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企業独自の価値観を指す「企業文化」。競争優位性が高い企業の多くは、独自の企業文化が全社にきちんと根付いています。将来的な自社の成長や事業の拡大に影響を与えるため、自社の企業文化を明文化しておくことは非常に大切です。
本記事では、自社の成長を加速させる企業文化を醸成する方法や、具体的な作り方などを解説。企業文化を構成する8つの要素や作る際の注意点も理解しつつ、より良い企業文化の構築に挑戦してみてください。
企業文化とは
企業文化とは、その企業独自の行動規範や価値観を指す言葉です。英語では「corporate culture」「company culture」などと表現されます。
企業文化は外部から見た自社のイメージを決める要素のひとつであるため、企業活動にも大きな影響を与えると言われています。
組織風土との違い
組織風土とは、これまでの企業活動や実績などにより内部に根付いた独自の価値観やルール、考え方のことです。組織風土は自然に形成されていき、外部からの影響を受けにくいのに対して、企業文化は意識的・戦略的に作られ、外部の影響を受けて変化する可能性があるのが大きな違いです。
社風との違い
社風と企業文化は意味が混同されやすい言葉ですが、実は意味が異なります。社風は、企業独自の雰囲気を指す際に使われます。おおらかな雰囲気だったり、活発さがあったりなど、職場の空気感を表現しています。企業文化はそうした社風を形成する要素のひとつです。
企業文化の種類
企業文化は傾向ごとに大きく4つに種類分けができます。理解しておきたいのは、これらの分類に優劣はないことです。従業員が実践可能で、かつそれが業績に結びついているのであれば、それが自社にマッチした企業文化であると言えます。
企業文化を作るプロセスに移る前に、自社がどの分類に当てはまるのか、大まかで良いので把握しておきましょう。
社交重視
社交重視の企業文化が構築されている企業は、リラックスした雰囲気が漂っているのが特徴です。堅苦しさがなく、良い意味で仕事関係と友人関係の境界が曖昧なので、フラットな状態で従業員同士がコミュニケーションを取ることができます。
信頼重視
仕事のプロセスを重視する企業は、信頼重視の企業文化が構築されていると言えます。業務に関するやり取りが非常にスムーズで、日々の仕事がしやすいのが特徴です。
能力重視
能力重視の企業文化が構築されている企業は、独創性や知性を重視するのが特徴です。進取的な企業文化とも言い換えられ、困難な課題に自ら挑戦したり、進んで前例のない仕事に取り組んだりする傾向があります。競合に対する競争意識が高いとも言えます。
序列重視
序列重視の企業文化が形成されている企業では、社内のヒエラルキーや伝統が重んじられる傾向があります。日本ならではの年功序列制度に類似する企業文化の分類です。階層上位ほど権力を持つため、従業員が権力を求めて競い合う特徴があります。
企業文化が改めて注目されている理由
自社の企業文化を考える前に、改めて企業文化が注目されている理由を知っておきましょう。主に3つの理由が考えられます。これらの理由は、自社に適した企業文化を考える際のヒントにもなります。それぞれの詳細を紹介します。
仕事に対する価値観の変化
企業文化が改めて注目されている理由のひとつに、仕事に対する価値観が変化していることが挙げられます。生活のために働くことはどの世代も共通していますが、中でも20代はビジネスパーソンとしての成長だけでなく、人としての成長や社会や人の役に立つ仕事であるかどうかを重要視する傾向にあります。
世代間で仕事に対する価値観に差があると、コミュニケーションが取りにくくなったり、意思決定にズレが生じたりしてしまいます。企業文化として自社の判断基準や意思決定の基準が明確になっていれば、世代に関係なく判断や行動を統一することができます。
参考:PR TIMES「【調査レポート】仕事価値観及びキャリア満足度に関する年代別調査」
働き方の多様化
仕事に対する価値観の変化と共に、働き方の多様化も進んでいます。働き方の多様化とは、時短勤務やフレックス制、テレワーク、副業など、働き手のライフスタイルや状況などに応じてさまざまな働き方が可能である状態を指します。
時間や場所を問わず働くビジネスパーソンが増えることによって発生するのが、コミュニケーション不足による諸問題です。そうした場合でも明文化された企業文化があれば、同じ価値観を持ってスムーズな働きが可能になります。
少子高齢化による人材獲得の競争激化
日本は少子高齢化が進行しており、今後ますます人材の獲得競争が激化すると推測されています。人材獲得の競争を避けるひとつの方法として、企業文化の醸成が注目されています。
明文化された企業文化がある企業では、従業員が自社のミッション・ビジョン・価値観を理解し、納得して業務を行っているため、定着率が高い傾向にあります。人材が長期的に活躍する環境を構築できれば、事業の成長にも繋がるでしょう。
企業文化を醸成するメリット
