ユーザーストーリーは、ユーザーが達成したい目的を、利用者の視点で短い文章に落とし込んだ要件表現です。開発チームが「誰のために、何の価値を、どの範囲で作るか」を共通理解しやすくするために使われます。要件定義書の代替というより、議論の起点として扱うと運用が安定します。
書き方は「誰として(役割)、何をしたい(目的)、なぜ必要か(価値)」の3点を明確にするのが基本です。たとえば「購買担当者として、発注状況を一覧で確認したい。納期遅延の兆候を早く把握するためだ」のように、価値まで言語化すると優先順位が付けやすいです。ユーザーストーリー単体では実装の完成条件が曖昧になりやすいので、受け入れ条件(Acceptance Criteria)を添えて「できた状態」を合意しておくとよいでしょう。受け入れ条件はテスト観点にも直結するため、品質担保の軸になりやすいです。
実務でつまずきやすいのは、解決策を先に書いてしまい、ユーザーの価値が抜け落ちるケースです。ストーリーが大きすぎる場合は、利用シーンや例外条件、対象ユーザーを分けて分割し、見積もりとリリースが回る粒度に整えます。データ利活用の観点では、ユーザーストーリーから必要なイベント定義、KPI、ダッシュボード要件を逆算できるため、分析要件定義の入口としても機能するでしょう。

