ベイズ推定は、事前の知識や仮定を事前分布として置き、観測データの尤度と組み合わせて事後分布を求める推定手法です。推定結果を1つの値に固定せず、パラメータの不確実性を分布として扱える点が特徴になります。式の形としては「事前分布×尤度→事後分布」と捉えると理解しやすいでしょう。
実務では、サンプル数が少ない状況でも意思決定を前に進めたいときや、過去知見を明示的に織り込みたいときに使われます。A/Bテストでは「改善している確率」や「期待損失」を基準に判断でき、信頼区間より直感的に説明できる場面もあります。階層ベイズで部門や店舗ごとのばらつきを同時に推定し、データが薄い群の推定を安定させる使い方も定番です。
注意点は、事前分布の置き方で結論が動き得るため、事前分布の根拠と感度分析をセットで示す必要があることです。計算はMCMCや変分推論などの近似が入ることが多く、収束診断や事後予測チェックで妥当性を確認しないとリスクが残ります。再現性の観点では、モデル定義、乱数シード、推定手順、採用した事前分布を記録し、レビューできる形にしておくのが安全です。

