIDをキーとして紐づけることによって分析用データが出来、発送準備からマーケティング観点の分析まで行えるデータとなっています。
財務費目マスタの活用例
異なるシステム間でデータを送受信する際にもマスタデータが役立っている場合があります。特に財務系のシステムなどは企業にとって重要なデータが扱われている故に、容易に費目の追加・修正ができない場合も多いです。弊社が関わったクライアント様でも、子会社の財務データを親会社のシステムに送信する際に費目が異なるために登録できないといった課題を抱えているところもありました。(下記図参照)
このような課題は異なる費目を紐づけるためのマスタデータを作成し、データ送信のプロセスに組み込むことで解決できます。(下記図参照)
予算マスタの活用例
少し応用的な例ですが、上記は月毎の予実進捗を管理するために1年分の予算を12ヶ月に按分するマスタの活用イメージです。
過去実績から各月に予算のどれくらいの割合が消費されたかを算出し、本年度の年度予算と乗算を行うことで本年度の月毎の予算を算出することができます。
3. まとめ
マスタデータは企業活動で重要な役割を担っており、データ活用の重要性が高まっている中でその重要性は増しています。多くの方がマスタデータについての理解を深めれば、データ活用促進が効率的に進められるでしょう。
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