本記事では、トランザクションデータの概念や活用例について解説します。
目次
1. トランザクションデータは日々のイベントを記録しているデータ
トランザクションデータとは、日々発生するイベントについての情報を記録しているデータのことを指します。例えば、企業で発生するイベントには下記のようなものがあります。
- 従業員の勤怠
- 企業間取引(サービスの販売、購入など)
- 社内経費の利用
皆さんも出勤すれば勤怠システムに打刻をし、クライアントとの取引があればその内容(発生理由や発生した金銭のやり取りなど)をシステムに登録するのではないでしょうか。それら自身がトランザクションデータとしてシステム内で保管されています。
1.1 トランザクションデータの特徴
トランザクションデータの特徴としては以下のものがあります。
日々更新される
トランザクションデータは日々の取引履歴を記録するため、日々新たなレコードが追加されます。
日付や時間に関する情報が含まれている
上記、日々更新されるに付随する内容ですが、トランザクションデータには基本的に追加・更新された日時が含まれています。これにより、時系列に伴った分析を行うことを可能にします。
データ量が大きい
こちらは後発的な特徴ですが、日々の取引履歴が溜まっていくので、トランザクションデータはデータ量が大きくなりがちです。
1.2 マスタデータは主語、トランザクションデータは述語の役割
トランザクションデータと関わりの深いデータとして、「マスタデータ」というデータがあります。マスタデータは企業などの重要事項の属性を記録しているデータです。
マスタデータが社員情報などの属性情報を提供(主語)し、トランザクションデータがいつ何のイベントが行われたかを記録(述語)していると言えるでしょう。
マスタデータについては下記の記事で詳細に解説しています。
マスタデータとは?具体例でクイックに解説!
1.3 トランザクションデータと関係の深い用語
ここではトランザクションデータと意味の近い用語や関連の深い用語について違いとともに解説していきます。実は以下のようなよく聞く言葉もトランザクションデータの一部だったりします。
ビッグデータ
ビッグデータは明確な定義はありませんが、量が膨大なデータ群のことを指す言葉です。トランザクションデータもその量が膨大であればビッグデータとも言えるでしょう。
ログデータ
ログデータとはシステムが行った処理の実行記録データのことを指します。基本的にはトランザクションデータの形式で貯蓄されることが多く、トランザクションデータということもできるでしょう。
トランザクション処理
トランザクション処理とは、データベースにおいてデータの一貫性を保つために、依存関係のある複数の処理を一まとめとして扱い、全ての処理が実行される又は全ての処理がキャンセルされることを保証する処理方法のことです。
1.4 トランザクションデータの例
注文履歴データ
上記はECサイトの注文管理システムでのトランザクションデータの例です。新規の注文が入る度に注文データとして取引が記録されていきます。これによって、過去の注文履歴を正確に保存することができ、注文日時列を使用して時系列で注文件数の分析などを行うことができます。
行動データ
上記はスマートウォッチなどで確認できる、心拍数や運動記録でのトランザクションデータの例です。スマートウォッチが加速度や位置情報を検知し、そのデータを時系列でトランザクションデータとして貯蓄しています。
このデータを様々なマスタデータと組み合わせたり、時系列での比較を行うことで、この人が今どういう運動をしているのかを自動で判断します。
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2. トランザクションデータの取り扱いにおける重要ポイント
情報システム部門でデータベース設計・管理をしていなければ、直接業務で使用することは少ないですが、トランザクションデータはその特性に基づいた取り扱いをする必要があります。これらを理解することでトランザクションデータについて深く理解できるでしょう。
正確性と完全性の確保
トランザクションデータは業務や取引、システム稼働状況などを記録しているデータであるので、その内容が正確かつ情報が欠落していないことが重要です。データ入力・処理の際にはエラーチェックを行い、これらを検証する仕組みを設けることを推奨します。
セキュリティ
トランザクションデータの中でも社内の重要取引やシステムに関するデータには社内ポリシーに基づいて適切なセキュリティ対策を設ける必要があります。具体的な手法として、データの暗号化、アクセス制御、ログの監視などがあります。
スケーラビリティ
トランザクションデータのデータ量は基本的に増える一方なので、それに耐えうるデータベースを用意する必要があります。クラウドサービスでは、データ容量を自動的にスケールさせる機能を持つものもあります。
3. トランザクションデータを活用した分析手法
トランザクションデータを活用した分析として下記のようなものが代表的です。
セグメンテーション分析
トランザクションデータとして保存された顧客の購入履歴データから顧客を異なるセグメントに分けることができます。顧客ごとの購入履歴や購入パターンに基づいて、優良顧客、新規顧客、その他などのセグメントを作成することができます。これにより、各セグメントごとに適したマーケティング施策などを行うことが可能になります。
行動予測
こちらも顧客の購入履歴データから、誰がいつ何を買ったかのパターンや傾向を分析することで、顧客が次に何を購入するか、離反するかを予測することができます。
異常検知
膨大なトランザクションデータと新規に発生したアクションを照らし合わせて、そのアクション異常(不正)か否かを判断することができます。これによって一つ一つの事象に人の目を使うことなく、安全で安定した業務遂行が可能になります。
4. まとめ
トランザクションデータは、言葉としてはあまり馴染みがなくとも、様々なところで活用されています。トランザクションデータの定義や特徴を理解することで情報システム部門やエンジニアとの会話の解像度も上がり、社内のデータ活用促進に寄与するでしょう。
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