匿名化とは?匿名加工情報との関係や仮名化・秘匿化との違い、各手法の活用目的

顧客データや研究データを活用したいが、個人情報保護法への対策も必須——そんなときに必要なのが「匿名化」です。

本記事では、匿名化の定義から匿名加工情報・仮名化・秘匿化との違い、第三者提供時の注意点まで、実務で役立つ視点で解説します。

匿名化とは

匿名化とは、特定の個人を識別できないようにデータを加工することです。氏名や住所など直接的に個人を特定できる情報を削除するだけでなく、他のデータと組み合わせても特定できない状態にすることが求められます。

匿名化が適切に行われ、匿名加工情報として扱える状態であれば、原則として本人の同意を得ずに第三者提供や利活用が可能です。ただし、事業者には「利用目的の公表」や「安全管理措置の実施」など、法律で定められた義務が課されます。

一方で、匿名化が不十分であれば再識別のリスクが残り、個人情報としての規制対象となる可能性があるため、技術的な加工だけでなく運用ルールも含めた慎重な対応が不可欠です。

匿名加工情報との関係

匿名加工情報とは、個人情報保護法で定義される匿名化データの一種です。事業者が保有する個人情報を、特定の個人を識別できず、かつ元の状態に復元できないよう加工したものを指します

加工の際には、氏名や生年月日、連絡先など識別につながる情報を削除または変換します。さらに、複数の情報を組み合わせても個人を特定できない状態にしなければなりません。

また、「年齢110歳」のような、国内に限られた人数しかおらず、個人の特定につながるような特異な記述も削除する必要があります。

匿名加工情報は、第三者に提供する際に本人の同意は不要ですが、利用目的の公表や安全管理措置といった義務が課されています。つまり、匿名化という広い概念の中で、法的に利用が認められる形に整えたものが匿名加工情報です。企業や組織が安心してデータ利活用を進めるための重要な枠組みといえます。

仮名化との違い

仮名化とは、個人を特定できる情報を別の符号や番号に置き換える方法です。

たとえば氏名を顧客IDに変換するような処理が該当します。この場合、符号と元の情報を結び付ける「対応表」が残っているため、管理者が参照すれば元の個人を再識別できます。したがって、仮名化されたデータは依然として個人情報にあたり、利用や提供には個人情報保護法の規制が及びます

一方、匿名化はこのような対応表を持たず、外部から見ても内部の管理者から見ても個人を識別できない状態です。

この違いにより、仮名化は主に内部利用におけるリスク低減策として位置付けられ、匿名化は第三者提供や公開を前提とした利用に適しているといえます。

秘匿化との違い

秘匿化とは、情報そのものを外部から見えないように隠す処理のことです

代表的な方法としてはマスキングや、データを暗号化したまま活用できる秘密計算技術などがあります。データ自体は残っているものの、権限を持たない者には内容がわからない状態になります。

秘匿化はあくまでデータの中身を保護する目的で用いられるもので、データそのものを個人情報に該当しない状態にする匿名化とは異なります。

秘匿化はアクセス制御やデータの中身の保護に有効です。匿名化はデータ利活用を前提に個人性を完全に取り除く手法として使い分けられます。

まとめ:情報を第三者提供する場合、仮名化ではなく匿名化が必要

個人情報を扱う際には、仮名化・秘匿化・匿名化の違いを正しく理解することが重要です。

仮名化や秘匿化は内部利用の安全性を高める方法ですが、復元が可能なため個人情報に該当し続けます。一方で、匿名化により匿名加工情報となったデータは、特定の個人を識別できない状態であり、個人情報保護法上も自由に利活用できる形となります。

特に第三者にデータを提供する場合は、仮名化では不十分であり、匿名化された情報でなければ法的な要件を満たせません。安全かつ有効にデータを活用するためには、匿名化を前提とした仕組みづくりが欠かせません。

データの匿名化や利活用の仕組みづくりに不安がある方は、データビズラボ株式会社にご相談ください。法的要件と実務の両面から、貴社に最適なデータ活用のステップをご提案します。

データビズラボの実績無料相談・お見積り

お問い合わせ

サービスに関するご質問や講演依頼など、お気軽にお問い合わせください。2営業日以内にお返事いたします。

ビジネスの成果にこだわるデータ分析支援
データ分析/活用にお困りの方はお気軽にお問い合わせください
ビジネスの成果にこだわるデータ分析支援
データ分析/活用にお困りの方は
お気軽にお問い合わせください
お役立ち資料