企業文化の一番のメリットは、全社で共通の価値観を持てることです。それによる具体的なメリットとはなんでしょうか。自社の企業文化を改めて見直し、必要かどうかを判断する際の参考にしてみてください。
意思決定の精度・スピード向上
企業文化は何か物事を判断する際の基準となる価値観です。従業員間で同じ価値観を持っていれば、意思決定の方向性が統一でき、判断もすぐに行えます。
ビジネス環境の変化が激しい現代では判断の遅さが致命的な問題に繋がることもあるので、企業文化を明文化して意思決定のスピード向上を図ることがおすすめです。
生産性の向上
後ほど詳しく紹介しますが、企業文化を構成する8つの要素の中に、ミッションやビジョンがあります。企業文化が醸成されている企業では、従業員一人ひとりがミッションやビジョンを達成するために主体性を持って行動するため、生産性の向上が期待できます。企業文化が浸透し、そうした従業員が増えるほどより生産性が高まります。
採用のミスマッチ・離職の防止
企業文化の醸成は、採用のミスマッチや離職の防止にも効果を発揮します。企業文化が明文化されていれば、採用時にその観点からも人材を判断することが可能です。また、自社のコーポレートサイトに企業文化を掲載しておけば、人材に対して事前に知ってもらうことができるため、よりミスマッチを減らすことに繋がります。
企業文化を醸成するときの注意点
企業文化を醸成することにはメリットがある一方で、デメリットもあります。これらの点に注意しながら企業文化を作ったり、整備したりしましょう。
行き過ぎると排他的な組織になりかねない
企業文化は全社の価値観の統制を促して組織力を高める一方で、それに適応できない従業員を排斥する排他的思考を生む可能性があります。
独自性の高い企業文化は企業の成長に必要ではありますが、全ての従業員が企業文化を体現できるわけではないと理解しましょう。企業文化が合わない従業員を排斥する雰囲気が生まれていないか、定期的にチェックしたり、そうした従業員をケアしたりする体制の構築も必要です。
社会の変化に対応しづらくなることも
企業文化を構成する要素のひとつに「外部からの影響」があるように、企業文化は社会の状況に合わせて柔軟な変化が求められます。企業文化が強固になりすぎると、そうした外部の変化に対応しづらくなります。社会の状況を把握し、企業文化とのズレが起きていないか、定期的な確認が必要です。
企業文化を構成する8要素
企業文化がどのように構成されているかを知らないことには、企業文化は形成できません。企業文化は8つの要素で構成されています。これらの要素を一つひとつ満たすことを意識しつつ、同時に社内に定着させる方法も考えていきましょう。
8つの構成要素の詳細を紹介します。
ミッション(果たすべき使命)
「ミッション(Mission)」とは、事業活動を通して達成したいこと、実現したいことを意味します。企業の存在意義とも言い換えられます。ミッションが明確で社内にきちんと浸透していれば、従業員は自分の業務に対して胸を張って取り組めるようになります。
ビジョン
企業が目指す未来の姿や理念・志が「ビジョン(Vision)」です。ビジョンは、従業員の意思決定や行動を統制し、正しい方向へ導くための道標になります。ミッションと並んで企業文化を形成するための重要な要素のひとつです。
価値観
「価値観(Values)」は、意思決定や行動する際の判断基準となる、企業文化の形成に欠かせない要素のひとつです。主に、ビジョンやミッションを達成するためにするべきことと、それ以外のことを判断する際に用いられます。全社の仕事の質や社内での言動にも影響を与えます。
人材
企業文化を形成するためには、当たり前ですが「人材(People)」が必要です。中でも重要なのが、ビジョンやミッション、価値観に共感してくれる人材が多いことです。そうした従業員が多い企業ほど企業文化が構築されるのが早く、人材の定着率も上がります。
慣行
「慣行(Practices)」とは、日常的かつ継続的に行われている行動のことです。ビジョンやミッション、価値観は企業の慣行に取り入れられることで初めて全社に定着していきます。
従業員の自主性に任せるのではなく、ビジョンやミッション、価値観を体現できる環境や制度を整えて働きかけることが重要です。
ストーリー
企業文化を強める要素が「ストーリー(Story)」です。ストーリーとは、創業エピソードや商品・サービスが開発された背景など、企業が独自に持つ歴史のことです。
ストーリーが社内で語り継がれることで、従業員は自社への理解や共感を深めていきます。
場所
「場所(Place)」も実は企業文化を構成する要素のひとつです。例えば、都心に本社を置く企業と、地方の緑豊かな場所に本社を構える企業とでは、感じ方や企業に抱くイメージが異なります。所在地だけでなく、社内のデザインやインテリアも従業員の働き方に影響を与えるため、ビジョンやミッションに対応しているかを気にしたいところです。
外部からの影響
