データビジュアライゼーションとは何か?事例・定義・重要性をわかりやすく解説

データビジュアライゼーションとは何か?定義/事例/ツール選びのコツまでを解説

デジタル化やデジタルトランスフォーメーションについて何かを調べたり、情報収集する過程で「データビジュライゼーション」というキーワードにたどり着いた方も多いではないでしょうか。

ビッグデータの活用が台頭し、膨大なデータを瞬時に理解する必要性が日々増す中で、「デジタル化」や「デジタルトランスフォーメーション」を支える「データビジュアライゼーション」の重要性が高まっています。そこで本記事では、「データビジュアライゼーション」とは何なのか具体的に掘り下げ、ビッグデータ時代に必須であるデータビジュアライゼーションの重要性から事例、ツールの選び方、学習のコツまでをご紹介します。

 

データ可視化について知りたい方はこちらの記事からどうぞ。

データ可視化とは?その重要性や手法、よくある課題と解決策を解説

1.データビジュアライゼーションとは、情報やデータを視覚的にわかりやすく表現することである

データビジュアライゼーションとは、シンプルに言えば情報やデータをわかりやすく視覚的に表現することです。例えば下記のように三人の身長をデータビジュアライゼーションしてみるだけで、Bさんの身長が一番高いことが、ぱっと見でわかりますよね。

三人の身長をデータビジュアライゼーション

 

このように、データビジュアライゼーションは様々なチャートタイプ(グラフ形式)や視覚的な要素を用い、傾向や異常、規則性などを瞬時に理解することを促すものであり、膨大なデータを扱う時代には必須のものです。

上記はわかりやすくするために3件のデータしか使っていませんが、これが3億行あったらどうでしょう。データビジュアライゼーションしなければ、理解出来ませんよね。

データビジュアライゼーションは日本語では「可視化」「視覚化」「見える化」ともよく言われる
データビジュアライゼーションは英語では「Data Visualization」です。しかし、日本語では、「データの可視化」「データの視覚化」「データの見える化」と言ったりもします。同じことを指している場合が多いですが、私は”視覚化”という言い方が好きです。データビジュアライゼーションの根底にあるエッセンスとしては、視覚的情報を視覚的に脳が反応することを考えて作り上げているからです。ですので、先般出版した自分の著書のタイトルは『データ視覚化のデザイン』とした次第でした。
データ視覚化のデザイン表紙

2.データビジュアライゼーションには大きく2種類ある

データビジュアライゼーションには種類があり、下記の通り大きく2つに分かれます。
  1. 科学技術の分野で扱われるデータビジュアライゼーション
  2. 情報のデータビジュアライゼーション
ここでは「データビジュアライゼーション」の理解に結びつけるため、上記の分野に少し触れて紹介します。

2-1.科学技術の分野で扱われるデータビジュアライゼーション

科学技術の分野で使われるデータビジュアライゼーションです。英語では、「Scientific Visualization」と言います。多くが、3Dでのビジュアライゼーション、建築学や薬学、生物学など学術的な研究の分野で使われるものです。研究者が現象を理解したり、事実や傾向を把握するためにされるデータビジュアライゼーションです。例えば、医療現場での画像、分子構造の表現などもそうですし、法医学の世界の、下図のようなものもこの分野に入るでしょう。

CTによって、体内に残る金属片を容易に識別できる 生存している患者に対するsynthetic MRIスキャンの結果の例 

Beautiful Visualization(ビューティフル・ビジュアライゼーション)より引用

下図は星座をデータビジュアライゼーションした自作品ですが、こういった地理空間のデータビジュアライゼーションもこちらに入ると言えるでしょう。

2-2.情報のデータビジュアライゼーション

多くは商業の分野で一般的な情報・データを扱う場合のデータビジュアライゼーションです。英語では、「Informaition Visualization」と言います。

