ベクターデータベースは、文章や画像などを埋め込み(ベクトル)に変換して格納し、類似度にもとづいて近いデータを高速に検索できるデータベースです。キーワード一致では拾いにくい「意味が近い情報」を、近傍探索(nearest neighbor search)で見つけるために利用します。RAGの検索基盤やセマンティック検索の中核として採用されることが多いでしょう。
実務での用途は、社内文書検索、FAQの候補提示、類似チケットの検索、商品・記事レコメンドなどが代表的です。ベクトル検索単体だとノイズが混ざりやすいので、メタデータ(部門、公開範囲、作成日、カテゴリ)で絞り込みを併用する設計が基本になります。検索精度は埋め込みモデルの選定と前処理(分割方法、正規化、重複除去)に強く依存するため、PoCではクエリセットと期待結果を用意して評価するのが安全です。
運用で詰まりやすいのは、データ更新に伴う再埋め込み、インデックス再構築、権限変更の反映、ログと監査の整備です。埋め込みモデルを変えると距離空間が変わるため、モデルのバージョン管理と再計算の範囲を事前に決めておく必要があるでしょう。レイテンシとコストの制約も効いてくるので、近傍探索方式、シャーディング、キャッシュ、検索後の再ランキングまで含めて設計すると安定します。

