
パーソナルデータと個人情報は似た言葉として使われますが、法律上の意味や、企業での扱いが異なります。
個人情報は法的に定義され厳格に保護される一方、パーソナルデータはより広い概念で、購買履歴や位置情報といった生活に紐づく幅広い情報を含みます。
本記事では両者の違いや関連する用語を整理し、企業・個人がデータを安全に扱うための注意点をわかりやすく解説します。法務担当者や情報管理に携わる方に役立つ内容です。
目次
個人情報とは
個人情報とは、氏名や住所、生年月日などのように、特定の個人を識別できる情報のことです。電話番号やメールアドレス、運転免許証番号なども個人情報に含まれます。データ単体では個人を特定できなくても、他の情報と組み合わせることで個人が識別できる場合も個人情報にあたります。
個人情報保護法では「生存する個人に関する情報であって、特定の個人を識別できるもの」と定義されています。ここには顔写真や声の録音データ、さらにはマイナンバーのような番号情報も含まれることに注意しましょう。
個人情報は法律によって厳しく保護されており、取り扱いには利用目的の明示や本人の同意が求められるのが特徴です。適切に扱わなければ漏えいや不正利用といったリスクにつながるため、十分な管理が必要になります。
パーソナルデータとは
パーソナルデータとは、個人に関わる幅広い情報を指す言葉であり、個人情報を含む概念として使われます。氏名や住所のように直接的に個人を特定できる情報だけでなく、購買履歴や位置情報、検索履歴などもパーソナルデータに含まれます。
個人情報保護法では「個人データ」「匿名加工情報」「仮名加工情報」といった形で具体的な分類が示されており、パーソナルデータという言葉自体は法律上の明確な定義を持ちません。しかし、企業や学術的な場面では「個人に関するあらゆるデータ」という意味で用いられることが多く、個人情報よりも広い概念として理解されています。
現代の社会では、デジタル技術の発展により膨大なパーソナルデータが日常的に収集されています。サービスの利便性向上やマーケティングに活用される一方で、プライバシー保護の観点から慎重な取り扱いが必要です。
パーソナルデータと個人情報の違い

パーソナルデータと個人情報は似た意味で使われることが多いですが、法律や実務の場面では明確に区別されています。簡単にいえば、パーソナルデータは個人情報を含む、個人に関わる幅広い情報のことです。パーソナルデータの中に個人情報があると考えると、わかりやすいでしょう。
ここでは、両者の違いを法律上の位置づけと実務での扱い方の2つの観点から整理します。
法律上の位置づけの違い
個人情報は個人情報保護法で明確に定義され、保護の対象として厳格な規制が設けられています。一方で、パーソナルデータという言葉には法的な定義がなく、研究やビジネスの文脈で「個人に関する広い範囲のデータ」として用いられるのが一般的です。そのため、法律の運用上は「個人情報」と「個人データ」などの区分を理解することが重要です。
実務での違い
実務では、氏名や住所のように本人を直接識別できる個人情報は、法規制に基づき厳格に管理しなければならない情報として取り扱いが必要です。
一方、パーソナルデータは購買履歴や位置情報など、必ずしも個人を特定できないが、サービス改善や分析に活用できる情報は、プライバシー保護をしながらも利便性との両立を図りながら取り扱う仕組みが求められます。
パーソナルデータの関連用語
個人の識別 | 用途・具体例 | |
個人データ | できる | 顧客管理、DM送付など |
匿名加工情報 | できない | マーケティング、商圏分析など |
仮名加工情報 | 元データと照合すればできる | 社内分析や検証など |
センシティブ情報 | できる | 金融機関の審査、医療カルテなど |
パーソナルデータを正しく理解するには、個人情報保護法で定められた関連用語を知ることが欠かせません。法律上の区分を押さえておくことで、どの情報をどのように扱うべきかが明確になります。ここでは、特に重要な4つの用語を詳しく解説します。
個人データ
個人データとは、個人情報のうち、データベースとして整理され、検索や利用が容易に可能な状態になっているものを指します。例えば、顧客管理システムに登録された氏名や住所、購入履歴などが該当します。
一方、紙の名簿や単体のメモは個人情報ではあっても「個人データ」には含まれません。
匿名加工情報
匿名加工情報とは、個人を再識別できないように加工した情報であり、特定の個人が再び判明しないことが条件です。住所や氏名を削除・統合して統計データ化するような処理が典型的です。
マーケティング分析や学術研究などで活用され、個人のプライバシーを守りながら社会的に有益な利用を可能にします。
仮名加工情報
仮名加工情報とは、氏名や会員番号を符号に置き換えるなど、一部を加工して直接個人を識別できないようにした情報です。匿名加工情報と異なり、元データと照合すれば本人を特定できる点が特徴です。
企業内部での分析や検証に利用に限定され、外部提供や広範な利用は制限されています。
センシティブ情報
センシティブ情報とは、機微情報も呼ばれ、人種、信条、病歴、犯罪歴、社会的差別につながるおそれのある情報などが含まれます。これらは本人に不利益が生じやすいため、収集や利用には原則として本人の同意が必要です。特に医療や金融の分野では厳格な管理が求められ、取り扱いを誤ると重大なトラブルに発展する可能性があります。
パーソナルデータと個人情報を扱う際の注意点
パーソナルデータや個人情報は、日常生活や企業活動の中で広く利用されています。しかし、取り扱いを誤るとプライバシー侵害や法的なトラブルにつながる可能性があります。
次に、個人と企業それぞれの立場で注意すべき点を整理します。
個人が意識すべきこと
個人は、自分の情報がどのように収集され、利用されているかを理解することが大切です。SNSやアプリを利用する際には、提供する情報の範囲や利用規約を確認する必要があります。また、不必要に個人情報を公開しないこともリスクを減らす手段となります。
企業・組織が意識すべきこと
企業や組織は、収集した情報の利用目的を明確にし、必要な範囲でのみ活用することが求められます。
本人の同意取得やアクセス制限、漏えい防止のためのセキュリティ対策は欠かせません。さらに、匿名加工や仮名加工を活用することで、利便性と安全性の両立を図ることが重要です。
まとめ
パーソナルデータと個人情報は似ているようで、法律や実務では異なる扱いを受けます。違いを正しく理解することで、個人は安心してサービスを利用でき、企業は適切にデータを活用できます。
今後も法改正や社会の変化に合わせて、より安全な情報管理を心がけることが大切です。取り扱いに不安がある場合は、法務部門やデータの専門家に相談することで、リスクを最小化しながら適切な対応が可能になります。
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