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従業員の自社への愛着や信頼を表す指標のひとつである「従業員満足度」。人材不足が深刻化する昨今、この従業員満足度を高めるためにさまざまな企業が取り組みを行っています。
満足度を表す指標のひとつに給与や福利厚生などの待遇面がありますが、待遇面の改善には限界があります。総合的な従業員満足度を高めるには、待遇以外の改善・強化が必要です。
本記事では、従業員満足度を高める取り組みを行う前に知っておきたい、5つの構成要素やES調査の重要性とその流れなどを解説します。
目次
従業員満足度とは?
従業員満足度とは、企業に対する従業員の満足度を表す指標のことです。評価する項目は、職場環境・人間関係・やりがい・待遇・福利厚生などがあります。英語では「Employee Satisfaction」と呼ばれるため、その頭文字を取って「ES」と呼ばれることもあります。
従業員満足度が高いほど従業員が心身共に安定して働ける環境であることを示すため、定期的にアンケートやヒアリングを行い、数値に変化がないかを確認しましょう。
従業員エンゲージメントとの違い
従業員エンゲージメントは従業員満足度と類似する言葉ですが、意味する内容や構成要素が異なります。従業員満足度がその名の通り満足度の指標であることに対して、従業員エンゲージメントは、従業員の自社に対する貢献意欲のことを指します。
また、従業員満足度が高いことは必ずしも業績アップや企業の成長に繋がるとは限りません。一方で、従業員エンゲージメントは数値が高いほど従業員の貢献意欲が高いことを示すため、業績向上や売上向上が期待できます。
従業員満足度を高めるメリット
従業員満足度を高めることにより、企業はさまざまなメリットを得られます。自社の課題と照らし合わせて、従業員満足度を高める必要があるかどうかを判断してみてください。
生産性の向上
給与や福利厚生、人間関係など労働条件・労働環境が整備されている企業では従業員が不満を感じることなく業務に集中できるため、生産性の向上が期待できます。
モチベーションも高まるので、自主的な行動も生まれやすくなります。新規事業や新製品の開発など、イノベーションが起きやすい風土の醸成にも繋がります。
従業員定着率の向上
従業員満足度を高めることは、定着率の面でもメリットがあります。待遇・職場環境・職務内容などへの満足度が高いと転職する理由が少なくなるため、従業員が外部に流出する可能性が低くなります。
顧客満足度の向上
従業員満足度と顧客満足度は相関関係にあると言われています。企業への満足度が高い従業員は、自社への愛着心や貢献意欲が生まれやすいのが特徴。その気持ちを持って業務に取り組むためサービスの質が高まり、結果として顧客満足度の向上にも繋がります。
「ESなくしてCS(Customer Satisfaction)なし」という方針を打ち出している企業もいるほどです。
企業としてのイメージアップ
従業員満足度が高い企業はサービスの質も高いため、自ずと企業イメージも向上します。担当者ごとのサービスの品質にばらつきが少ないので、外部の方が安心して業務のやり取りを行えるようになります。
採用活動へのポジティブな影響
従業員の定着率が高まることによる副次的なメリットもあります。それが採用活動へのポジティブな影響です。人材の定着率が高い企業は、求職者や転職者にとって魅力的に映ります。
採用コストをかけなくても多くの応募があったり、リファラル採用が順調に進んだりと、効率的な採用活動が可能です。
従業員満足度の指標となる要素
自社の従業員満足度の改善に取り組む際、指標としたい5つの要素があります。どれかひとつではなく、全ての要素をバランス良く高めるための取り組みが重要です。
各要素の内容を解説するので、施策を検討する際の参考にしてみてください。
組織の理念やビジョンに対する理解度
従業員の自社への共感や熱意を生むには、組織の理念やビジョンに対する深い理解と共感が必要です。
理念やビジョンを理解し、受け入れている従業員は自社に対する信頼や、誇りに思う気持ちが強い傾向にあります。自社の考え方や方針に心から共感しているため業務を遂行する上でストレスが少なく、それが結果として従業員満足度を高めることに繋がります。
マネジメントや人事評価への納得感
上司と部下が強い信頼関係で結ばれていると、従業員満足度が高まりやすいとされています。上司と部下は日々、業務に関するやりとりを行う関係にあります。関わる機会が多い分、そこでストレスや不満が発生してしまうと従業員満足度が下がり、それがきっかけで離職につながることもあります。
公正で納得感のある人事評価制度も従業員満足度の指標となる要素のひとつです。自身の働きが正しく評価されていると感じられる企業では、従業員が不満に思うことが少ないため、従業員満足度が高まる傾向にあります。
職場の人間関係
同僚や先輩、後輩など上司以外の人間関係も重要です。
厚生労働省の資料「-令和3年雇用動向調査結果の概況-」によると、転職理由の1番多いものは「個人的な理由」、2番目に多いものに「職場の人間関係が好ましくなかった」ことが挙げられています。
参考:厚生労働省「-令和3年雇用動向調査結果の概況-」
業務を遂行する上でコミュニケーションが取りやすかったり、尊敬の念を持ってやりとりができたりする人が多い職場環境では、従業員は自社への満足度が高まります。
組織に対する自己効力感
組織に対する自己効力感とは、業務へのやりがいや自身の能力・スキルを生かして働けている感覚のことを指します。
組織に貢献できている、仕事を通じて自己が成長していると感じられると、自己効力感が高まり、より意欲的に業務に取り組むようになります。自己効力感を高めるには、従業員一人ひとりの特性やスキルを発揮できる適正な人材配置が求められます。
給与や福利厚生などの待遇面
言うまでもなく、給与や福利厚生などの待遇面は従業員満足度に大きな影響を与えます。成果や業務内容に応じた給与が支払われている、業界の給与水準と同水準であると感じられると、従業員満足度が高まります。