情報にはデジタル情報と非デジタル情報がありますが、どちらの場合であっても、人間が認知し視覚的にわかりやすい形にすることを目的とします。日常的なビジネスの現場で我々が行なっているデータビジュアライゼーションは殆どこちらでしょう。わかりやすい例としては、数値の表をヒストグラムにしてみたり、フローチャートにしてみるなどです。

グラフ

情報のビジュアライゼーションイメージ

 

その他わかりやすい例として、こちらも私の作成した時価総額ランキングがあります。データをシンプルに棒グラフ(バーチャート)にしただけですが、メッセージ性を入れ、数字の羅列で見るより洞察が出てくるかと思います。

出典:データ視覚化のデザイン

 

「ビジュアルアナリティクス」という新たな概念
上記に加え、ビジュアルアナリティクスという概念も存在します。英語では、「Visual Analytics」と言います。情報のビジュアライゼーションの派生形です。国内ではまだ馴染みのない言葉ですが、「ビジュアルアナリティクス」という言葉自体は、海外ではすでに一般的な言葉になっており、その言葉での書籍も多く出ているほどです。

ビジュアルアナリティクスは、特に動的な動きや直感的なデータビジュアライゼーションを効果的に使い、データビジュアライゼーションと、それをみて理解する人間による判断と操作を”反復”させることに焦点があります。知見や示唆を得たり、次になにを分析すべきか?などの精度をあげていくことに焦点をあてているものです。ここが、単なる情報のデータビジュアライゼーションとは異なる点です。

3.データビジュアライゼーションが重要な2つの理由

データビジュアライゼーションがなぜ必要なのかについては大きく2点あります。

3-1.大量のデータはデータビジュアライゼーションしなければそもそも見て理解することができない

ビッグデータの時代であり、我々が扱うデータは日々膨大になっているのは下記の記事でも書いた通りです。

ビッグデータとは何か?事例を通じてわかりやすく解説

データが大量になると、データを管理したりそこから何かを発見したりするのはどんどん難しくなっていきます。一行一行数字を目視で確認しながらでは、データに潜むパターンや傾向は把握できませんよね。しかし、データビジュアライゼーションの大きなメリットは瞬時に大量のデータを理解できることです。

大量の数字の羅列のスプレッドシートからでは、その傾向や規則性などはわかりませんよね。大量のデータを見えるようにすることで瞬時に人が見て理解できるようにするのが、データビジュアライゼーションの醍醐味です。

3-2.ビッグデータが存在する時代に、データを見て理解しないのは機会損失が大きすぎる

「データはあるものの、データをみて理解できる世界を作り上げられていない」ということはよく起きています。その理由としては、下記が挙がることが多いです。

  1. データビジュアライゼーションツールに習熟するのが難しい
  2. 必要な加工ができない

どちらもよく言われることですし、よくあるハードルです。

しかし、データはたまっていても、活用(=見て理解し、行動する)しなければ、データを収集したコスト、管理しているコストが無駄になってしまいます。データ自体、ストレージ単価自体はは廉価になってきているものの、データ収集コストや管理コストはタダではありません。データを見て理解する世界を作らなければ、収集にかかったコスト、管理しているコストが意味のないものになってしまうのです。

3.特にデータビジュアライゼーションが効果を発揮する企業の特徴

データビジュアライゼーションとは「データを見て理解する技術」です。すなわち、「データを見て理解できる状態にはなっていて、していないだけ」という企業であれば、本質的な課題設定と技術さえあれば今すぐにデータを見て理解することができ、真に「データを活用」する世界が作れるはずです。

私の経験と見聞きした知見を基に、データはたまっていてすぐに使える状態にあるが活用しきれておらず使えば大きな効果を発揮しそうだと思う業界として、以下があります。

3-1.金融業界

証券・銀行・保険・カードなどの金融業界は、データを多く持っているものの活用できていないでいる業界の一つです。

大きな理由としてセキュリティの観点で現代的なデータ活用基盤の整備がこれまで難しかったというところがあるでしょう。しかしながら、業界で台頭している企業はセキュリティを現代的なものにアップデートし、データを活用出来る整備を整えているのも事実です。

