名寄せ(マージ)は、複数のデータソースに分散している顧客・企業・人物などのレコードを突き合わせ、同一実体(同一エンティティ)として統合する処理です。CRM、MA、EC、問い合わせ、会員アプリなどでID体系がばらばらな場合でも、同一人物を一つの軸で捉え直し、分析や施策配信の前提となる「1人(1社)1レコード」に近づけます。
名寄せで重要なのは、統合キーをどう設計するかと、同一判定のルールをどこまで厳密にするかです。メールアドレスや会員IDのような確定キーだけでなく、氏名・住所・電話番号・生年月日などを組み合わせた確率的な判定を使う場合もあり、表記揺れや入力ミスへの耐性が必要になります。たとえば「株式会社」と「(株)」のような表記揺れは正規化で吸収しやすい一方で、同姓同名や家族の共用メールのように、統合すると危険なケースも現場では起こります。
運用で問題になりやすいのは、誤って統合する過剰マージと、統合できずに分裂する未マージの両方が業務影響を持つ点です。過剰マージは誤配信や不正な権限付与につながり、未マージは顧客理解が分断されて施策効果が落ちる原因になります。名寄せを継続運用するなら、判定根拠(どの属性が一致して統合したか)をログとして残し、誤判定が見つかったときに分割・再統合できる手戻り設計まで含めておくと安心です。