福利厚生に関しては、各種手当やスキルアップのサポート制度の充実などが従業員満足度に影響を与えます。働きやすさやライフワークバランスの取りやすさを実感できる制度を取り入れましょう。
従業員満足度を調べるES調査とは
実際に自社の従業員満足度を調べる方法として、ES調査があります。
従業員満足度を定量的・定性的に測定することで、見えていなかった課題が浮き彫りになります。従業員満足度を改善する取り組みの実施前には必ずES調査を行いましょう。
ES調査の流れ
ES調査の流れは、調査企画・調査対象と項目の選定・調査方法の選定と実査・集計や分析、レポート作成と大きく4つのフェーズに分けられます。
調査企画では調査の目的を決めます。目的を決めずに調査を行うと、その結果を有効活用できなくなってしまいます。目的は「入社3年目の若手社員のモチベーション改善」や「現行人事制度の改善」など、なるべく具体的に決めましょう。
次の調査対象と項目の選定のフェーズでは、調査対象の絞り込みと質問項目の設定を行います。調査対象は、雇用形態・勤続年数・役職の有無など細かく設定してください。立場が違えば組織に求める内容も異なるので、ざっくりとした対象設定だと課題を明確にすることが難しくなります。
質問項目は目的によって異なりますが、7つの基本項目をベースに考えましょう。その7つの項目とは、業務内容・業務負荷・人事評価制度・職場環境・上司・会社・総合的な満足度です。
対象者の絞り込みと質問項目の設定ができたら、ES調査を実施します。調査方法は、主にアンケートとインタビューの2種類です。基本的にはアンケート調査が用いられます。
実査が完了したら、回答の集計と分析、レポート作成に移ります。数が多い場合や工数を削減したい場合にはツールを使用するのがおすすめです。この4つの流れを実施して初めて、実際の課題がわかります。
従業員満足度の上下に関わる2つの要因
従業員満足度を左右する要因は、動機付け要因と衛生的要因の2つに分けられます。フレデリック・ハーズバーグが発表した「ハーズバーグの二要因理論」を用いた考え方で、従業員満足度を向上するには、2つの要因のバランス調整が重要とされています。
従業員満足度を高めるための施策の効果が薄いと感じる場合には、どちらが原因になっているかを確認してみましょう。
動機付け要因
動機付け要因とは、満足度を高める要素のことを言います。
指標となる要素の中では、マネジメントや人事評価への納得感と、組織に対する自己効力感が動機付け要因に該当します。これらの要因が満たされると従業員満足度が向上しやすい他、モチベーションの向上や生産性の向上も期待できます。
衛生的要因
衛生的要因は従業員満足度を低下させる要素のことを言います。
組織の理念やビジョンに対する理解度や職場の人間関係、給与や福利厚生などの待遇面が該当します。衛生的要因は離職や休職に繋がりやすいため、不満を感じさせない一定の水準を維持することが重要です。
従業員満足度を高める方法
従業員満足度の指標となる要素やES調査の分析結果を踏まえて、従業員満足度を高めるための取り組みを行いましょう。
取り組みには大きく分けて5つの方法があります。具体的な取り組み内容についても解説しているので、施策を考える際の参考にしてみてください。
組織の理念やビジョンの共有
従業員満足度を高めるには、まず組織の理念やビジョンの共有が必要です。全社の一体感を高め、帰属意識を強められます。
給与や福利厚生など待遇面の改善も重要ですが、それには限界があります。労働環境の改善や強化を行いつつ、従業員が自主的に行動するようになる基盤作りとして、経営理念やビジョンの理解・浸透に繋がる取り組みを行いましょう。
具体的な方法としては、社内掲示板や社内SNS、社内報などの活用が挙げられます。社歴が長くなると希薄化することもあるので、定期的に発信し続けることがポイントです。
評価制度の明確化と周知徹底
自身の働きや実績が正当に評価されていないと感じると、当然ですが従業員満足度は低下します。従業員の不満を軽減し、誰もが自己効力感を得ながらイキイキと働ける環境づくりのために、評価制度を明確化しましょう。
具体的には、評価基準を明確にしその内容を徹底的に周知します。複数の評価者を設けて、評価の偏りをなくす取り組みも有効です。
社員の特性を踏まえた人材配置
従業員によっては属している部署や事業部を変えることで、自身の能力を最大限に発揮できるようになり、満足度が上がるケースもあります。社員の特性を踏まえた人材配置にも取り組んでみましょう。
ポジションのミスマッチに対応できる柔軟な人事異動制度の設置や、社内公募制度などが考えられます。
社員の声を反映した環境整備
昨今は仕事への価値観の変化や働き方の多様化が進んでいます。社員の声を反映した、時代に合った環境整備も、従業員満足度を高める方法のひとつです。
例えば、テレワーク制度やフレックス制度、時短勤務制度の導入などが挙げられます。育児や介護など従業員の事情に合わせて柔軟な働き方ができると、従業員満足度の向上が望めます。
福利厚生の充実
一定水準の福利厚生があることは、従業員満足度を低下させないために必要です。さらに従業員満足度を高めるのであれば、福利厚生制度をより充実させましょう。
有給の取りやすさや夏季・冬季休暇の付与、住宅手当など休暇や手当金の制度は、福利厚生の取り組みの中でも特に従業員満足度が高まります。
まとめ
労働人口が減少し続けている日本では、優秀な人材を確保するための取り組みを行う必要があります。そのうちのひとつが従業員満足度の向上です。総合的な満足度を高めることができれば転職するメリットがなくなるため、人材の定着率を向上が期待できます。
まずはES調査により自社の課題を明確化し、その後課題解決に繋がる取り組みを実施して徐々に従業員満足度を向上させましょう。
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