金融業界はデータがたまっている年数としても、そして膨大な顧客のデータが蓄積されている点でも、データビジュアライゼーションの力で多くの示唆が出せる業界の一つでしょう。

3-2.デジタルマーケティング

デジタルマーケティング領域は、その名の通りデジタル前提のマーケティングなので分析対象がデジタル化されており、行動や結果がデジタルデータとして構造化されていることが多い状態です。しかし、そのデータの分析手法や表現方法、解釈方法が一辺倒になってしまっていたり、他の異種データと合わせて立体的・複合的に見ていくことは可能ではあるものの、社内の技術的に難しい、ということもよく認識される課題です。広告効果のさらなるレバレッジをかけるためにデータビジュアライゼーションのパワーを使うと良い領域の一つです。

3-3.製造業

製造業も、効果が”わかりやすい”業界・領域の一つでしょう。

-故障したときの特徴
– 異常停止するときの故障が発生しやすい部品
– オペレーターのミス検知
– 機械の稼働時間

など、即座に反応しなければならないオペーレションに直結する業務領域は、データビジュアライゼーションととても相性が良いです。

3-4.デジタルサービス

BtoCの例ですとメルカリ、その他EC、アプリ、WEBサービスなどのデジタルサービスはそもそものビジネスモデル自体がデジタルを前提としており、多くの情報が最初からデジタル化されているためスタートしやすく効果も短期間で発揮しやすいです。ダウンロード数などの各種指標なども取りやすいでしょう。このようなデジタルサービスから抽出されるデータと、外部の異質のデータや社内のデータを組み合わせると分析が立体的で複合的になり、さらに示唆がでることも多いです。

    4.初学者からスキルアップするためのファーストステップ

    ここまで読んで、早速データビジュアライゼーションをスタートしてみたくなった方も多いでしょう。ここでは、そんなあなたにおすすめのブログ記事や書籍、ツール選びのコツまで解説します。

    4-1.スタート初期はブログやコンテンツ記事で情報収集するとインスピレーションにつながる

    特にスタート初期の場合、どのようなことをどのようにデータビジュアライゼーション出来るのか、アイデアすらわからないことも多いはずです。そんな枠を突破させてくれるのがブログやコンテンツ記事であったりします。お金がかからないということもあり、気軽にスタートできる最初の第一歩と言えるでしょう。

    海外でも国内でもWEBコンテンツは溢れていますが、英語が読めれば特に下記がおすすめです。専門家たちが書いているもので、高いパッションで書かれた素晴らしいものばかりです。

    Storytelling with Data 

    アメリカを起点としているデータビジュアライゼーションの団体です。ワークショップやトレーニングを提供している専門家集団のコンテンツです。彼らが主催する#SWDchallengeというデータビジュアライゼーションのコミュニティでは、毎月一度作品を出し合って練習することも可能です。

    Information is Beautiful 

    データビジュアライゼーションにインフォグラフィクスの要素を多分に加えた素敵な作品を発信しています。私自身もこのサイトを主宰しているDavid氏のファンの一人です。

    Visualizing Data

    データビジュアライゼーションとインフォグラフィクスを融合して発信をしておりとても多くの作品や知見が纏まってあり、参考になるはずです。

    また、当社のオウンドメディア「データビズラボ」では、データ分析、データに関わるビジネス上の課題に加え、データビジュアライゼーションを深掘りする記事も発信しています。個別具体的なデータ分析のコンテンツ記事に加え、データビジュアライゼーションに関しても深掘りしたコンテンツを発信しています。