企業文化は、社会情勢や市場の行動など「外部からの影響(Environment)」を受けて変化していくものです。時代の変化、市場の変化に対応した企業文化であるかどうか、定期的に見直す機会を設けましょう。
企業文化の作り方
企業文化を作るプロセスは大きく5つのステップに分けられます。企業文化は従業員が体現することで、初めて形成されるものです。トップダウンで決めるのではなく、従業員の意見を取り入れて作ることが、組織に根付く企業文化の条件となります。
では、企業文化を作る5つのステップの詳細を紹介します。
STEP1.現状分析
企業文化を作り始める際には、まず現状を把握・分析しましょう。自社が特徴・強みとして認識していることは、企業文化の形成に大きな影響を与えます。
現状分析の方法は、アンケートや部署単位のヒアリング、可視化ツールの導入などがあります。従業員一人ひとりの考えを把握できる方法を選択しましょう。
STEP2.目標設定
現状を把握・分析したら、これからどんな企業文化を作っていきたいのか目標を設定しましょう。アンケートやヒアリングなどを通して発見した、自社の強みや良さを取り込みつつ、ミッション・ビジョン・価値観などを決めていきます。
企業文化の形成は従業員の理解なくして達成することはできません。目標を確定する前に、グループディスカッションを行い、従業員の意見も反映させることも大切です。
STEP3.アクションプランの策定
次に、企業文化を全社に浸透させるためのアクションプランを策定します。企業文化は意図的かつ戦略的に作られたものであるため、浸透させる努力せずに形成されていくことは基本的にありません。
従業員を対象としたコミュニケーション施策や社内イベント、研修などをアクションプランに組み込みましょう。
STEP4.アクションプランの実行
実際にアクションプランを実行するステップです。効果検証を行うために、施策前の状態を数値で把握してから望みましょう。
効果はすぐに発揮されるものではありません。長い目で見て、企業文化浸透のための施策を実行してください。
STEP5.アクションプランの評価
アクションプランを実行するごとに、必ず評価を行い改善に繋げましょう。評価方法は、従業員へのアンケートやヒアリングなどがあります。
定性的・定量的に評価し、良い部分も悪い部分も次のアクションプランに生かします。
企業文化醸成の具体的な事例
日本国内には、企業文化の醸成に成功している企業が複数あります。いくつかピックアップしてご紹介するので、企業文化を作る際や、作った企業文化を社内に浸透させる際にこれらの事例を参考にしてみてください。
企業文化を強化し続ける好循環を生み出す仕組み作り|リクルート
画像出典・参考:リクルートホールディングス「価値創造の源泉は人」
リクルートグループは、バリューのひとつに「個の尊重」を掲げており、それが企業文化として根付いています。そうした企業文化を実現するため、個人に合わせて役割を決めアサインする人事制度や意思表明の場を設ける制度を導入するなど、複数の施策を実施しています。
これらの施策を実施することで、より企業文化が強化されているのが特徴。企業文化とその浸透施策が良い循環を生み出している参考となる事例です。
経営層が手本となって企業文化を体現|メルカリ
画像出典・参考:株式会社メルカリ「Culture Doc | 採用情報」
メルカリは、グループのミッションを達成するため、3つのバリュー(企業文化)を策定しています。その3つは「Go Bold」「All for One」「Be a Pro」です。創業1年目に策定されたもので、従業員が日々行う意思決定だけでなく、経営の意思決定もこれらのバリューを元に判断されていると言います。
経営層も企業文化を体現することで、従業員への理解・浸透が促進された好事例です。
詳細に明文化された企業文化により行動や意思決定を統制|ユニクロ
画像出典・参考: FAST RETAILING CO., LTD.「ファーストリテイリンググループ コードオブコンダクト」
ユニクロ事業を展開するファーストリテイリングは、企業文化としてコーポレートサイトに「行動規範」をわかりやすく記載しています。その行動規範は「ファーストリテイリンググループ コードオブコンダクト」と銘打たれており、詳細なガイドラインが定められているのが特徴です。
項目立てて文章で簡潔に記載することで、従業員が「ファーストリテイリンググループ コードオブコンダクト」を見れば自分がすべき行動や意思決定がわかるように工夫しています。
まとめ
企業文化は自然発生するものではなく、自社の成長や業績向上のため意図的かつ戦略的に策定されるものです。変化し続けるビジネス社会に対応するには、より良い企業文化を醸成し、体現する従業員を増やすことが必要不可欠です。
醸成したい企業文化を決めたら、アクションプランを立て、長期間かけて文化を作っていきましょう。
文化を構成するミッション、ビジョン、価値観などは、日常的に意識できる環境を作っておくことが大切です。
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