導入前に知っておくべきTableau Readerの4つの盲点

Tableauという製品を見聞きしたりしたことのある多くの人は、「Tableau Readerは無料で使える」「無料だから組織内全員それを使い、共有はそれにしよう」と考えられた方もたくさんいらっしゃると思います。

本記事は、無料だからといって安易に使ってしまいがちなTableau Readerの盲点となるポイントを解説します。

TableauReaderの画面

(Tableau オフィシャルサイトより)

 

データ可視化士のものについて知りたい方は、こちらの記事からどうぞ。

データ可視化とは?その重要性や手法、よくある課題と解決策を解説

1 Tableau Readerを前提にBI導入と組織展開を考えてはいけない理由

Tableau Readerは無料であることばかりが強調されがちですが、無料であるからこそ、導入前にその制限や制約を理解しておく必要があります。本章では、Tableau Readerの盲点となりやすいポイントを4点解説します。

1−1 地味だけど何気に大変なインストール問題

Tableau Readerはそれを使う人一人一人のユーザーがご自身のPCにダウンロードしなければいけません他のTableau製品Tableau Server,Tableau Online,Tableau PublicWebブラウザでビジュアライゼーションを見ることが前提であり上記の問題は発生しません

多くの会社では、社員のPCには不要なソフトウェアをインストール出来ないようにしているでしょう。すなわちこれは、無料だからといってTableau Readerを組織で大規模に使うことになるとユーザーが殺到してIT部を混乱させてしまうことになるということです。

もちろん、インストール可のソフトウェアとして会社のポータルサイト等にならべておけばいいと考える人もいるかもしれません。しかし、それでもなお、ソフトウェアとしてのバージョンが上がるごとに、また新しいバージョンのインストールが必要になり、その度にIT部へ申請や要請をするのは、かなりの時間コストになるでしょう。

1−2 データは更新されない

Tableau Readerではデータは更新はされません更新されたデータが見たい場合更新の都度でtwbxを受け取りそれをReaderに接続して見る必要がありますつまり、Tableau Readerではデータの鮮度に注意する必要があるということです。あなたがTableau Readerで見ている頃には、かなり古いデータだったりします。

下図は、データソースからTableau Readerで見るまでののフローイメージです。Tableau Readerフロー鮮度の高い情報をTableau Readerで実現しようとするならば、極端に言えば、データが更新されるたびにTableau Desktopで作成したファイル(パッケージドワークブック)を送ってもらい、そのたびにご自身のTableau Readerに読み込ませなければなりません。この状態は、今の時代に、あまりにスマートではありません。

四半期に一度見れば良い、というものであれば良いのでは?という声もお聞きしますが、次の課題もあります。

1−3 セキュリティ的には脆弱

Tableau Readerはデータが内包されている状態である「パッケージドワークブック」と呼ばれるもののやりとりになるためデータがそのまま丸裸の状態でありセキュリティ的には脆弱と言えます

エンドユーザーは直接データソースを見ることができ、ダッシュボードやビューに使われていないデータまで丸見えの状態です。ですので、顧客情報など機密性の高いデータを扱うにはセキュリティの観点でも慎重な判断が必要です。

1−4 PC以外のデバイスでは使えない

最後に、Tableau Readerはタブレットやスマートフォンには対応していません。こういったモバイルデバイスで共有されたものを見るにはTableau Server(Tableau Mobileのアプリケーションも)が必要になります。

最近ではスマホだけでしか情報取得しないという方も一般的ですのでPCでは見ない人も多いでしょう。そのような時に、PC以外のデバイスでは使えない、というのは使い勝手としては悪いと言わざるを得ません。

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2 使いどころとしてあり得るタイミングは予備調査フェーズ

それでもTableau Readerの使いどころをなんとか挙げるならば、Tableau Online/Serverへの大規模な投資前の予備調査や操作感の検証フェーズでしょう。

なぜなら、BI導入検討段階やPoCにおいては予算が十分にとれていないケースもあるため、そのような時に無料でTableau DesktopのUIが確認できTableauのパワフルなインタラクションを実感できるのはとても便利です。

下記は、ざっくりBI導入のフェーズを描きましたが、予備調査段階での使用にとどめるべきということです。

POCのプロセス

3 本来的な組織展開・共有はTableau Server/Onlineが実現

共有は、Tableau Online/Serverで実現しましょう。なぜなら、Tableau Readerでの共有は、ローカルにあるExcelをメール送受信で渡し合っていることと変わらないため、BIの導入で目指した世界である「更新されるデータが共有され誰もがすぐにアクセスできる世界」を作れるものではないからです。

Tableau Server/Onlineは基本的には同じようなものであり、Google BigQuery、Amazon Redshiftなどへの接続が可能です。オンプレ/SaaSで違いがありそれぞれそれに伴うメリット/デメリットが存在します。

4 Tableau Viewerはライセンス形態であり、Tableau Readerはプロダクト名である

Tableau Readerをご存知の方で混同されやすいのがTableau Viewerとの位置付けです。

Tableau Readerローカルでワークブックを受け渡して共有するプロダクト
Tableau Viewerオンラインでの共有であり、Tableau Server/Onlineのライセンス形態の一つの名称

この2つは全く異なるものであり、「共有」という言葉に含蓄されるその思想も上記の通り全く異なるものです。

5 まとめ

今、このようなBI製品を検討しているということは、そもそも、「多くの人がデータを見て理解できるような世界」を目指そうとデータ活用の展開をキックオフしているはずです。ですので、Tableau Readerが無料だからといって安易に使い始めるのではなく、上記4つのデメリットやリスクを鑑み今後の活用計画に対して適切な判断と投資是非や予算検討をすべきです。

重要なのは、このような共有ツールの製品の性能とその意味・意義を知り、フェーズやタイミングでうまく使いわけて活用することです。そうしなければ、製品の機能がボトルネックとなり、BI導入がうまくいくことはありません。

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