    ランキング表現を制する【データビジュアライゼーション】

    データ視覚化/ダッシュボードデザインを成功させるための95のチェックリスト

    4-2.ざっくり情報収集が出来たら、書籍から理論を学ぶのがおすすめ

    以前にデータ分析・視覚化のための記事を書きましたが、書籍はじっくり腰を据えて学ぶのにおすすめです。

    データ視覚化のプロが選ぶデータ分析のオススメ本32選

    ブログやWEBコンテンツはとっつきやすいところがメリットですが、書籍は特に理論的な学習にフォーカスを当てる事が出来ます。

    4-3.有償トレーニング・プログラムは学習速度を上げる近道

    好きなプロダクトや使いたいツールが決まったら、そのトレーニング・研修を受けてみるのもおすすめです。有償トレーニングの最大のメリットは、その学習効率の良さがあるでしょう。基本的なことでも最初は何も知らず・わからずですとここはどうやって色を出すんだっけ・・・と無限に時間がかかってしまいます。そのような時間の消費を回避してくれるのが体系だった有償トレーニングです。

    当社で様々なトレーニング・研修を提供した例で学習効率を強く感じて下さった事例が下記です。何かを学ぶ場合、自分一人でGoogle検索や Youtubeを永遠に見てもなかなか効率が悪いことが多いです。そんな時に良いのが体系だったトレーニングと、自分のペインポイントに刺さるアドバイザリーです。

    事例/3ヶ月の短期集中型データ分析研修で、効率的&効果的なシステム開発に成果を出したソフトウェア会社

    また、UdemyAidemyなどを利用してクイックに且つリーズナブルに習得できるものも多くあるでしょう。

    4-4.データビジュアライゼーションの実践的な事例を見る

    データビジュアライゼーションの事例はそのコンセプトや目的に応じて様々あります。たくさんの事例を見る事でインスピレーションを湧かせることも出来るでしょう。

    BIツールはビジュアライゼーションを得意としますのでプロダクト名で検索するだけでもそのプロダクトで作成された素敵なデータビジュアライゼーション事例が見つかるでしょう。また、TableauのTableau Publicのギャラリーや、D3などの事例、RやPythonなどの事例も参考になるはずです。

    また、先述した下記の記事に紹介する書籍にも、たくさんの良いビジュアライゼーション事例が掲載されています。

    データ視覚化のプロが選ぶデータ分析のオススメ本32選

    4-5.よく使われているデータビジュアライゼーションのツール

    データビジュアライゼーションには何らかのツールが必要です。ここでは、よく使われている代表的なツールをご紹介します。

    Excel

    もっとも身近な例としてはExcelがあるでしょう。データ量や属人性の限界はありますが、使い慣れている人が多いです。Excelで作った棒グラフも立派なデータビジュアライゼーションです。大量のデータを扱いたくなってきたら、BIツールを使うのがおすすめです。なぜエクセルではなくBIツールを使うべきなのか、に関してはこちらの記事もヒントを書いているので、ご参考になるはずです。

    【Tableauの使い方】Excelだけで十分では?なぜTableauが必要なの?

    D3

    D3はパワフルで柔軟なJavaScriptベースの開発環境です。

    各種BIツール

    最も手っ取り早くデータビジュアライゼーションが出来るのは各種BIツールでしょう。私もデータビジュアライゼーションに出会ったのはBIツールが最初でした。最近はどのBIツールも機能リッチで素晴らしいものばかりです。BIツールに関しては、こちらの記事もご参考にされてください。

    人気BIツール8つを詳細に比較【2022最新】

    5.まとめ

    データビジュアライゼーションとは何なのか、それが重要な理由、そしてイメージを持っていただくための事例をお伝えしました。

    ファイナンス、広告、流通、製造業、サービス、どのようなビジネス領域であれ、データが存在し、実はデータビジュアライゼーションと深く関わっているものです。

    概念

    うまくご自身のビジネス領域でデータビジュアライゼーションを良い形で活用していくことが出来ればと思っています。

     

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